感染症内科への道標

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肝硬変診療ガイドライン2

2010-04-28 | 消化器・肝・胆・膵
CQ3-01 門脈圧亢進症の診断に腹部CT(MDCT)は有用か?
MDCT angiographyは門脈圧亢進症における側副血行路や胃静脈瘤の診断に有用である。3D-CTは非侵襲的検査であり腹部血管造影検査にとって代われる。A 海外IIb 日本Ib 保険可 

CQ3-02 門脈圧亢進症の診断に腹部MRI,MRAは有用か? 
Gadolinium造影におけるdynamic MRIは門脈圧亢進症の診断に有用である。B 海外IV 日本無し 保険可 

CQ3-03 123I-IMP経直腸門脈シンチグラフィは門脈大循環シャントの程度の診断に有用か?
123I-N-isopropyl-p-iodoamphetamine(IMP)によるIMP経直腸門脈シンチグラフィは門脈大循環シャントの診断と肝予後能の評価に有用である。C1 海外無し 日本IV 保険不可

CQ3-04 99m Tc-GSA 肝シンチグラフィ(アシアロシンチ)は門脈圧亢進症の評価に有用か? 
アシアロシンチは門脈圧亢進症、特に肝硬変患者の予後の評価に有用である。

CQ3-05 発赤所見(RC sign)は食道、胃静脈瘤破裂の危険因子であるか? 
発赤所見(RC sign)は食道、胃静脈瘤破裂の危険因子である。海外Ib 日本無し 
→予防例であっても積極的に治療すべきである。

CQ3-06 βブロッカーは食道・胃静脈瘤に対して有効な治療法となりうるか? 
βブロッカーは、食道静脈瘤に対して有効な治療法であるが、胃静脈瘤に対する有効性のエビデンスはない。B 海外II 日本無し 保険不可 

CQ3-07 βブロッカーと一硫酸イソソルバイドの併用は静脈瘤出血予防や予後改善に有効か? 
βブロッカーに一硫酸イソソルバイドを併用すると、初回出血や再出血の予防効果が向上し、再出血効果はEVLと同等か優れているとのするRCTが多い。 B 海外II 日本無し 保険不可 

CQ3-08 バゾプレッシン、オクトレチオド、一硫酸イソソルバイドは静脈瘤破裂時に有効か? 
バゾプレッシン、オクトレオチド、一硫酸イソソルバイドなどの血管作動性薬物の投与は静脈瘤破裂時に有効である。B 海外II 日本無し 保険一部不可

CQ3-09 バゾプレッシンV1 受容体アゴニストのTerlipressin は静脈瘤破裂時に有効か? 
Terlipressinは持続的に門脈圧を下げる効果があり、静脈瘤破裂時に有効である。B 海外II 日本無し 保険不可 

CQ3-10 食道・胃静脈瘤破裂時のバルーンタンポナーデ(S-B tube、止血用胃バルーン)挿入は有効か? 
食道・胃静脈瘤出血に対するバルーンタンポナーデは薬物療法と同等に有効であるが、EISと比べると出血のコントロールが高く出血死も高いという成績がある。 B 海外II日本無し 保険不可

CQ3-11 βブロッカーは門脈圧亢進症性胃症(PHG)に対して有効な治療法となりうるか? 
プロプラノロールは門脈圧亢進症性胃症に対して有効な治療法である。B 海外II 日本無し 保険 不可 

CQ3-12 PPI投与により肝硬変患者の消化管出血を予防できるか?
エビデンスはない。しかし、食道、胃静脈瘤に対する内視鏡的治療期間中に出血性胃炎や胃潰瘍の合併頻度が高く、その防止策としてH2ブロッカーまたはPPIおよび防御因子増強薬を投与する。C1 海外無し 日本V 保険 不可 

CQ3-13 食道静脈瘤に対する予防的EVLとEISではどちらが予後を改善するか?
EISはEVLに比べ再発率、出血率が低く、予後を改善する。予防的EVLは予後を改善しないという報告とEVLは初回静脈瘤出血の発生を抑制するという報告がある。海外II 日本II 保険可

