今日(2/27)は、久しぶりに室内楽のコンサートを聴いた。
松戸市の“森のホール21”で開催された「長谷川陽子・三舩優子デュオ・リサイタル」だ。
ピアニストの三舩優子さんは、来る6月6日(日)の葛飾フィル第39回定期演奏会で、
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番のソリストをお願いしている方である。
かなり前にどこかのプロオケの定期でピアノ協奏曲を聴いたことがあった記憶があるが、
この機会に、もう一度しっかり生演奏を聴いて、そして挨拶しておくことが目的であった。
勿論、長谷川陽子さんのチェロの生演奏も、以前からぜひとも聴いてみたいと思っていた。
■■■ 長谷川陽子・三舩優子 デュオ・リサイタル ■■■
日時:2010年2月27日(土)14:00開演
場所:森のホール21(松戸)小ホール
出演:長谷川陽子(Vc)、三舩優子(Pf)
曲目:ショパン/序奏と華麗なるポロネーズOp.3
ショパン/チェロ・ソナタト短調Op.65
ショパン/スケルツォ第2番変ロ短調Op.31
モーツァルト(ヴォドロス編)/トルコ行進曲
カサド/無伴奏チェロ組曲
ブロッホ/ニーグン
カステルヌオーヴォ=テデスコ/フィガロ
≪encore≫
マスネ/タイスの瞑想曲
今日のコンサートは主催者側の要請もあり、長谷川さんと三舩さんのおしゃべりを交えながら
時折、客席の笑いを誘うようなリラックした雰囲気で楽しいものだった。
プログラム前半は、ショパン・イヤーにちなんだショパンの2曲。
チェロ・ソナタはあまり演奏される機会が少ないが、ピアノの詩人と呼ばれた作曲家が
チェロのためにこんなに美しくて素敵な曲を残していたのか!とハッとさせられる曲。
長谷川陽子さんのチェロは、音の遠近感と音色の様々な変化で細かいニュアンスを丁寧に描き、
この曲の魅力を余す所なく我々に伝えてくれるものだった。
彼女の生の演奏を聴くのは今日が初めてであったが、その音色の多彩さや音の奥行きの深さ、
音楽のスケールの大きさと豊かな歌心に、一聴して魅了されてしまった。
三舩優子さんのピアノは、これまた好サポートの域を超えると言って良い素晴らしい演奏で、
チェロとの掛け合いがなんともいえず聴きものであった。
音楽のキャラクターを自在に演奏し楽しんでいる様は、その表情からも十分にうかがわれ、
6月には彼女と共演できるのかと思うと嬉しくてワクワクしてくるものだった。
後半は、2人がそれぞれにソロ演奏を披露し、再びデュエットで締めくくるという流れ。
先発の三舩優子さんはショパンのスケルツォとヴォドロスという人の編曲したトルコ行進曲。
スケルツォ第2番の冒頭の部分がそう聞こえることから、邦人演奏家の間ではこの曲のことを
「トコロテン(心太)」と呼んでいるという面白い話を披露されてからの演奏だったが、
なるほど、そういう耳で聴くと確かにそう聞こえる。
・・・っていうか、そんな話聴いたら、これからはそのようにしか聴けなくなったりして・・・
まあ、そんな違った角度からの楽しみ方はあるとしても、三舩さんの演奏はスケールが大きく、
トコロテンどころの音楽ではない。
終演後、うかがったお話では少しミスもあったとのことだが、そんなことは気にもならない
スケール感と推進力(躍動感?)がしっかり音楽を支えているって感じで聴き惚れてしまった。
その上、よくコントロールされたタッチで微妙なニュアンスも見事に紡ぎだされて心地よい。
・・・そのこと自体を感じさせないから、コントロールされたなんて言うのも失礼か・・・
ヴォドロスの編曲によるモーツァルトのトルコ行進は大変ユニークな曲だ。
原曲の3倍くらいに音が増えた変奏曲の風で、多分、難しい曲なんだろうなと思う。
三舩さんは、初めてこの編曲を聴いた時に大変衝撃を受け、自らも演奏したいと思ったそうで、
今日の演奏からは、この曲に対する演奏家の愛情と楽しさが十分に伝わってくるものだった。
長谷川陽子さんのソロは、カサドの無伴奏組曲である。
この曲はまさにスペイン!というくらいにスペインが堪能できる私の大好きな曲である。
長谷川さんが「今日は体育会系のプログラムになってしまった」と話されていたように、
この曲も難曲だが、彼女の演奏は難曲だということを感じさせない情熱的な演奏だった。
