好酸球性副鼻腔炎

好酸球性副鼻腔炎について知っていただくために開設したブログです。現在更新は行っていません。

好酸球性副鼻腔炎とは

好酸球性副鼻腔炎とは、多発性の鼻茸(鼻ポリープ)で鼻閉と嗅覚障害を起こし、通常の薬が無効で、内視鏡下鼻内手術を行っても再発が多い、難治性副鼻腔炎です。白血球の一種である好酸球が、血液や粘膜で増えているのが特徴です。しばしば喘息(とくにアスピリン喘息)を伴い、好酸球性中耳炎を合併することもあります。アスピリン喘息とは、ほぼすべての解熱鎮痛剤と、着色料や防腐剤などいろいろな誘発物質で喘息を起こす病気です。

ステロイドの作用

2011-09-19 18:39:29 | 治療

どんな薬もそうですが効き目と副作用は裏表一体です。ステロイドの作用には次のようなものがあります。

1. 代謝に対する作用、糖の代謝に作用して血糖値を上げたり、脂肪代謝に影響して高脂血症や肥満を起こします。骨カルシウムの代謝に作用し、骨粗鬆症の引き金になる可能性があります。

2. 視床下部/下垂体のフィードバックによる、副腎の機能不全(とくに、急にステロイドをやめたとき)。

3. 水/電解質の代謝に作用し、高血圧を引き起こすことがあります。

4. 炎症に対する作用。喘息でも好酸球性副鼻腔炎でも、この作用を期待してステロイドを使用します。細かく言うと、アラキドン酸カスケードを抑制し、炎症を引き起こすロイコトリエンなどを減らします。炎症性サイトカイン、接着分子など、炎症の症状を起こしたり、好酸球などの炎症性細胞を局所に誘導する物質も抑制します。好中球やマクロファージといった、炎症性細胞の機能を抑制します。抗体産生も抑制します。このような作用は炎症を改善しますが、同時に細菌などの感染症を起こしやすくなるという副作用も起こり得ます。

好酸球性副鼻腔炎の副鼻腔粘膜や鼻茸でも、好酸球が局所に集まることを減らし、また好酸球の寿命を短くして、好酸球を局所から減らす働きがあると考えられています。しかし、好酸球性副鼻腔炎の鼻茸が、なぜ急速に縮小するのか、ステロイドの働きのすべてが分かっているわけではありません。

 


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内服ステロイド薬1

2011-09-19 16:47:31 | 治療

好酸球性副鼻腔炎に著効を示す薬は、今のところステロイドの全身投与だけです。ステロイドには副作用の可能性もありますので、他の治療法の開発が待たれるところですが、現在のところは、必要なときには副作用に注意しながら内服ステロイドを用いることになります。

ステロイド(コルチゾン)が関節リウマチに劇的な効果があることが報告されたのは1949年ですが、翌1950年にはもうその功績にノーベル賞が与えられていることが、いかに画期的な発見であったかを示しています。その後10年もしないうちに、グルココルチコイド作用(治療に必要な作用)を残し、ミネラルコルチコイド作用を減らした、現在も使われているようなステロイドが、次々に合成されています。

ステロイドのグルココルチコイド作用は、コルチゾールを1とすると、プレドニゾロンが4、デキサメタゾンとベタメサゾンが25です。プレドニン1錠が5mgであるのに対し、セレスタミン1錠には、0.25mgのベタメサゾンが含まれています。血中半減期は、プレドニンが2.5時間、ベタメサゾンが3.3時間です。デキサメタゾンやベタメサゾンは、1錠中に含まれる量は少ないですが、力価が高く持続時間も長いので、注意が必要です。

健常成人の副腎皮質から分泌されるコルチゾールは約1日約10mgと言われています。

ステロイドは抗炎症作用だけでなく、全身にいろいろな作用がありますが、副作用も同様にいろいろあります。ステロイドの副作用の発現は、個人差もありますが、薬の種類、投与量、投与期間によって違います。短期間の投与であれば安全域が広いのに対し、中等量以上を長期間投与すると、副作用は出やすくなるとされています。

一般的に好酸球性副鼻腔炎のステロイド内服は短期間ですので、副作用の可能性はそれほど高くないと言えます。点鼻ならいっそう可能性は減ります。オルガドロン点鼻を1週間に1本使用し、その大部分がのどに流れてのみこんで吸収されたとしたら、プレドニゾロン換算で1日1mg弱です。しかし、長期に至れば絶対副作用が起きないとは言えません。点鼻ステロイド薬も、効果がないのに漫然と続けるのは、避けたいと考えます。

コメント (5)
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