CQ3-14 食道静脈瘤破裂に対してPTOは有効か?
食道静脈瘤破裂に対するPTOの効果は期待できない。C2 海外無し 日本II 保険可 

CQ3-15 胃静脈瘤破裂に対してCyanoacrylate系薬剤注入法は有効か?
胃静脈瘤破裂に対してcyanoacrylate系薬物注入法は有効である。A 海外II 日本なし 保険不可

CQ3-16 経系静脈肝内大循環シャント(TIPS)は難治性食道静脈瘤に対する治療法として有効か? 
TIPSは難治性食道静脈瘤に有効である。B 海外II 日本無し 保険 不可 

CQ3-17 脾動脈塞栓術(PSE)は難治性食道静脈瘤に対する治療法として有効か? 
脾動脈塞栓術(PSE)は難治性食道静脈瘤に対する治療法として有効である。B 海外V 日本II 保険可

CQ3-18 血清と腹水アルブミン濃度差は肝硬変腹水の診断に有用か?
血清と腹水のアルブミン濃度差は肝硬変腹水診断に有用でこれによる肝硬変腹水診断精度は92%とされている A 海外IIb 日本無し 保険可 

CQ3-19 腹水の好中球算定はSBPの迅速診断に有用か? 
用手法の好中球数算定がgold standardとなっている。血球算定器による自動算定法も信頼できる。A 海外Ib 日本無し 保険可

CQ3-20 白血球エラスターゼ試験紙はSBPの迅速診断に有用か? 
白血球エラスターゼ試験紙はSBPの迅速診断に有用であるとする報告が大勢を占める。 B 海外Ib 日本無し 保険不可 

→腹水例では腹水穿刺が安全に行えると判断したら試験穿刺を必ず行う。 

CQ3-21 肝硬変に伴う腹水に対して減塩食は有効か? 
有効である。食塩制限のみでも10%の症例で負のナトリウムバランスを達成できる。A 海外I 日本無し 保険可
食塩制限は利尿薬の投与量の節減、腹水の早期消失、入院期間の短縮を図れる。 

CQ3-22 肝硬変に伴う腹水にアルブミン投与は有効か?
有用である。利尿薬服用中の肝硬変腹水例において腹水消失率を高めるとともに、腹水再発を抑制する。生存率も改善する。A 海外II日本無し 保険制限あり 
大量腹水穿刺排液後の循環不全予防のためには血漿増量剤より勝る。A 海外II日本無し 保険制限あり 
アルブミンはSBP患者の全身循環動態を改善させ、肝腎症候群の発生を抑制する。A 海外II 日本無し 保険制限あり 
→合併症のない肝硬変腹水と診断されたら、塩分摂取量を1日3-5gに制限する
保険診療では血清濃度が2.5g/dl未満の場合に投与が認められているが、全般に厳しく査定される傾向にある。利尿薬としては抗アルドステロンとループ利尿薬が汎用されている。抗アルドステロン薬が第一選択薬である。

CQ3-23 肝硬変の腹水に対してループ利尿薬はスピロノラクトンより有効か?
有効とはいえない。単剤としてはスピロノラクトンのほうが有効である。海外II 日本無し 保険可。
→スピロノラクトンは効果発現までに3-4日を要するが、50-90%の症例で有効である。フロセミドの単独では50%の改善にとどまり推奨されない。

CQ3-24
利尿薬投与法としてスピロノラクトン単剤増量法とスピロノラクトン、ループ利尿薬併用増量法のどちらがよいか?
効果は変わらないが、重篤な副作用を防ぐ上では併用増量法が望ましい。A 海外II 日本無し 保険可
→日本での利尿薬使用量の上限は確定していないが、スピロノラクトン150-200mg, フロセミド120mgあたりが妥当と考えられる。

CQ3-25 バゾプレッシンV2 受容体拮抗薬は腹水、水排泄障害の改善に有効か? 
低ナトリウム血症の改善には有効である。腹水、水排泄障害の改善に有効というエビデンスはまだない。C1 海外II 日本無し 保険不可

CQ3-26 難治性腹水に対する大量腹水穿刺排液は有効か? 
難治性腹水に対する大量腹水穿刺排液は有用である。A 海外II 日本無し 保険可
利尿薬治療に抵抗する腹水はまず穿刺排液で対処する。A 海外I 日本無し 保険可 
穿刺排液で対処する際、血漿増量剤で併用する。A 海外II 日本無し 保険可