プログラム最後の曲も難曲揃いだったが、長谷川さんの集中と精神力はそういうものを
超越していて、演奏とともに聞こえてくる彼女の呼吸だけで彼女の世界に惹き込まれてしまう。
彼女が20年程前にファーストアルバムを出した頃、FM放送で流れたその演奏を聴いた時、
なんだか物凄いチェリストが出てきたなと感じたものだが、生演奏を初めて聴いた今日、
その時の印象が確かなものだったということを改めて実感し、彼女に巨匠を感じた。
それから、チェロという楽器がこんなにも大きな世界を創り上げるものなのだということに
少なからず驚きも覚えた。勿論、彼女をしての世界であることは言うまでもないが・・・。
アンコールの“タイスの瞑想曲”は、なんとなく鼻歌を歌うようなそれだけに情緒豊かな演奏。
私には、非日常的世界から世俗的世界に戻るための魔法を解くおまじないのようでもあった。
近々葛飾フィルでお世話になる三舩優子さん。
彼女の出演コンサートが、我が家から1時間程度の松戸であるということをたまたま知った。
そんなら、挨拶も兼ねてちょっくら聴きに行ってみようか。
正直なところ、そんなことをふと思ったことが今日のコンサートを聴くきっかけだったのだが、
こんな素晴らしいコンサートが聴けて本当にラッキーだった。
そして、一度に長谷川陽子さんと三舩優子さんの二人もの音楽家のとりこになってしまった。
やっぱり、音楽は演奏会に足を運んで聴くもんだな。
終演後には、昨年リリースされた三舩優子さんのCD「バーバー/ピアノ作品集」を買い求め、
「GAOさん!」なんてサインをもらって、握手までしてもらっちゃうのであった。
このCD、「レコード芸術」誌で特選盤に選ばれるなど、なかな評価が高いそうだ。
いい歳したおっさんが、アイドルの握手会よろしくサインの列に並ぶのは恥ずかしかったが、
その際、葛飾フィルの演奏会よろしくとかなんとか色々とお話をさせていただくなど、
しっかりと副団長としての職責を果たすことができた。
マネージャーさんとも打ち合わせができて、松戸まで出かけたかいがあったというものだ。
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松戸市の“森のホール21”で開催された「長谷川陽子・三舩優子デュオ・リサイタル」だ。
ピアニストの三舩優子さんは、来る6月6日(日)の葛飾フィル第39回定期演奏会で、
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番のソリストをお願いしている方である。
かなり前にどこかのプロオケの定期でピアノ協奏曲を聴いたことがあった記憶があるが、
この機会に、もう一度しっかり生演奏を聴いて、そして挨拶しておくことが目的であった。
勿論、長谷川陽子さんのチェロの生演奏も、以前からぜひとも聴いてみたいと思っていた。
■■■ 長谷川陽子・三舩優子 デュオ・リサイタル ■■■
日時:2010年2月27日(土)14:00開演
場所:森のホール21(松戸)小ホール
出演:長谷川陽子(Vc)、三舩優子(Pf)
曲目:ショパン/序奏と華麗なるポロネーズOp.3
ショパン/チェロ・ソナタト短調Op.65
ショパン/スケルツォ第2番変ロ短調Op.31
モーツァルト(ヴォドロス編)/トルコ行進曲
カサド/無伴奏チェロ組曲
ブロッホ/ニーグン
カステルヌオーヴォ=テデスコ/フィガロ
≪encore≫
マスネ/タイスの瞑想曲
今日のコンサートは主催者側の要請もあり、長谷川さんと三舩さんのおしゃべりを交えながら
時折、客席の笑いを誘うようなリラックした雰囲気で楽しいものだった。
プログラム前半は、ショパン・イヤーにちなんだショパンの2曲。
チェロ・ソナタはあまり演奏される機会が少ないが、ピアノの詩人と呼ばれた作曲家が
チェロのためにこんなに美しくて素敵な曲を残していたのか!とハッとさせられる曲。
長谷川陽子さんのチェロは、音の遠近感と音色の様々な変化で細かいニュアンスを丁寧に描き、
この曲の魅力を余す所なく我々に伝えてくれるものだった。
彼女の生の演奏を聴くのは今日が初めてであったが、その音色の多彩さや音の奥行きの深さ、
音楽のスケールの大きさと豊かな歌心に、一聴して魅了されてしまった。
三舩優子さんのピアノは、これまた好サポートの域を超えると言って良い素晴らしい演奏で、
