日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

郵便ポストが赤いのも、電信柱が高いのも・・

2024年03月18日 07時30分37秒 | 政治
・・みんな私が悪いのよ! 「日本の大企業トップの4割近くが謝罪会見のトレーニングを積んでいる――。そんな実態が、経団連の関連団体の調査でわかった。サイバー犯罪、社員による不正など、備えるべきリスクが多様化し、説明責任を求められる場面が増えていることが背景にあるとみられる。報告書によると、広報部門が危機管理に関する業務をしている企業は81・9%で、2006年に同様の質問を始めて以来、最も多かった。企業トップや役員が就任時に会見の練習をしている企業は39・9%にのぼった。緊急時の広報マニュアルがある企業は73・6%で、いずれも2021年の前回調査より増えた。」(2024/03/15朝日新聞)
落語家の4代目柳亭痴楽さんが高座のマクラで始める口上:「郵便ポストが赤いのも、電信柱が高いのも、彼女の鼻が低いのも、み~んなみんな痴楽が悪いのよ:痴楽青春手帳より」。これは娯楽に乏しい戦後に大ヒットした柳亭痴楽のモノである。なにしろ戦後の人々の貧しさからくる憤懣は持って行って捨ててくる場所が存在しない。そういう中で「み~んなみんな私が悪いのよ」と憤懣の捨て場所になってくれる痴楽師匠の存在は一種の国民的癒しになっていたのかもしれない。
「日本の大企業トップの4割近くが謝罪会見のトレーニングを積んでいる」という上の記事は、どうやら「一億総痴楽化現象」とでも呼称したらよいのだろう? SNSなど情報ネットワークの普及は不都合な真実があっという間に世界を駆け巡ってしまう。多少の言い分があるとしても、想定外に拡散していく悪評は広がる前の可能な限り早期に手当をしておかないと、世界の隅々まで拡散してしまう。一刻も早く謝ってしまうにしくはない、というのであろうか?
倒産の憂き目に臨んで言い方を失敗した山一證券の社長や、欠陥品を販売してしまった乳業メーカー雪印の社長が、エレベータの入り口まで追いかけていった記者たちに向かって捨て台詞を吐いてしまった例のように、謝り方の稚拙が話題になった頃から、政官財あらゆる組織で謝り方がうまくなったなと思っていたが、この記事のような「謝罪文化」が普及・拡散・発達していたのだ。
記事によれば、こういう謝罪文化の発達?は、「情報漏洩」「サイバー犯罪」「操業事故・災害」「役員・従業員犯罪」等々、「社会情勢の将来予想が難しい状況が続き、広報活動に柔軟に対応する力が期待されるようになっているため」(上記記事)だという。
世は益々ギスギスしてきたようだ。ここまでくると無い無いづくしの「痴楽青春手帳」の貧しかった時代が懐かしい。
 


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