CQ3-27 難治性腹水に対する大量腹水穿刺排液で患者の余語は改善するか? 
予後が改善するものではない。海外II 日本無し

CQ3-28 腹水穿刺排液の際の血漿増量剤としてアルブミン静注と合成コロイドのどちらが勝るか? 
Dextran 70, polygelineとの比較では合併症を防止するうえでアルブミンは最もより血漿増量剤といえる。 海外II 日本無し 保険制限あり

CQ3-29 難治性腹水の治療に腹膜・頸静脈シャント(P-Vシャント)は有効か?
腹水軽減には有効である。予後は改善しないが入院期間は短縮する。静脈瘤破裂、SBPが既往にあると肝移植のほうが望ましい。 

CQ3-30 難治性腹水に対して腹水濾過濃縮再静注は有効な治療法か? 
腹水穿刺排液と同程度に有効である。予後を改善することはない。Grade B 海外II 日本無し 保険可 
→アルブミン需要を節減できるメリットはあるが、腹水エンドトキシンの濃縮という問題がある。

CQ3-31 経頸静脈肝内門脈大循環シャント術(TIPS)は難治性腹水に有効な治療法か? 
有効な治療法である。 穿刺排液より腹水再貯留率は低率で、死亡率や消化管出血、感染、腎不全の発症は 穿刺排液と変わらない。C1 海外I 日本無し 保険不可 

CQ3-32難治性腹水に対するTIPSにより患者の余語は改善するか? 
予後を改善するものではない。海外I 日本無し 

CQ3-33 難治性腹水の治療後の生存率やQOLはTIPSと大量腹水穿刺排液のどちらが勝るか? 
身体的QOLの改善は差がなく、精神的QOLの改善はTIPSのほうがやや優れている。総じて両治療法間に明らかなQOL改善度の差はない。 
海外II 日本無し

CQ3-34 難治性腹水の治療後の生存率やQOLはTIPSとP-Vシャントのどちらが勝るか? 
P-Vシャントは短期効果に勝るが、TIPSは長期効果に勝る。海外II 日本無し 
TIPSおよびP-Vシャント後の平均生存期間はそれぞれ28.7カ月、16.1か月である。
海外II 日本無し 
→利尿薬治療に抵抗する腹水はまず穿刺排液で対処する。Level 1-A 。排液後は血漿増量剤の輸注が必要で、アルブミン(腹水1Lあたりアルブミン8g)または合成血漿増量剤を輸注する。Level 2-A. 穿刺排液が頻回にわたるときは腹水濾過濃縮再静注に変えてもよい。II-B 。 穿刺排液でコントロールできない難治性腹水にはTIPSあるいはP-Vシャントを考慮する。Level II-B。 症例ごとにこれら治療法の得失を考慮して十分なインフォームドコンセントを得てから施行する。


CQ3-35 肝硬変患者の経過中にSBPが合併すると予後不良となるか? 
予後は悪くなる。死亡率は20%であるが以前は90%であった。海外I 日本無し
→第3世代セフェム系抗菌薬の静注投与が第一選択薬である。

CQ3-36 SBPに対する腸管滅菌は予後を改善するか?
生命予後を改善するというエビデンスはない。 

CQ3-37 SBPの既往のある患者に抗菌薬の予防投与を行うことで再発を予防できるか?
ノルフロキサシン投与で再発は抑制できる。B 海外II 日本無し 保険可

CQ3-38 SBPの既往のある患者に抗菌薬の予防的経口投与を行うことで予後は改善するか?また医療経済的効果はあるか? 
SBPの既往がある患者では抗菌薬の予防的経口投与で予後が改善するという明らかな証拠はなく、医療経済的効果があるという証拠もない。しかし、進行した肝不全例、腎機能障害例ではSBPの発生が抑えられ予後が改善する可能性がある。B 海外II 日本無し 保険不可 