チェロとの掛け合いがなんともいえず聴きものであった。
音楽のキャラクターを自在に演奏し楽しんでいる様は、その表情からも十分にうかがわれ、
6月には彼女と共演できるのかと思うと嬉しくてワクワクしてくるものだった。
後半は、2人がそれぞれにソロ演奏を披露し、再びデュエットで締めくくるという流れ。
先発の三舩優子さんはショパンのスケルツォとヴォドロスという人の編曲したトルコ行進曲。
スケルツォ第2番の冒頭の部分がそう聞こえることから、邦人演奏家の間ではこの曲のことを
「トコロテン(心太)」と呼んでいるという面白い話を披露されてからの演奏だったが、
なるほど、そういう耳で聴くと確かにそう聞こえる。
・・・っていうか、そんな話聴いたら、これからはそのようにしか聴けなくなったりして・・・
まあ、そんな違った角度からの楽しみ方はあるとしても、三舩さんの演奏はスケールが大きく、
トコロテンどころの音楽ではない。
終演後、うかがったお話では少しミスもあったとのことだが、そんなことは気にもならない
スケール感と推進力(躍動感?)がしっかり音楽を支えているって感じで聴き惚れてしまった。
その上、よくコントロールされたタッチで微妙なニュアンスも見事に紡ぎだされて心地よい。
・・・そのこと自体を感じさせないから、コントロールされたなんて言うのも失礼か・・・
ヴォドロスの編曲によるモーツァルトのトルコ行進は大変ユニークな曲だ。
原曲の3倍くらいに音が増えた変奏曲の風で、多分、難しい曲なんだろうなと思う。
三舩さんは、初めてこの編曲を聴いた時に大変衝撃を受け、自らも演奏したいと思ったそうで、
今日の演奏からは、この曲に対する演奏家の愛情と楽しさが十分に伝わってくるものだった。
長谷川陽子さんのソロは、カサドの無伴奏組曲である。
この曲はまさにスペイン!というくらいにスペインが堪能できる私の大好きな曲である。
長谷川さんが「今日は体育会系のプログラムになってしまった」と話されていたように、
この曲も難曲だが、彼女の演奏は難曲だということを感じさせない情熱的な演奏だった。
プログラム最後の曲も難曲揃いだったが、長谷川さんの集中と精神力はそういうものを
超越していて、演奏とともに聞こえてくる彼女の呼吸だけで彼女の世界に惹き込まれてしまう。
彼女が20年程前にファーストアルバムを出した頃、FM放送で流れたその演奏を聴いた時、
なんだか物凄いチェリストが出てきたなと感じたものだが、生演奏を初めて聴いた今日、
その時の印象が確かなものだったということを改めて実感し、彼女に巨匠を感じた。
それから、チェロという楽器がこんなにも大きな世界を創り上げるものなのだということに
少なからず驚きも覚えた。勿論、彼女をしての世界であることは言うまでもないが・・・。
アンコールの“タイスの瞑想曲”は、なんとなく鼻歌を歌うようなそれだけに情緒豊かな演奏。
私には、非日常的世界から世俗的世界に戻るための魔法を解くおまじないのようでもあった。
近々葛飾フィルでお世話になる三舩優子さん。
彼女の出演コンサートが、我が家から1時間程度の松戸であるということをたまたま知った。
そんなら、挨拶も兼ねてちょっくら聴きに行ってみようか。
正直なところ、そんなことをふと思ったことが今日のコンサートを聴くきっかけだったのだが、
こんな素晴らしいコンサートが聴けて本当にラッキーだった。
そして、一度に長谷川陽子さんと三舩優子さんの二人もの音楽家のとりこになってしまった。
やっぱり、音楽は演奏会に足を運んで聴くもんだな。
終演後には、昨年リリースされた三舩優子さんのCD「バーバー/ピアノ作品集」を買い求め、
「GAOさん!」なんてサインをもらって、握手までしてもらっちゃうのであった。
このCD、「レコード芸術」誌で特選盤に選ばれるなど、なかな評価が高いそうだ。
いい歳したおっさんが、アイドルの握手会よろしくサインの列に並ぶのは恥ずかしかったが、
その際、葛飾フィルの演奏会よろしくとかなんとか色々とお話をさせていただくなど、
しっかりと副団長としての職責を果たすことができた。
マネージャーさんとも打ち合わせができて、松戸まで出かけたかいがあったというものだ。
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