最近、高橋学・立命館大学教授という方が、「地震や火山の専門家」として週刊誌に取り上げられ、地震予測や噴火予測を次々と披露しています。これまでに、IWJ、日刊ゲンダイ、週刊ポスト、週刊プレイボーイ、週刊女性といった雑誌が、高橋学教授を取り上げ、すぐにでも巨大地震や大噴火が日本で起きるかのような予測を、繰り返し紹介しています。
ですが、高橋学教授の地震予測や噴火予測は、本当に信用できるものなのでしょうか。これまでの高橋教授の予測が当たっているのか、以下に検証してみましょう。
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高橋学教授は、2016年の6月4日と7月31日に、ジャーナリストの岩上安身氏らにメールを送り、地震予測を披露しています。このメールの内容は、岩上氏によって以下に公開されています。
「大地震の予兆あり!東日本でマグニチュード7に警戒を!」(IWJ 2016年8月12日)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/325357
少々分かり難い文面ですが、この地震予測をまとめると、
・千葉・茨城で、2ヶ月後を中心に1ヶ月の前後幅で、M7以上(6月4日のメール)
・長野北部~新潟上越地方でM5以上、1週間~1ヶ月が危ない(7月31日のメール)
…という2つの予測をしていることが分かります。では、この予測期間に、国内で実際に発生した主な地震をみてみましょう。
(気象庁データベース検索結果)
…ご覧のように、高橋学教授が予測したような地震は、全く起きていません。そもそも、M7以上の地震が全く起きていません。長野北部~新潟上越地方でも、M5以上の地震がこの期間内に1件も起きなかったばかりか、この記事を書いている2017年1月27日現在まで、M5以上の地震は1件も起きていません。
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また、『週刊女性』2016年3月1日号では、2015年12月26日に東京湾でM2~3の小地震が連続したことを受け、「この小地震の2ヶ月後(つまり2016年2~3月頃)に東京湾直下大地震がくる」と予測し、「地震発生の5分後には津波が湾岸エリアを襲う」と危機感を煽りましたが、該当するような大地震も津波も起きませんでした。
東京湾直下大地震の可能性「発生5分後、湾岸エリアに津波」(週刊女性 2016年3月1日号)
http://www.jprime.jp/articles/-/6723
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さらに、高橋学教授は、『週刊女性』2015年10月6日号において、「1~2年のうちに大噴火が起きそうな10火山」を挙げています。
(『週刊女性』2015年10月6日号より)
…この予測発表から既に1年4ヶ月ほどが経過しましたが、このうち実際に噴火した火山は、1つもありません。「大噴火」どころか、小噴火さえも1つも起きていないのです。
ただ、2015年10月6日から2年後といいますと今年2017年の10月ですから、まだ時間はあります。高橋学教授の噴火予測が当たるのか、今後も見守ってみることにしましょう。
(※追記: 結局、2017年の10月まで、以上の10火山の全てが小噴火すらしませんでした)
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なお、高橋学教授は、「西之島新島の巨大化から、太平洋プレートがフィリピン海プレートにももぐり込もうとしていることが新たにわかった」(週刊女性2016年3月1日号)、「噴煙が1万1000m以上のものを、大噴火と呼ぶ」(IWJ 2016年10月10日)など、およそ地震や火山の専門家とは思えない奇妙な発言も繰り返しています。そもそも高橋学教授を「地震や火山の専門家」と呼んで良いのか、おおいに疑問です。
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高橋学教授は、実に積極的に週刊誌に電話やメールを送りつけ、ご自身の地震予測を披露されているようです。言い換えると、週刊誌に自分を「売り込む」タイプの方のようです。そして、売り込まれた側の週刊誌が、以上のハズレ予測には全く触れずに、また大きな地震や噴火を予測した実績もないにもかかわらず、専門的にみておかしな発言を繰り返していることにも目を瞑り、「地震や火山の専門家が大地震や大噴火を予測している」などと危機感を無意味に煽るような記事を、繰り返し書いているのです。かなりの無理を感じますし、メディアとしてあまり褒められた行為だとは思えません。
