本朝徒然噺

「和」なモノについて気ままに語ります ※当ブログに掲載の記事や画像の無断転載はご遠慮ください

菖蒲浴衣2回目・「猫の忠信」登場

2006年06月20日 | 長唄のお稽古
今週も、がんばって三味線のお稽古に行きました。
仕事がハードな時期なので、休まないといけなくなるかな……と思っていたのですが、何とか行くことができました。

「菖蒲浴衣(あやめゆかた)」を、前回習った出だしの部分をおさらいして、次のところに進みました。
前回習った部分は、おおむね暗譜できていて、まあまあすんなりと弾けたのでほっとしました。

お稽古の途中で、師匠のお宅で飼っている猫ちゃんのうちの1匹が、2階から降りてきて、お稽古部屋に入ってきました。
師匠のお宅では、3匹の猫ちゃんを飼っておられるのです。降りてきたのは、黒猫ちゃん。ツヤツヤした毛並みの、きれいな猫ちゃんです。

いつもは、お稽古中は2階のドアを閉めて猫ちゃんが降りてこないようにしてくださっているのですが、今日はたまたまドアが開いていて、そこから出てきてしまったようです。

お稽古部屋に入ってきた猫ちゃんは、師匠のそばに行って、顔だけこちらを向けて私を見た後、師匠の弾く三味線をじーっと見ていました。
その様子を見て、ひょっとしたらこの猫ちゃんは「狐忠信」ならぬ「猫の忠信」かも!? と思ってしまいました(笑)。

「狐忠信」というのは、歌舞伎の「義経千本桜」の登場人物(登場狐?)で、母狐の皮が使われている鼓を慕って、義経の忠臣・佐藤忠信に姿を変え、鼓の持ち主である静御前に付き従って行くのです。

ご存じのとおり、三味線には猫の皮が用いられています(お稽古用の三味線や太棹の三味線には、丈夫な犬の皮が用いられている場合もあります)。
師匠も奥様も、もともと動物好きでいらっしゃるのですが、三味線に使われている猫への感謝と供養の気持ちも込めて、猫を大切に飼っておられるのではないかと思います。
芸者さんのなかにも、芸が上達するようにという願いを込めて、猫を大切に飼っておられる方が多いと聞きます。

昨今、西洋諸国を中心に動物愛護運動が盛んになっており、三味線など動物の皮や象牙が使われているものを持っていくときは、かなり厳しくチェックされるそうです。
捕鯨反対運動にしてもそうですが、私は、そういった類の「動物愛護」運動には、いささか賛同しかねます。
「殺さないこと」だけが、果たして真の動物愛護なのでしょうか?
捕鯨を禁じて鯨を保護した結果、海の生態系がくずれていると言います。鯨の数が増え、鯨のエサとなっているイワシの漁獲高が激減しているそうです。
かつて「庶民の魚」と言われたイワシが、稀少価値の高い「高級魚」になってしまう日も、そう遠くないのではないかと危惧されます。

人間は、生きて行くために、さまざまな動物の恩恵を受けなければならないときがあります。
そのことに感謝し、生き物の肉をありがたく残さずいただき、生き物の皮や骨で作られた物を大切に使い、供養の気持ちを表すことも、「動物を愛すること」に変わりはないと思うのですが……。

話がそれましたが、「三味線と猫と三味線弾き」の関係を見て、ふとそう思いました。



最新の画像もっと見る