本朝徒然噺

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おさらい会

2006年03月05日 | 長唄のお稽古
3月5日、長唄のおさらい会がありました。

おさらい会は、師匠、師匠の奥様、弟子だけが集まり、料理屋さんの二階座敷で行われました。
今は、おさらい会でホールを使うところもあるようですが、もともとお稽古事のおさらい会は、こんなふうに料理屋さんの二階座敷を使って行われるのが定番だったのです。

会場となったお座敷は、広間に金屏風と緋毛氈(ひもうせん)が用意されていて、なかなか本格的なしつらえでした。
内輪だけのなごやかな会ですが、トップバッターだったせいもあり、金屏風の前に座るとやや緊張しました。

おさらい会前々日のお稽古でうまく弾けなかったところは、前日に重点的に自主稽古しておいたので、いざ弾き始めるとわりと落ち着いていました。
もちろん、譜は見ないで弾きます。

普段使っているお稽古用の三味線とお稽古用の撥(ばち)に代わり、おさらい会のときは、演奏会用の三味線と象牙の撥を師匠が貸してくださいます。
自前のお稽古用三味線だと心おきなく撥を当てて弾けますが、高そうな三味線と撥を持つとそれだけで緊張する感じです。
でも、長唄の三味線はきちんと撥を当てて弾かなければいけないので、それを念頭におきながら弾きました。

途中、撥がちょっと空振りしてしまったり、左手がすんなり動かなかったりしたところもありましたが、大きな失敗もなく弾き終えることができて、おおむね成功だったのではないかと思います。
お稽古を再開して1か月で暗譜したことも、みなさんが口々に褒めてくださったので、頑張って覚えてよかったと思いました。

全員の演奏が終わったら、同じ料理屋さんでお食事をいただきながらの懇親会です。
師匠のご自宅を含めて3か所にお稽古場がありますし、一斉稽古ではなくマンツーマン指導なので、同じお稽古場でも普段は弟子同士で顔を合わせることがほとんどありません。
なので、こうやってみんなで顔を合わせられる場は貴重なのです。
いろいろな年代の方がいらっしゃるので、人生の先輩の話を聞けるだけでも収穫があります。
みなさん大先輩なのに、威張らないどころか逆にこちらに気を遣ってくださる方ばかりで、和気あいあいとした楽しい会になりました。
2年もお休みしていたのに、私の名前と顔をきちんと覚えてくださっていた方もいて、ありがたいなあ……と思いました。

お稽古場がこんなふうになごやかな雰囲気なのも、やはり師匠と奥様のお人柄によるところが大きいのだと思います。
師匠も奥様も、弟子に決して無理強いをせず、弟子の負担を極力少なくするように配慮してくださるので、みんなのびのびとお稽古に取り組めている感じです。
私は、「三味線を習おう」と思って初めて門を叩いた教室でたまたま今の師匠が教えていらしたのですが、後になってそれはとても恵まれたことだったのだと実感しました。
自分に合った師匠やお稽古場というのは、探そうと思ってすぐに見つかるものではありませんから、まさに縁としか言いようがありません。本当にありがたいことです。

懇親会が終わった後、同世代のお弟子さんと一緒に、師匠のお宅へ荷物を運ぶのを手伝いました。
すると、奥様が「ありがとう、助かったわ、うちで二次会やっていって~」。
師匠、奥様、若手の弟子2人で、4人だけの二次会です。
一次会のときには聞けなかった話もたくさん聞けたので、いろいろとタメになりました。

そして、帰るときにまたもやおかずをおすそわけしてくださいました。
おさらい会直前、ひなまつりの日にお稽古があったのですが、その時も奥様がお弟子さんみんなにちらしずしを持たせてくださったのです。
すごいです……。なかなか真似できることではありません。
奥様の料理は、これがまたとてもおいしいのです。特に煮物は絶品!
今回いただいた煮物も、翌日のランチとして私のお腹の中にメデタクおさまったのでありました。


<本日のキモノ>

もちろんキモノで行ったのですが、バタバタしていて写真を撮りそびれました……。

いろいろお手伝いをするので、汚れてもいいように紺の鮫小紋にしようかと思ったのですが、「ご年配の方もたくさんいらっしゃるし、初対面の方も多そうだから、万人ウケするキモノが無難そう……」と思い、淡いピンクの色無地(母からもらったもの。縫いの一つ紋付き)にしました。
帯も、白地に有職文様の織り名古屋帯という、「和のお稽古事の王道」という感じのコーディネートです(笑)。

会場に着いてみると、訪問着の方から小紋の方までさまざまだったので、色無地にしておいて正解でした。




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3 コメント

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お久しぶりです (kazura)
2006-03-20 00:13:40
藤娘さん、しばらくご無沙汰しておりました。

ブログリニューアル、おめでとうございます!



さまざまな格の着物が集まる中では、色無地は無難で、利用価値高いですね。なかなか手が伸びないのが色無地だったのですが、今後はドンドン着ようと思います。



ただ、食事どころなどでは、仲居さんに間違われてしまうかな?との不安もあります。
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おひさしぶりです~! (藤娘)
2006-03-26 08:24:04
kazuraさま、コメントありがとうございます!



目上の方も集まる席では、出すぎてもいけないし、かといってカジュアルな装いでは失礼になりますし、いろいろ気を使いますよね。

色無地だと、ほかの方がどんな装いでも調和がとれて失礼にならないので、便利だなあと思います。



>ただ、食事どころなどでは、仲居さんに間違われてしまうかな?との不安もあります。



たしかに、生地の風合いや帯合わせによっては、「仲居さん」っぽくなってしまうおそれもあるかもしれませんね。



でも、地紋が織り出されているものや紋が入っているものだと、仲居さんの着物とは明らかに違いますし、あわせる帯に気を付ければ大丈夫だと思いますよ。

(仲居さんは正絹の着物は着ないし、一年中ひとえの着物を着ていることが多いですから、見る人が見ればちゃんと区別がつくので大丈夫だとは思いますが……)



礼装でない場合は、季節感のある染め帯などをあわせると、仲居さんとははっきり区別がつくと思います(ただ、料亭以外の場所で「料亭か置屋の女将さん」に間違われたことがありますが……笑)。



それでも仲居さんと間違える人がいたら……「この人は、仲居さんの着物姿でしか色無地を見たことがないのね……」とでも思って開き直りましょう(笑)。
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なるほど (kazura)
2006-03-26 12:57:41
確かに、相手が着物をよく知らない場合は、開き直るしか無いかもしれませんね(笑
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