CQ3-39 超音波ドプラによる腎血管抵抗指数の測定は肝腎症候群の診断に有用か? 
腎デュプレックスドプラ超音波検査は肝腎症候群発症リスクの予測に役立つ。

肝腎症候群の本態は腎皮質血管の攣縮による腎内血行動態の不安定状態と腎内血流分布異常。可逆性の病態である。肝硬変腹水例で血清Creが1.5mg/dlを超えたら、利尿薬を中止してアルブミン(1g/kg体重)静注を含む輸液を2日間行う(保険適用外)。これで血清クレアチニンが低下しなければ肝腎症候群と診断する。ショック状態、腎実質障害(蛋白尿500mg/日以上、顕微鏡的血尿、腎エコー異常)を否定する。直近の腎毒性薬物投与がないことを確認する。

CQ3-40 肝腎症候群に対してTerlipressinは有効な治療法であるか? 
アルブミンとの併用は有効な治療法である。B 海外II 日本無し 保険不可 
1型肝腎症候群では65%で腎機能が改善する。肝移植施行前に投与して肝腎症候群を治療しておくと移植後の予後がよくなる。B 海外III 日本無し 保険不可

→terlipressin(2-12mg/日)が最も有用でアルブミンと併用。

CQ3-41 肝腎症候群に対してα交感神経ミドトリンとオクトレオチドの併用は有効な治療法であるか?
有効な治療法とする報告はあるが、pilot studyの段階である。C1 海外IVa 日本無し 保険不可 

CQ3-42 肝腎症候群に対してP-Vシャントは有効な治療法であるか? 
腎機能の改善が得られることもあるが、生存期間を延長させるものではなく推奨される治療法ではない。C2 海外III 日本無し 保険可

CQ3-43 肝腎症候群に対してTIPSは有効な治療法であるか? 
腎機能の改善と腹水の軽減が得られる。1型肝腎症候群では予後の改善にもつながり得る。適応症例を選べば有効な治療法である。 C1 海外V 日本無し 保険不可 

CQ3-44 肝移植は肝腎症候群の予後を改善するか? 
改善する。肝腎症候群非合併例より肝移植後の合併症が多く、入院中の死亡率は高いが、長期予後は肝腎症候群非合併症例と変わらない. C1 海外IV b 日本無し 保険可

CQ3-45 脳症のコントロールにより肝硬変の予後は改善するか?
脳症の覚醒後の生命予後に対する有効性は明らかにはなっていない。海外II日本無し 

CQ3-46 便通は肝性脳症の発症に相関があるか? 
合成二糖類の脳症改善効果は排便回数の増加と関連する。 海外V 日本無し 

CQ3-47 肝性脳症の患者が低蛋白職を摂取することで予後が改善するか?
蛋白制限は脳症の予防・改善に有効であるが、窒素平衡維持の観点からは勧められる根拠が明確でない。B 海外II 日本無し

CQ3-48 肝性脳症に対して合成二糖類は有効か? 
ラツクロースは、肝性脳症の改善に有効な治療法である。予後についての有用性は必ずしも明らかではないが、肝性脳症の標準治療として位置づけられる。B 海外I 日本無し 保険可 

CQ3-49 腸管非吸収性抗菌薬投与は肝性脳症を改善するか?
腸管非吸収性抗菌薬は肝性脳症に有効な治療であり、その効果は合成二糖類に比較し良好である。 B 海外I 日本無し 保険不可 

→合成二糖類で高アンモニア血症が改善されない場合に併用する。硫酸カナマイシン(カナマイシン)または硫酸フラジオマイシン(フラジオ腸溶錠)、硫酸ポリミキシンB(ポリミキシンB錠)を300-600単位/日分3で投与する。

CQ3-50 肝性脳症の意識障害に対してBCAA輸液製剤の投与は有効か? 
BCAA輸液療法は肝性脳症に有効な治療法であるが、その効果は肝の予備能に左右される。
B 海外IVb 日本IVb 保険可 

CQ3-51 BCAA製剤の投与は肝性脳症の予後改善に有効か? 
BCAA輸液療法は、肝性脳症の予後改善に有効な治療法であるが、その効果は肝の予備能に左右される。B 海外無し 日本IVb 保険可

→肝性脳症から覚醒して経口摂取が可能になった時点で、輸液製剤より切り替える。標準体重あたり0.5-0.7g/kgの低蛋白食と共に本剤を継続投与する。

CQ3-52 肝性脳症に対して亜鉛製剤は有効か? 
亜鉛製剤は肝性脳症に対して有効な治療であるが、単独治療薬としての有効性は明らかにされていない。 B 海外 IVb 日本V 保険不可 

