ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

赤ずきんちゃん四姉妹(2)

2008-12-24 | さかなのナカ/ 赤ずきんちゃん四姉妹
ある日のこと、赤ずきん夏子ちゃんは、とってもきれいな、珍しいちょうちょうを見つけました。赤ずきん夏子ちゃんは、そのちょうちょうをもっと見ようと、追いかけました。ちょうちょうは、野原を越え、小川を越え、畑も越えて、森の中に入って行きました。

森の中に入ったところで、赤ずきん夏子ちゃんはちょうちょうを見失ってしまいました。気がつくと、もう夕方です。もうすぐ5時です。

「困ったわ。5時までにおうちに帰らなきゃ。だって、決まりだもの。」

赤ずきん夏子ちゃんは、森の中を歩き始めました。歩けば歩くほど、自分がどこにいるのか、わからなくなってきました。でも、赤ずきん夏子ちゃんは、5時までにおうちに帰ろうと、いっしょうけんめい歩きました。

赤ずきん夏子ちゃんは、洞穴を見つけました。大きさといい、具合といい、ちょうどおうちにピッタリです。

「あ、ここが私のおうちだわ。ただいま。よかった。5時に間に合った。」

入り口のところに、ちょうどいい具合に水が入った木のうろがありました。

「さあ、手と顔を洗いましょ。だって、決まりだもの。」

洞窟の中に入った赤ずきん夏子ちゃんは、さっそく宿題を始めました。外は、もう薄暗くなっています。洞窟の中には、明かりがなくて、自分が書いている字もあまりよく見えません。

「私、絶対、宿題を終わらせるわ。だって、決まりだもの。」

ちょうど宿題が終わったころ、入り口のところで音がしました。

「お父さん、おかえりなさい。遅いからどうしたのかと心配しちゃった。私は、ちゃんと5時までに家に帰っていたし、ちゃんと手と顔も洗ったし、ちゃんと宿題も終わらせたわよ。だって、決まりだもの。」

そこは、狼の洞窟でした。狼は、赤ずきん夏子ちゃんを食べてやろうと思いましたが、赤ずきん夏子ちゃんがあまりにも馴れ馴れしいので、食べるのは止めて、自分がしとめてきた獲物を分けてくれました。それから狼は、赤ずきん夏子ちゃんを自分の子どもとして育てました。そして、赤ずきん夏子ちゃんは、立派な狼女になりました。

(つづく)

赤ずきんちゃん四姉妹(1)

2008-12-23 | さかなのナカ/ 赤ずきんちゃん四姉妹
そのむかし、ある村にひとつの家族が住んでいました。その家族は、お父さん、もう働いている大きいお兄さん、そして四人の女の子たちでした。女の子たちは、おそろいの赤いずきんをかぶっていたので、赤ずきんちゃん四姉妹と呼ばれていました。

女の子たちは、お父さんと決まりがありました。5時までに帰ってくる。帰ってきたら、手と顔を洗う。夕食までに宿題を済ませる。その決まりを1つ破れば、手にムチ一回です。それも、軽くポン、なんて具合ではありません。お父さんが力一杯叩くのです。

ある日のこと、赤ずきん春子ちゃんは、とってもきれいな、珍しいちょうちょうを見つけました。赤ずきん春子ちゃんは、そのちょうちょうをもっと見ようと、追いかけました。ちょうちょうは、野原を越え、小川を越え、畑も越えて、森の中に入って行きました。

森の中に入ったところで、赤ずきん春子ちゃんはちょうちょうを見失ってしまいました。気がつくと、もう夕方です。もうすぐ5時です。

「決まりがある家なんて、めんどくさくて、大嫌い。もっと遊んでいたいわ。」

赤ずきん春子ちゃんは、森の中で、きれいな光る虫を見つけました。木にも登りました。花を摘んでブーケを作ったりして、とても楽しく遊びました。あたりは、すっかり暗くなりました。おなかもすいてきました。おなかがすくと、イライラしてきました。そして、お父さんのことを思い出しました。

「どうしてお父さんは、ここにご飯を持って来てくれないの。私がこんなに困っていることもわからないのかしら。どうなってるの。ほんとに役に立たないお父さんね。なんてことよ。私のことをこんなにほったらかしにして。私のことなんか、どうでもいいんだわ。もうほんとに、やんなっちゃう。」

そう言って、お父さんのことをぼやいていたので、赤ずきん春子ちゃんは狼が近寄ってきたことにまったく気がつきませんでした。そして狼に食べられてしまいました。

(つづく)

さかなのナカ(6)ウンチク後編

2008-12-22 | さかなのナカ/ 赤ずきんちゃん四姉妹
ナカの話に戻ります。ナカは気がつきました。「ボクの中から出てくるものが、ボクのお気に入りの水槽の中の水を汚している・・。ボクの中から出てくるもの・・。ボクには、どうしようもない。」

私たちは、どんなにがんばったところで、自分をどうすることもできません。外側を変えることはできませす。でもそれは、外側のことで、本当の自分は前のままです。英会話なら、努力すれば身につきます。テニスなら、練習すればうまくなります。しゃべり方やしぐさも、だれかのマネをすることはできます。だけど、自分を変えることは、どんな努力をしても、できないのです。

でも、これがストーリーの終わりではありません。ナカが自分をすっかり飼い主に任せたとき、水槽の水を汚すものがナカから出てこなくなりました。ナカは、新しいナカになりました。

