著者の横浜市立大学付属市民総合医療センター耳鼻咽喉科の石戸谷先生も、早い時期からこの病気に取り組まれている先生のひとりです。私の考えとは多少違う部分もあるのですが、必ずしも私の方が正しいとは限りません。リンクしますので参考にしてください。
慢性副鼻腔炎は、1990年代から、薬物療法としてはマクロライド療法が、手術としては内視鏡下鼻内手術が普及して、従来に比べて”治る”病気になりました。
ところが、そうなってみると、マクロライド療法が無効で、内視鏡手術を行っても早期に再発してしまうグループがあることが分かってきました。つい最近まで、”いわゆる難治性副鼻腔炎”などと呼ばれていましたが、現在ではその大部分が共通した病態を持っていることが分かっています。このグループは”好酸球性副鼻腔炎”と名付けられています。
好酸球とは白血球の一種で、アレルギー性の病気や寄生虫の感染に関係します。好酸球副鼻腔炎には、次のような特徴があります。
1. 気道や副鼻腔粘膜組織に著明な好酸球の浸潤が見られ、血中の好酸球値も高い。
2. 成人で発症する。
3. 鼻アレルギー(1型アレルギー)の関与は少ないとされる。
4. 非アトピー性喘息、アスピリン喘息を合併することが多い。
5. 多発性の鼻茸(鼻ポリープ)を合併することが多い。
6. マクロライド療法が効果を示さず、内視鏡下鼻内手術の術後経過も悪い場合が多い。
この病気には、ステロイドの全身投与以外に、明らかに有効な薬はありません。ステロイドと内視鏡手術をうまく組み合わせていくことになりますが、まだ確立された治療指針はできていません。
(この記事は私の個人のブログからの転載です)
好酸球性副鼻腔炎の患者さんと、その治療行う医師のための、Webページをつくろうと思います。まず、ブログのかたちで、順次情報をアップしていきます。情報が増えたら、整理します。
常に新しく、かつ普遍的な情報を集める努力をしていきますが、必ずしもそれが100%正しいと言えない場合があることを、ご承知ください。開業して10年の間、この病気の治療の第一線から離れていたことと、勤務医時代も鼻は耳鼻科、喘息はアレルギー呼吸器内科と分担して治療を行い、喘息に関する知識が専門医レベルではないことが、その理由です。このブログは、私自身の勉強のためでもあります。