感染症内科への道標

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膵嚢胞線維症の診療の手引き

2009-11-12 | 消化器・肝・胆・膵
厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 
難治性膵疾患に関する研究班 

膵嚢胞線維症:cystic fibrosis
・cystic fibrosis transmembrane conductance regulator(CFTR)遺伝子変異を原因として発症する常染色体劣性遺伝疾患。
・現在千を超えるCFTR遺伝子変異・多型が報告。最も変異は、エクソン10内の3塩基の欠失のため508番目のフェニルアラニン残基がin-frameで欠落する△F508変異で白人の70%のCFの原因。白人では25-30人に一人がCFTRの変異遺伝子の保因者
・白人に多いが日本人では極めて稀。(過去10年間で38名、多くが0-1歳で発症、
・CFTR(クロールイオンチャネル)は全身の上皮膜細胞の細胞膜に発現しており、障害により消化管や気道の分泌液が粘チョウとなり、メコニウムイレウス、膵外分泌不全による脂肪便、気道及び副鼻腔の反復する難治性の感染症、両側輸精管欠損症による男性不妊を生じる。
・Cl-の再吸収障害のため、汗のCl-濃度の高い事が診断の決め手となる。
・平均余命は未だ30歳を超えない予後不良の疾患である。
・治療:tobramycinの吸収(緑膿菌感染予防)、マクロライド系抗菌薬の少量持続内服、消化酵素薬
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