→外来での経過観察中に軽度の脳症が持続する場合、栄養指導を受け、低蛋白食(0.4-0.6g/kg標準体重)と共に肝不全用経腸栄養剤を継続する。本剤は1包約200-300kcalのカロリーがあるので、食事中の総カロリーからその分を減らすように指導する。 
便秘は脳症増悪に影響を及ぼすため回避に努める。便通は軟便が1日2-3回あるように、繊維の多い食物を摂取するとともに、ラクツロースの量を調整し、必要があれば緩下剤も併用する。


CQ4-01 CTP分類は肝硬変の予後予測、重症度判定に有用か? 
CTP分類は肝硬変の予後予測に有用である。海外IIa 日本無し 
しかし、必ずしも重症度汎千恵には有用でない。海外IV 日本無し 

CQ4-02 MELDスコアは肝硬変の予後予測に有用か? 
MELスコアは肝硬変の予後予測に有用である。海外I 日本無し 

CQ4-03 肥満は肝硬変の予後に影響を及ぼすか? 
肥満は肝硬変の予後に影響を与えるが、そのエビデンスレベルは低い。 海外IV 日本無し 

CQ4-04 肝肺症候群は肝硬変の予後に影響を与えるか?
肝肺症候群は肝硬変の予後に影響を与える。海外Ib 日本無し

CQ4-05 門脈血栓症は肝硬変の予後を左右する重要な因子か? 
門脈血栓が肝硬変の予後に影響を及ぼすかどうかは不明である。




CQ5-01 肝移植は非代償性肝硬変の生存率を高めるか?
肝移植は非代償性肝硬変の生存率を高める。 A 海外IIb 日本無し 保険可

CQ5-02 MELDスコアが高い患者は肝移植後の予後が悪いか?
MELDスコアの高い患者は肝移植後の予後が悪いという成績が多い。 海外IIb 日本無し 

CQ5-03 CTP分類の高い患者は肝移植後の予後が悪いか? 
CTP分類の高い患者で肝移植後の予後が悪いとはいえない。 海外IIb 日本無し 

→非代償性肝硬変には肝移植を勧める。IIb- A 肝移植の適応判定においてMELDスコア解析を勧める。IV-C1

CQ5-04 抗ウイルス療法は肝移植後の治療に不可欠か? 
B型肝硬変には抗ウイルス療法が不可欠である。A 海外I 日本無し 保険 可 
C型肝硬変には抗ウイルス療法が不可欠である。C1 海外II 日本無し 保険 可
→B型肝硬変では肝移植に先立ち抗ウイルス療法を施行する。I-A
→C型肝硬変では肝移植後の肝炎再燃時には早期に抗ウイルス療法を施行する。II-C1

CQ5-05 ウイルス性肝硬変に対する肝移植は医療経済上、メリットがあるのか? 
報告を集計しても現時点では結論は得られていない。 

CQ5-06 非ウイルス性肝硬変に対する肝移植はウイルス性肝硬変に比して成績がよいか? 
過去の成績では非ウイルス性肝硬変のほうがウイルス性肝硬変より10年生存率が良好であったが、ウイルス性肝硬変に対する術後の治療法の進展により、ウイルス肝炎の再発が抑制されればその成績は改善されるので、成績の良悪を論ずることは困難である。海外IIb 日本無し 

CQ5-07 自己免疫性肝炎による肝硬変に対する肝移植術の再発は多いか?
再発に関する確定診断の指標がないため再発の診断は難しいが、42%までの範囲で報告されている。海外IIb 日本無し 保険可

CQ5-08 PBCによる肝硬変に対する肝硬変に対する肝移植後の再発は多いか?
欧米の報告では再発率は15%前後だが生体肝移植に依存する日本からの報告では再発率が多い。海外IIb 日本無し 保険可
→PBCに対する移植では再発は多いが、再発しても予後はよいので適応があれば移植すべきである。IIb-B

CQ5-09 PSCによる肝硬変に対する肝移植後の再発は多いか? 
10-30%の再発率である。 海外IIb 日本無し 保険可 



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