私のいつもの読書スタイルは夜寝る前のベッドに横たえてながらである。夜中に目が覚めることも多くなり、その時も前夜の場面を思い出しながら読むので、どうしてもエッセーや、軽い物が多くなる。先月南木佳士のエッセーで泉鏡花の「高野聖」が面白いと書かれてあり、それではと思い読み始めた。しかし今週は横になりながらの読書はできなかった。状況が飛騨の深山幽谷な山中で旅僧が出会った美女、白痴の男、蛇、蝙蝠、山蛭、山海鼠、等との出会いを語った妖怪譚である。古い言葉と、言い回しが難しいため、補足説明がページの下段3分の1ほどあり、物語と補足説明を指で追いながら、朗読しながらの読書であった。それでもストーリーの概要はつかめたが、深淵までは理解できてない。それにしても初めて泉鏡花の文学の一つに接することができたことで満足である。 本をめくって少し抜粋してみると、
『左右(4.とかく)して、婦人(をんな)が、激(5.はげ)ますやうに、すかす(6.)やうにして勧めると、白痴(ばか)は首を曲げて彼の臍(へそ)を弄(もてあそ)びながら唄った。』 下段の注釈は 4.あれこれして 5. 単行本も激ますとあり、全集には励ますとある。 6.漢字変換ができない、貝偏に兼の字であるが、ATOK手書き辞書でもでなかった。