感染症内科への道標

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肺炎球菌ワクチン 再接種に関するガイドライン

2009-11-13 | ワクチン・Travel Medicine
日本感染症学会 2009 

厚労省より肺炎球菌ワクチンの再接種が日本において認可(10月18日)され、日本感染症学会よりガイドラインが発表。ガイドラインについては日本感染症学会ホームページより無料入手可。本ガイドラインについては万有製薬の公式ホームページでも推奨されており公式ガイドラインとして扱われる。
http://www.kansensho.or.jp/news/pdf/pneumococcus_vaccine.pdf


要点
・肺炎球菌は65歳以上の高齢者において肺炎の原因菌の第一位 
・23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(ニューモバックス 万有製薬)による予防効果は薬剤感受性に影響されない。 
・予防効果は5年以上持続するが、高齢者、呼吸器、循環器に基礎疾患を有する患者では、低下しやすい傾向にある。 
・日本では今まで再接種は禁忌とされてきた:1970年代における研究で14価の肺炎球菌ワクチンを再接種した成人の注射部位に初回接種時と比べて強い局所反応(Arthus様反応)が発現。→4年以上空ければ問題ない。 

接種対象者
・初回接種から5年以上経過した次にしめすような肺炎球菌による重篤疾患に罹患する危険性が極めて高いもの及び肺炎球菌特異抗体濃度が急減に低下する可能性のあるもの。

1)65歳以上の高齢者
2)機能的または解剖学的(例 鎌状赤血球症 脾摘出)の患者
3)HIV感染、白血病、悪性リンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、全身性悪性腫瘍、慢性腎不全、またはネフローゼ症候群の患者、免疫抑制化学療法(副腎皮質ステロイドの長期全身投与を含む)を受けている患者、臓器移植または骨髄移植を受けたことのある者 

・初回投与は2歳以上を対象 
・生ワクチンの接種を受けたものは、通常、27日以上、通常6日以上間隔を置いて本剤を接種すること。(必要と認めた場合、同時に接種できる)

・アレルギーの頻度、副作用の対処法は他ワクチンと同様 


肺炎球菌ワクチン

90以上ある肺炎球菌莢膜の内、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドに対する抗体。

保険適応:2歳以上の脾摘患者における肺炎球菌による感染症の発症予防 
他は自費診療となる。

5-7日でIgM, IgG抗体価が上昇し2-3週でピークを迎え維持。
既往反応を伴わないため追加接種によっても前回より抗体価が速やかに上がることはない。 

Cochrane Database Syst Rev. 2008 Jan 23;(1):CD000422
肺炎球菌肺炎の予防効果については強いエビデンス
OR 0.26, 95% CI 0.15 to 0.46; random-effects model, I-squared (I(2)) = 0% 
肺炎全体の減少効果、死亡率の減少についてはエビデンス得られず。

Jackson LAらの報告(NEJM 2003; 348:1747-1755)によると56%の予防効果。

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