GAOの隠れ処「ムンダナ」

都内のアマチュアオーケストラでVnとVaを弾いているGAOの、音楽を中心とした関心事についてのあれこれ

KYRARYK ENSEMBLE CONCERT

2010-03-01 23:05:04 | 音楽日記
葛飾フィルの楽団員に、千葉県立幕張総合高等学校シンフォニックオーケストラ部出身の
元気なお嬢さん方が、ヴァイオリンに2人、ヴィオラに1人いる。
3人とも現役時代はファースト、セカンド、ヴィオラのトップを務めていた同級生で、
我々葛飾フィルのおっさん達は、彼女達を“幕張三人組”などと呼ぶことがある。

先日、この三人組のひとり、ヴァイオリンのO嬢から演奏会へのお誘いのメールをいただいた。
高校のオーケストラ部のOB、OGを中心としたメンバーでアンサンブルを編成して
コンサートをやるので聴きにきて欲しいとのことである。
勿論、“幕張三人組”は全員参加し、もうひとりのヴァイオリンのS嬢と大学の同級である
やはり葛飾フィルでヴィオラを弾いているG嬢も賛助出演するという。
年々平均年齢が上昇している葛飾フィルに、新しい風と元気をもたらした彼女達の演奏会。
O嬢からのメールには「私はこれに全てをかけています」という気迫の一言。
これは聴きに行かないわけにはいかない。

今日(3/1)、仕事帰りに錦糸町に寄って、すみだトリフォニーホール(小ホール)で
彼女達のコンサート“きらりアンサンブル演奏会”を聴いた。

■■■ きらりアンサンブル演奏会 ■■■
 日時:2010年3月1日(土)19:00開演
 場所:すみだトリフォニーホール 小ホール
 出演:きらりアンサンブル
 独奏:西方正輝(Vc)
 曲目:デュカス/バレエ「ラ・ペリ」~ファンファーレ
     ガブリエリ/ピアノとフォルテのソナタ
     ブラームス/ピアノ三重奏曲第1番ハ長調Op.8~第1楽章
     ドップラー/アンダンテとロンド
     シューマン/ピアノ五重奏曲変ホ長調Op.44~第1、4楽章
     ハイドン(ミラー編)/「天地創造」~“大いなる偉業はなりぬ”
     ファーナビー/組曲「空想、おもちゃ、夢」より
     フランス民謡(アイヴソン編)/フレール・ジャック
     アーノルド/3つの船乗りの歌
     イベール/3つの小品
     スーク/弦楽セレナーデ~第1楽章
     ハイドン/チェロ協奏曲第1番ハ長調~第3楽章
     ≪encore≫
     バッハ/主よ人の望みの喜びよ



会場に到着した時には、前半のプログラムがスタートしていた。
前半には出番のないヴィオラのK嬢が受付でチケットをもぎり、プログラムを手渡してくれた。
プログラムをみてお分かりのように、この団体、全てを全員で演奏するわけではなく、
ピアノ・トリオやピアノ・クインテット、木管アンサンブル、金管アンサンブルなどなど、
総勢28人のメンバーが様々なアンサンブルや室内オケを組んで演奏するというものだ。
そして、メンバーのプロフィールに目を通して驚いた。
なんとこの中の18人が音楽大学で学び音楽家としての道を歩んでいるのである。
田舎から上京してきた私が知っている千葉県立幕張総合高等学校は、いわゆる進学校である。
そういう高校から、オーケストラ部の卒業生といっても、これほど音楽の道に進んでいるとは、
多種多様で豊かな人材を輩出しているということなのだろうか・・・。驚きだ。

さて、一部の途中、曲の入替りのタイミングで客席に着いた。
最初の演奏は、ヴァイオリンのS嬢が出演するブラームスのピアノ・トリオである。
ブラームス若かりし頃のこの作品、青年作曲家の印象が曲全体に色濃いこの曲であるが、
S嬢は、普段、葛飾フィルではあまりみせることのない豊かで伸びやかな表情をみせた。
音も太くよく通っていて、彼女にみたことのないパッションを感じた。なかなかやる!

シューマンのピアノ・クインテットではこの演奏会の代表をも務めているおO嬢が出演。
演奏会へのお誘いの段階から「私、シューマンやりますから、ぜひ聴いてください!」と
何が何でもこのシューマンを聴かんと許さへんで!という意気込みであった。
そして、なんと、先ほどブラームスでヴァイオリンを弾いたS嬢が今度はヴィオラを担当。
これまた、なかなか集中の高い、かなり意気込んだシューマンを聴かせてもらった。
O嬢の表情はやや硬い感じに見えたが、シューマン好きですって言っている様な演奏。

後半は、管楽器によるアンサンブルが続いたが、最後の木管五重奏、イベールの3つの小品は、
学生時代からオケの仲間達がよく演奏しているのを聴いて慣れ親しんだ曲である。
大学オケの団内演奏会で木管メンバーがよく取り上げていたので、あの頃を思い出したりした。

スークの弦楽セレナーデでは、いよいよヴィオラのK嬢とG嬢の出番がやってきた。
K嬢は「私の出るスークは聴きものですよ!」と豪語していたが、なるほどヴィオラの音色は
二人の音がよくブレンドしてなかなかいい味出している。響きも良い。
そして、たまにみせる楽しそうな表情がいい。
弦楽器全員がよく歌っていて、何度も聴いてきたこの曲がまた新鮮なものに感じられた。

そして、実は、今日のプログラムで突出して圧巻だったのがハイドンのチェロ・コンチェルト。
“幕張三人組”の一つ後輩だという、東京藝術大学3年生の西方正輝氏の独奏が素晴らしい!
独奏者の指揮による第3楽章は、いきなり速いテンポでスタートしたので、オーケストラが
多少荒くなってしまうのではないかと思いきや、一糸乱れぬ粒がそろった演奏で弾ききった。
そして、その速いテンポの中で緩急強弱を自由自在に演奏し、速さをものともせずに
涼しい表情で喜々として自分の音楽を出し切った彼に、今日一番の拍手喝采が送られた。
とてもワクワクしたスリリングなハイドンで、聴いている我々も本当に楽しい瞬間だった。

ソロとオケの一体感も、高校時代に築き上げた彼らの篤い信頼のうえに成り立つものだろう、
あっいいな・・・と、観ていて、聴いていてとても心地の良いものだ。
そういう空気が羨ましいくらいだった。

西方氏は、来年度の東京藝術大学のモーニングコンサートで、藝大オーケストラをバックに
誰かのコンチェルトを演奏することが決まっているそうだ。
いやはや、こんな名手の演奏が聴けるなんて思ってもいなかった。
千葉県立幕張総合高等学校シンフォニックオーケストラ部の層の厚さに驚くばかりだ。


終演後は、やはりこの演奏会を聴きにきていた葛飾フィルのチェロのⅠさんと一緒に、
ロビーで感動の余韻にひたっている“幕張三人組”とG嬢にお祝いの声をかけてきた。
チェロのⅠさんとは同世代だが、演奏した彼女達は、私の長男と同世代である。
今日の演奏会で、思いがけず若者パワーの大きなエネルギーをいただいた。
自分もいつの間にか我が子達から元気付けられるような歳になっていたのだということまで
実感させられたが、でも、一緒にワクワクしたり楽しんだりできるのはまだまだ若い証拠だ。
とにもかくにも元気づけられた楽しい演奏会だった。

出演した皆様お疲れさまでした!
そして、楽しいひとときをありがとう!


O嬢、S嬢、K嬢、G嬢の4人さんは、明日から葛飾フィルの練習に頭を切り替えようね!



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