第37回定期演奏会を明日に控え、我々葛飾フィルハーモニー管弦楽団の面々は、
今日(6/6)午後から、会場の“かつしかシンフォニーヒルズ”モーツァルトホールで、
舞台のセッティングや受付周りの準備に入った。
昼過ぎにホールを開け、13:30頃には役員や実行委員が続々と会場入りする。
最初は、明日の開場時から受付窓口でお客様をお迎えすることになる
チケット係や当日券販売係など、実行委員会の面々が集まり、
担当する仕事の手順を確認したり、窓口の設営を始める。
葛飾フィルの場合、預かりチケットや当日券の販売窓口のほかに、
座席指定券と引き換える「チケット引換券」をお持ちのお客様のための窓口と、
区内外から抽選で招待する「ご招待当選ハガキ」をお持ちのお客様のための窓口と、
都合3種類の窓口が設けられているため、お客様が混乱することのないように、
それぞれの窓口が遠くからでもよくわかるように各窓口に案内掲示をしている。
さらに、当日は、開場時間の30分程度前から、お客様の列を整理する係が数名
エントランス前でお客さまをお迎えし、様々なお問い合わせやご相談に対応している。
受付カウンターも早々にセッティングし、窓口で必要となる文具一式や、
演奏会前当日の進行表や楽団員の役割分担表、それに座席表などを備える。
葛飾フィルの演奏会は、以前は全席自由だったが、6年前から全席指定にしており、
チケットに記載された座席番号を座席表で確認してお客様に案内することも、
受付窓口での重要な仕事になっている。
また、明日は、この受付窓口のしごとを、葛飾フィルのサポーターの方々が数人
お手伝いに来てくださるので、その方々が難なくお手伝いしていただけるよう、
役割分担別にやるべきことを説明したメモなども用意している。
こういった細かい段取りは、演奏会実行委員会が中心となって準備を進めているが、
ここ数回は実行委員会でも要となっているK嬢が、段取り良く用意しているので安心だ。
さて、演奏会に向けた準備は受付窓口だけではなく、舞台でも始っている。
オーケストラ演奏に必要な譜面台や椅子、指揮台やら大物楽器は奈落にあるので、
ホールの舞台さんたちが見守る中、せりを奈落まで下ろしてエレベーターよろしく
舞台の上まで持ち上げるのである。
はいはい、危ないから近寄らないでくださいよ~!
で、奈落の底をのぞいてみるとこんな感じ。
地下の楽器庫からハープやコントラバスを持ち込んできている様子が見える。
さらに譜面台や椅子にティンパニをはじめとする打楽器類もここから持ち上げる。
この手の作業に動員されるのは、葛飾フィルの中でも比較的若い男連中である。
といっても、人出が足りなければ私のように40過ぎた輩も一緒に汗かいている。
今回はホールの舞台さん方々もいつもより多くの助っ人が参加。
この4月から“かつしかシンフォニーヒルズ”を管理運営する指定管理者として、
昨年度とは異なる新たな事業者が担当されているが、今回のコンサートが、
我々葛飾フィルとの初顔合わせのコンサートでもあり、不測の事態に備えての
手厚い布陣で臨んでいただいたようである。(感謝感激雨あられ)
奈落から持ち上げた譜面台や椅子、舞台袖から持ち出したひな壇用の板や足などは、
こうして、一旦舞台の前面に並べて、反響板をセットしてから舞台づくりとなる。
今度はセリにティンパニ等の打楽器類を置き、ひな壇最上段として持ち上げて、
金管楽器が横一列に並び、その前に木管後列、さらに木管前列とひな壇を作っていく。
ところで、客席1Fを上った後方に、緑色の非常口案内灯がみえるが、
その扉の向こうはホワイエとなっている。
この舞台セッティング作業に並行して、ホワイエでも別の作業が行われている。
さて、ホワイエでは15:00スタートで、演奏会プログラムに、アンケート用紙や
次回演奏会のお知らせ、かつしかシンフォニーヒルズや他団体の演奏会のチラシを
挟み込み、ペグシル(アンケート記載用の筆記用具)を取付ける作業が行われている。
単純な作業なので、それなりに世間話で盛り上がりながら賑やかにやっている。
この作業は、舞台セッティングと受付周りの準備に回っている楽団員以外は
基本的に全楽団員(必須)で行っている。
つまり、葛飾フィルの定期演奏会は、前日の午後から楽団員の誰かが何らかの
準備作業に従事しており、全員体制で演奏会づくりを行っている。
勿論、土曜日にも仕事を持っている楽団員もいるので、作業に参加できない者は、
別の準備作業や役割を担うことによって何らかの貢献をしている。
・・・アマチュアだし、当たり前といえば当たり前のことではあるが・・・
このチラシ等挟み込み作業であるが、楽団員の他に、チラシを挟み込みたいという
他のアマチュアオーケストラなどの団体からは作業要員を派遣していただいている。
私が葛飾フィルに入団した頃は、他団体からのチラシ挟み込み依頼などほとんどなく、