いずれにしても、高橋学教授がこれまでに、大きな地震や噴火の発生を、事前に精度高く予測したという実績は、全く無いと言って良いようです。週刊誌が危機感を煽るべく次々と紹介する、高橋学教授の地震予測や噴火予測に、不必要に怯えてしまう必要は全くないと思います。
その時の「予測」も外れていたわけですが、なぜか翌年にしれっと「5年以内」と予測期限が延びていたのを見て、心のブラックリストに入れたお方です。
確か「噴煙が1万1000m以上のものを、大噴火と呼ぶ」と言う発言をされた際は、自分のブログ(主に歴史関係の話を載せています)で、「学者にあるまじき、馬鹿な発言」とぶちまけた記憶もあります(苦笑)。
この方の肩書きのひとつは、「災害リスクマネージメント」だそうですが、とうてい肩書きにふさわしい言動をされていないませんね。
私も一通り目を通したことのある記事が多くありますが、まとめて頂いて感謝です。
それではまた。
http://ci.nii.ac.jp/naid/500000249217
です。
学歴も、立命館大学 文学部 地理学科地理学専攻・立命館大学大学院 文学研究科 地理学 博士課程ですから地理学者、考古学者(災害史)とはいえても、火山や地震の専門家とは思えません。
論文実績も学術的なものは災害史が中心で地形的にどういうことがあった、またはあり得るとは言えても、そこから地震予測に行くのはどうかなと思います。http://research-db.ritsumei.ac.jp/Profiles/33/0003292/theses1.html
「いちばん怖いのはフィリピン海プレートが跳ねるパターンです。例えば、東京・神奈川の都県境を流れる多摩川河口の数キロ沖で跳ねた場合、それは東京湾のど真ん中なので津波が起きる。」などと述べています。
私の拙い知見では、東京湾付近は北米プレートの20キロメートル下にフィリピン海プレートが沈み込んでおり(南東から北西方向)、さらに60キロメートル下に太平洋プレートが沈み込む(東から西方向)構造だと理解しています。
東京湾のど真ん中で津波が発生するということは海底面たる北米プレートが急激に上下方向へ変位するということです。
フィリピン海プレートが跳ねてそのようになるというのは、あたかも玉突きのような現象をいうのでしょうか?それとも北米プレートが割れて断層運動を生じるということでしょうか?
いずれにせよフィリピン海プレートが跳ねるメカニズムや津波発生のメカニズムの説明がないので判然としませんが、そのようなことは起こり得ないと思われます。
話は逸れますが、高橋学氏の専門は地理学らしいです。災害に関係したことも研究されているようです。
私の邪推かもしれませんが、こんな災害が起こったら(東京湾のど真ん中で津波が起きる)という発想がそもそもの出発点で、その発生理由は後付けの専門外の稚拙な地震理論(フィリピン海プレートが跳ねる)であるように思います。理系ではなく文系の方ですかね。
いたずらに危機を煽るのは反対ですが、一方では記事内容そのものではなく、このような推量(邪推)をしてみるというのも面白いのかもしれません。
まあ大阪地震が南海地震の前兆であるとか、引き金になりうるとか(気象庁などは関連性を否定していますが…)そういう主張はわかります。ただ、「2020年までに発生」などと断言するあたり、どうにも胡散臭くて、メディアの喜びそうなことを適当に言ってるのかなと感じました。
気になって「高橋学」で検索すると、2番目にこの記事が出てきた他に、色々と教授の主張に疑問を感じた人の声があったので、やはり「精緻な分析」とやらはこじつけにすぎないようですね。
毎年多くの地震が発生する日本で、自分に都合のいいサンプルだけを抽出して、さもそれが一般的であるかのような論調も学者にあるまじき姿です。何はともあれ、2020年までに南海トラフ地震が起こるのかどうか、見守っていきたいと思います
高橋さん。
不安を煽って責任を取らないなら、
どこの誰でも言えませんか?
どう考えていますか?お応えください。