グッドニュースがあります。あなたも、ナカのように、新しいあなたになれるのです。あなたが、あなたのために、あなたの住むこの世界を用意し、生きていくために必要な空気、水、太陽を無料で供給し続け、食べたり、おじゃべりしたり、歌ったりという楽しみを与えてくださった、あなたの造り主、神様にあなたをまるごと任せるなら、神様は、あなたを新しいあなたに造り替えてくださいます。

ナカは、いっしょうけんめい、いっしょうけんめい考えました。考えて、また、考えました。そして、答えました。あなたも、じっくりこのことについて考えてみてください。そして、あなたもためしてガッテンしてください。

だれでもキリストのうちにあるなら、
その人は新しく造られた者です。
古いものは過ぎ去って、
見よ、すべてが新しくなりました。
(コリント人への手紙第二 5章17節)


(次回からは、新しいストーリーです。アクセスしてくださいね。)

さかなのナカ(5)ウンチク前編

2008-12-21 | さかなのナカ/ 赤ずきんちゃん四姉妹
ナカは、お気に入りの水槽の中に住んでいました。でも、問題が一つありましたね。水が汚れてくることです。ナカは、自分のからだが薄汚れてきたことに気がつきました。それで、自分を洗えばいいと思いました。ところが、結果は、ご存知のとおり、うまくいきませんでした。

私たちにも、こういうことって、あると思いませんか。外見を変えることで、自分を変えようと思うのです。髪形を変えたり、新しいかばんを買ったり、英会話を習ってみたり、筋力トレーニングを始めたり、なにか、自分の外見や持ち物や違うことをして、自分が新しくなったような気分になるのです。でも、何日(何時間?)かすれば、やっぱり自分は何も変わっていないことにがっかりします。それで、またつぎの新しいことを始める・・。ネバーエンディングストーリーです。

水をきれいにすることは、その水槽の中、その水の中にいるナカには、どうすることもできない問題でした。飼い主が水を入れ替えてくれるまで、ナカには、手も足も出しようがなかったのです。まあ、さかなには、最初から手も足もありませんが。

私たちも、そう感じることってありますよね。こんな自分になったのは、自分のせいではなく、周りのせいだ、環境のせいだ、って思うことです。自分がこんなが性格なのは親のせいだ。自分がハッピーじゃないのは親がお金持ちじゃないからだ。自分が勉強ができないのは先生がバカだからだ。落ち着かないのはカレシやカノジョが物足りないヤツだからだ。自分の評価が低いのは社会が低能だからだ。自分が不幸なのは警視庁が情けないからだ。あげくには、なんで自分にはドラえもんがいないんだ・・

水槽の中の水が汚れる原因は、飼い主が水を取り替えないから---ではありません。ナカの中から水を汚すものが出ているからです。

私たちも、このことを、よく見落とします。確かに、私たちは、自分ではどうすることもできない状況の中で生活しています。自分が選んだり、決めたわけではない条件の中でやっていかなければなりません。けれども、あなたが“薄汚れていく”のは、あなた自身の中にあなたを“汚れさせる”原因があるからです。その原因をほったらかしにして、いくら外見を変えても何も変わりません。周りのせいだと叫んだところで、何の解決にもならないのです。

(次回は、解決の糸口をウンチクります。)

さかなのナカ(4)

2008-12-18 | さかなのナカ/ 赤ずきんちゃん四姉妹
ナカは、泣きそうな気持ちでした。

「どうすれば、ボクは、薄汚れないでいられるんだろう。どうして、水槽の中の水は、だんだん汚れてくるんだろう。」

ナカの飼い主は、ナカがとても悲しそうなのに気がつきました。そして、ナカに言いました。

「あのね、ナカ。あなたの中から出てくるものが、水槽の中の水を汚しているんだよ。」

ナカ「えっ、ボクの中から出てくるものが、水槽の中の水を汚しているの。じゃあ、ボクがこの中にいるから、水槽の中の水が汚れるんだ。」

ナカは、自分が水槽の水を汚している原因だとわかって、もっともっと悲しくなりました。

ナカ「ボクの中から出てくるものが、ボクのお気に入りの水槽の中の水を汚している・・。ボクの中から出てくるもの・・。ボクには、どうしようもない。」

飼い主「あのね、ナカ。もしあなたが、わたしにまかせるなら、あなたの中から、水槽の中の水を汚すものが出てこないようにしてあげらるよ。」

ナカ「でも、そんなこと、どうやって・・。」

飼い主「あのね、ナカ。あなたのために、この水槽を用意したのは、誰だい。あなたのために寝る場所を作り、あなたに楽しみを備え、汚れた水を入れ替えるのは、誰だい。」

ナカ「あなたです。」

飼い主「わたしは、あなたに必要なことは、なんでもしてあげたいんだ。わたしにまかせるかい。」

ナカは、いっしょうけんめい、いっしょうけんめい考えました。考えて、また、考えました。そして、答えました。

ナカ「はい。あなたにおまかせします。」

ナカの飼い主は、ナカを水曜の水の中から取り上げました。そして、手の中にナカを置いて、しばらくナカを包んでいました。ナカは、最初居心地が悪かったのですが、だんだん、とてもゆったりしてきました。いつまでも、そうしていたい気分でした。

ナカの飼い主は、ナカを再び、水槽の中に返しました。ナカは、自分を見て、何か変わったところがないか探しましたが、別にこれといって、変わったところはありませんでした。けれども、それ以来、ナカの中から水槽の中の水を汚すものが出てこなくなりました。そして、一番変わったことは、ナカはいつも飼い主を見ていたいと思うようになったことでした。飼い主の顔を見ることが、ナカにとって一番うれしいことになりました。

ナカは、その水槽の中がとても気に入っていました。

(週末は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります。)