挟み込むものも、葛飾フィルが用意しているアンケート用紙と楽団員募集のチラシに、
かつしかシンフォニーヒルズから依頼される主催コンサートのチラシ数種類と、
葛飾吹奏楽団、葛飾区民合唱団といった区の姉妹団体のチラシくらいだった。
だから、これらの挟み込み作業も楽団員だけでカバーできていた。
ところが、ここ数年、葛飾フィルの名前も徐々に知られてきているのか、
他団体からのチラシ挟み込み依頼が急増し、その数20団体近くにものぼっており、
楽団員だけの対応では捌ききれなくなってきて、作業要員の派遣をお願いしている。
そうなると、作業にいたずらに時間をかけることもできず、
作業ラインをこれまでの2列から4列に増やすなど、効率アップの工夫をしている。
単純なチラシ挟み込み作業ではあるが、用意周到な段取りが必要なのだ。
おっと、こちらではチケットの整理も始めたようである。
葛飾フィルでは、開場時間前のご来聴者によるホール入口付近の混雑解消の目的と、
早くから並んでいただかなくてもご希望の座席で演奏を聴いていただけるように、
全席指定制をとっている。
(ただし、すみだトリフォニーで開催する次回第38回定期は指定席・自由席の混合だ。)
チケット係のN女史は、楽団員から返却されたチケットや売れ残ったチケットを整理し、
座席表と照合しながら、お客様の希望に応じてすぐさま目的の座席番号が記載された
チケットを取り出せるように規則正しく並べているのである。
明日の受付窓口では、当日券の購入による座席指定チケットの販売窓口と、
「チケット引換券」や「ご招待当選ハガキ」を座席指定券に引き換える窓口とで、
それぞれにその場で座席が指定されることになる。
その際、“葛飾区報”や音楽誌、演奏会情報誌等でのプレゼント抽選に当選した方や
区内の高齢者施設や小中学校への招待に応募してきた方々よりは、やはり入場料を
支払って当日券をお買い求めになる方々のほうが、より良い席が選べることになる。
ご招待の抽選に当選してこられる方の中には、葛飾フィルの演奏会を毎度楽しみに
していただいているお客様が多数いらっしゃっていて嬉しく思うが、
当日、座席指定券に引き換える際、必ずしも希望の席に座れないために
苦情を寄せられる方も少なくない。
残念ながら、演奏会当日に座席指定券と引き換えられる場合には、既に相当数の
指定座席が埋まっていることになるので、ご希望にはそえかねるのである。
そういう方々には、次回から、早めに前売券を購入されることをお勧めしている。
長らくの葛飾フィル・ファンの中には、より良い席で演奏を楽しむために
早くからご希望の座席にチケットをお買い求めてくださる方が徐々に増えてきている。
一方で、当日の受付窓口で無理難題を主張される方もまだまだいらっしゃるので、
受付で対応する楽団員の中には、理解が得られるよう説明するために心を砕き、
自ら演奏するコンサートの前にちょっと辛い思いをすることもある。
一朝一夕には解決しないので、時間をかけてわかっていただくしかない。
ちょっと話がそれたかもしれないが、全席指定制は、ホール前に行列ができて
その整理のために四苦八苦するという苦しみからは解放されたのだが、
演奏会当日に座席指定券を発行するという受付窓口での対応に、
やや感情的なやりとりが発生してしまうという困難を生み出しているのも事実。
端的に言えば、「タダで聴くなら座席までは選べない。希望の席で聴きたいなら
早めにチケットを購入するしかない。」ということをお願いしているのだが、
こういうことが定着するにはもう少し時間がかかるようだ。
チケット係は、そういうことも含めてなかなか悩ましいことをこなしている。
さて、再び舞台セッティングの様子をのぞいてみると、ひな壇が出来上がってきた。
楽団員は、ステージマネージャーとホールの舞台スタッフの指示を受けながら、
ひな壇の板や足を運び、しっかりと組み上げていくのである。
ここまで出来上がったら、あとは演奏者の譜面台と椅子を並べていくだけである。
並べるだけと言っても、それぞれの演奏者から、指揮者やコンサートマスターが
よ~く見えるように微調整しながら並べていくのである。
プロのオーケストラともなると、それぞれの専属のステージマネージャーが、
まさに職人気質的にそのプロフェッショナルな仕事ぶりを発揮するのだそうだが、
まあ、アマチュアの場合、大抵の場合は、“こんな感じかな”的に並べていく。
勿論、アマチュアだからとあなどるなかれ、という人材も多くいるのも事実だが。
葛飾フィルの場合、プロのステージマネージャーに仕事としてのステマネをお願いし、
舞台セッティングに当たっては、楽団員の舞台係O氏が補佐して作業を行っている。
我々は、彼らの指示通りに譜面台や大型楽器などを運び椅子を並べるだけでよく、
これをどのあたりに置けばよいかとか、椅子と椅子の間はこのくらいの感覚か?
