前回に引き続き、リチャード・ヴェルナー氏の「虚構の終焉」という書物をテーマに、主流派経済学について考察していきます
難しい話をできるだけ簡単に解説できるよう努力してまいります
竹中平蔵の行った構造改革は、「規制緩和」ということで、一見、小さな政府に見えることから、「小さな政府」の評判が大変悪くなっています
ヴェルナーによると、要するに主流派経済学は、「自由貿易主義が正しいのだ」という「信仰」を打ち立て
発展途上国や日本、ドイツなどに、自国経済の防衛をさせないよう「手足を縛ること」が目的でした
ここに本来の「小さな政府」の考え方との、微妙なズレがあるのです
主流派経済学とは、とどのつまり日本の憲法9条と同じ。。。政府に自国経済の防衛をさせないように手足を縛るための「信仰」そのものなのです
規制を撤廃させているように見えて、逆に政府の手足を縛っているのが主流派経済学(新自由主義)の信仰です
小さな政府主義者でも、そのへんをきちんと理解していたのがトランプ前大統領でした
トランプ大統領の「アメリカファースト」という言葉は、アメリカの経済システムの保護をも含んでいたのです
その点から比較すると、トランプ大統領の経済顧問を務めていたラリー・クドロー、スティーブン・ムーア、アーサー・ラッファー
彼らもまた、新自由主義の信仰が立っていた方々ではあります。。。それは学者としての良心から来ているものではありますが。。
国民は、すべての圧力から自由であればいいのですが、実際には他国からの脅威にさらされます
それが具体的な武力を伴うものであれば、軍隊が国土と国民を守るべきですが、他国から金融支配の脅威を受けた場合にはどうするべきなのか?
これが、国家の役割の、大きなテーマになるのでしょう
小さな政府というのは、基本的に「夜警国家」という意味であり、国家の役割は国民の「生命・安全・財産」を守ることに限定される
という考え方です
ただ「財産」という言葉が入っている以上、個人や企業だけでは防衛できない経済システムを、国家が個人に代わって防衛すべき
という考え方も成立するのではないでしょうか?
竹中がやったことで個人的に一番いけなかったと思うのは、会社法を改正し、株主の権限を拡大し、外資による会社乗っ取りを推進させたことです
派遣法の改正を行ったことは、これは外資による会社乗っ取りとセットになっています
外資の金融資本が株式を取得して、日本企業の経営に口を出し、どんどん派遣社員を採用して人件費をカットし、短期的利益を出させた
という社会全体に及ぶ会社構造の改革が、竹中の構造改革のミソになるものです
戦前の日本は、資本家の力が強く、株を持っている資本家が経営者にいちいち口を出していました
資本家というのは、経営に携わっている人でなければ、本来は経営にも社員の生活にもあまり興味のない人たちです。。。
彼らの興味はもっぱら「利益と配当」なのです
そこが経営者と資本家では、もっぱら「利益相反」するところなのです
利益相反とは、お互いの利益が相反するということです。。。
つまり経営者は会社の将来的な発展を、社員も会社の発展と自分の出世と収入の増加を望みますが
資本家は資本家の短期的な利益を得るために、会社の設備投資をひかえさせたり、社員の給料をカットさせたりしがちです
「設備投資したり、社員の給料を上げたりするぐらいなら、配当を増やせ」というわけです
戦前の日本の政治家は、現在の新自由主義とそっくりな資本家たちの圧力から経営者を独立させ、経営そのものに力を注がせるために
会社法を改正して資本家の力を削ぎ、銀行システムを改正して銀行に長期の貸し付けを可能にさせて、企業を育ててきた。。。
という経済システムの変更の経緯があるのです
これらは戦前の日本で実際に行われたことなのです
それがですね。。。竹中-小泉構造改革で、会社法が戦前のシステムに戻されてしまった
しかも悪いことに、日本では長期信用銀行のような銀行が倒産し、将来の有望な投資への長期貸付けができる銀行が無くなってしまいました
銀行は不動産を担保とした貸し付けができなくなり、貸しはがしによる銀行への不信感が募り、長期の借り入れをひかえるようになった
こうしたことが、ボディーブローのように日本経済にダメージを与えていると、私は思うのです
竹中は派遣法改正で派遣社員の自由化を行いましたが、それは以前にも解説した通り、税金面の優遇を伴い
「派遣を使うと消費税を節税できる」という「オマケ」をつけることで、派遣会社を大流行させました
これがね。。。日本の平均給与を格段に引き下げているのは明らかです。。。
まあ、平均給与が下がるだけならまだいいですよ。。。努力して給与を稼げばいいだけの話ですから
ですが、意欲や精神面ではどうですか?派遣を使うことで、企業の社員の意欲が増せばいいのですが
正社員から派遣を増やすことで、企業を発展させたいと思う意欲が増えると思いますか?