などと、あれこれ悩む必要はない。
効率的といえば効率的であるが、私自身はこのことにやや疑問がある。
このままでは、楽団員のなかに、ある程度に皆からの信頼が得られる数人程度の
ステマネ人材が育たないのではないか?また、ノウハウが定着しないのではないか?
ということである。
これまでに、葛飾フィルの多くの先輩諸氏にこの疑問をぶつけてきたが、
一応、ひととおり納得のいく回答をしてくださった先輩楽団員は数人程度であった。
そもそもの経緯、現在の楽団員規模など考えると、当面、現状維持なのだろうが、
一長一短であり、将来的には、色々と考える必要もあると思っている。
そんなことを考えながら別の作業をしているうちに、指揮台もセットされ、
舞台セッティングは微調整の段階に入った。
もう、よほどのことがない限り力仕事も不要なので、ステマネと舞台係を残して、
舞台セッティングを担当した若い男連中はその作業から解放されるのであった。
上から見ると、整然と並んでいる譜面台と椅子だが、楽団員が座って練習が始まると、
座っている姿勢や楽器の構え方などの個人差を要因として、各々が微調整をして、
やや形を変えていくことになる。
しかしながら、そのベースとなった並びは、そこはプロの仕事。
葛飾フィルのホールでの演奏写真は、正面から見ても斜め横や上から見ても、
その舞台上の並び方はちゃんとバランスが取れていてキレイだという評価がある。
素人の我々では、なかなか真似のできないことなんだろう。
ホワイエでのチラシ等の挟み込み作業は、挟み込むチラシも残り少なくなり、
作業のラインも徐々に縮小して、最後に一列を残すのみとなった。
この段階で、他団体から派遣されてきた作業要員の皆さんには解散していただき、
残り十数分は、楽団員のみで作業をおこなうことになる。
今回、他団体からのお手伝いの方々が作業を行った時間は45分程度であった。
私も、他のアマオケの演奏会に際して、自分が所属するオケのチラシを挟み込むため
その作業に参加したことがあるが、その団体数は実数で30団体くらいある。
想定動員数800人くらいから、2,000人規模まで様々な団体の作業に顔を出したが、
ほとんどの団体の作業時間は1時間程度で行われており、今回の45分というのは、
葛飾フィルとしては、結構優秀な結果を出したのではないかと思う。
かつて、プログラム数2,000部超、挟み込みチラシ数30枚超という団体で作業し、
作業完了までの時間が35分という体験をしたことがあるが、やはり作業ラインを
数多く(8ラインくらい)設定し、適切な人数を配置して効率よく作業していた。
一方で、それほどプログラム部数は多くないし、作業要員も十分揃っているのに、
作業ラインが少ないために、渋滞が多発したり、手持ち無沙汰な要員が多くなり、
結果として2時間近くもかかったなんて団体も経験したことがある。
それぞれの団体のカラーや担当者のマネジメント能力や段取りの良し悪しなど、
ほんの1時間足らずの作業に触れることで、そのオーケストラの一面がよくわかる。
たかがチラシはさみ、されどちらしはさみ。・・・である。
チラシ等の挟み込み作業をお手伝いいただいた他団体の方々には、
帰り際に、明日の演奏会の座席指定券との引換券をお渡ししているが、
数人が「明日はぜひ聴きたい」と希望して持ち帰ったものの、多くはそうではない。
アマオケで活動している多くの人達は、他所のアマオケの演奏会もよく聴いている。
と、思いきや、意外にも聴いていないのである。これが。
我が葛飾フィルの多くの楽団員も、どうやらそうらしいのである。
友達でも出演しなければ、聴きに行こうとは思わないのだろうか。
いろいろと理由はあるのだろうけれど、なんか寂しい感じ。
ちなみに、私は、平均すると2月に1度くらいは、他団体の演奏会に足を運ぶ。
勿論、知人が出演する場合、興味のある指揮者やソリストが登場する場合もあるし、
珍しいプログラムを取り上げている演奏会であったりもする。
感心することもあれば、ガッカリすることもある。
良くも悪くも、まずは聴きに行ってみなきゃわからんがな~。
さて、舞台のセッティングも出来上がったようだ。
受付やホワイエでの作業もだいたい収束しており、全体の準備も一段落する。
あとは、ゲネプロまでの間、まだまだ裏方の準備作業を続ける者、一休みする者、
最後の追い込み練習に励む者、夕食がてらしっかり腹ごしらえに出かける者などなど、
思い思いのひと時を過ごすのである。
楽団員のみなさん、準備作業お疲れさまでした。
さあ、ゲネプロ開始は18:00のタクトダウンだ!
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