短期的利益だけを求めても、日本経済は復活することはないと、私は思います
今日は、主流派経済学(新自由主義)の悪い点だけを強調しました。。。次回は必ず、その逆についても考察します
それではまた
難しい話をできるだけ簡単に解説できるよう努力してまいります
竹中平蔵の行った構造改革は、「規制緩和」ということで、一見、小さな政府に見えることから、「小さな政府」の評判が大変悪くなっています
ヴェルナーによると、要するに主流派経済学は、「自由貿易主義が正しいのだ」という「信仰」を打ち立て
発展途上国や日本、ドイツなどに、自国経済の防衛をさせないよう「手足を縛ること」が目的でした
ここに本来の「小さな政府」の考え方との、微妙なズレがあるのです
主流派経済学とは、とどのつまり日本の憲法9条と同じ。。。政府に自国経済の防衛をさせないように手足を縛るための「信仰」そのものなのです
規制を撤廃させているように見えて、逆に政府の手足を縛っているのが主流派経済学(新自由主義)の信仰です
小さな政府主義者でも、そのへんをきちんと理解していたのがトランプ前大統領でした
トランプ大統領の「アメリカファースト」という言葉は、アメリカの経済システムの保護をも含んでいたのです
その点から比較すると、トランプ大統領の経済顧問を務めていたラリー・クドロー、スティーブン・ムーア、アーサー・ラッファー
彼らもまた、新自由主義の信仰が立っていた方々ではあります。。。それは学者としての良心から来ているものではありますが。。
国民は、すべての圧力から自由であればいいのですが、実際には他国からの脅威にさらされます
それが具体的な武力を伴うものであれば、軍隊が国土と国民を守るべきですが、他国から金融支配の脅威を受けた場合にはどうするべきなのか?
これが、国家の役割の、大きなテーマになるのでしょう
小さな政府というのは、基本的に「夜警国家」という意味であり、国家の役割は国民の「生命・安全・財産」を守ることに限定される
という考え方です
ただ「財産」という言葉が入っている以上、個人や企業だけでは防衛できない経済システムを、国家が個人に代わって防衛すべき
という考え方も成立するのではないでしょうか?
竹中がやったことで個人的に一番いけなかったと思うのは、会社法を改正し、株主の権限を拡大し、外資による会社乗っ取りを推進させたことです
派遣法の改正を行ったことは、これは外資による会社乗っ取りとセットになっています
外資の金融資本が株式を取得して、日本企業の経営に口を出し、どんどん派遣社員を採用して人件費をカットし、短期的利益を出させた
という社会全体に及ぶ会社構造の改革が、竹中の構造改革のミソになるものです
戦前の日本は、資本家の力が強く、株を持っている資本家が経営者にいちいち口を出していました
資本家というのは、経営に携わっている人でなければ、本来は経営にも社員の生活にもあまり興味のない人たちです。。。
彼らの興味はもっぱら「利益と配当」なのです
そこが経営者と資本家では、もっぱら「利益相反」するところなのです
利益相反とは、お互いの利益が相反するということです。。。
つまり経営者は会社の将来的な発展を、社員も会社の発展と自分の出世と収入の増加を望みますが
資本家は資本家の短期的な利益を得るために、会社の設備投資をひかえさせたり、社員の給料をカットさせたりしがちです
「設備投資したり、社員の給料を上げたりするぐらいなら、配当を増やせ」というわけです
戦前の日本の政治家は、現在の新自由主義とそっくりな資本家たちの圧力から経営者を独立させ、経営そのものに力を注がせるために
会社法を改正して資本家の力を削ぎ、銀行システムを改正して銀行に長期の貸し付けを可能にさせて、企業を育ててきた。。。
という経済システムの変更の経緯があるのです
これらは戦前の日本で実際に行われたことなのです
それがですね。。。竹中-小泉構造改革で、会社法が戦前のシステムに戻されてしまった
しかも悪いことに、日本では長期信用銀行のような銀行が倒産し、将来の有望な投資への長期貸付けができる銀行が無くなってしまいました
銀行は不動産を担保とした貸し付けができなくなり、貸しはがしによる銀行への不信感が募り、長期の借り入れをひかえるようになった
こうしたことが、ボディーブローのように日本経済にダメージを与えていると、私は思うのです
竹中は派遣法改正で派遣社員の自由化を行いましたが、それは以前にも解説した通り、税金面の優遇を伴い
「派遣を使うと消費税を節税できる」という「オマケ」をつけることで、派遣会社を大流行させました
これがね。。。日本の平均給与を格段に引き下げているのは明らかです。。。
まあ、平均給与が下がるだけならまだいいですよ。。。努力して給与を稼げばいいだけの話ですから
ですが、意欲や精神面ではどうですか?派遣を使うことで、企業の社員の意欲が増せばいいのですが
正社員から派遣を増やすことで、企業を発展させたいと思う意欲が増えると思いますか?
短期的利益だけを求めても、日本経済は復活することはないと、私は思います
今日は、主流派経済学(新自由主義)の悪い点だけを強調しました。。。次回は必ず、その逆についても考察します
それではまた