本朝徒然噺

「和」なモノについて気ままに語ります ※当ブログに掲載の記事や画像の無断転載はご遠慮ください

学生能

2006年10月29日 | よもやまばなし
土曜の朝のテレビ番組を見ていたら、いろいろな大学の学生さんが学園祭の宣伝をしていました。
学生時代、能のサークルに所属していた私にとって、学園祭にはひとかたならぬ思い出があります。

私の母校には当時、金剛流を除く各流派の能のサークルと、和泉流の狂言のサークルがありました。
そしてそのいずれもが、「研究のため」だけではなく「実践のため」のサークルでした。
各流派とも一流の能楽師の先生方が指導してくださり、私たちは日々稽古に励んでいました。

そして、日頃の稽古の成果を発表する貴重な場の一つが、学園祭でした。
各流派のサークルが一堂に集まり、仕舞や舞囃子、能などを披露するのです。
学生がシテやワキ、間狂言(あいきょうげん)を務めて能を演じられるなんて、実はとても貴重なことなのです。本来ならば経済的にもかなりの負担がかかることですが、先生方や囃子方のみなさまの多大なご理解とご協力によって、学生能の上演が実現できていました。
私自身も、大学4年生のときに学生能でシテをつとめさせていただきました。自分では反省材料ばかりの出来でしたが、何物にも代えがたい貴重な経験として今でも私の心の中に残っています。

そんなことを考えつつ、ふと「今も学園祭で学生能を上演しているのかな、やっていたら観に行こうかな」と思い立ちました。
大学のサイトで学園祭の情報を調べてみたのですが、学生能のことは出ていませんでした。もう学生能はやっていないのかな……と不安になりながら調べてみると……。

学園祭とは別に、能楽堂で学生の自主公演が行われることがわかりました。学生能もそこで上演されるようです。
場所が移っただけで、各流派が集まって仕舞や舞囃子を披露する形式は変わっていません。
それを知って、「ああ、よかった!」と、心からうれしくなりました。

母校の能楽サークルの歴史は古く、OB・OG名簿には、戦時中に学生だった方のお名前もたくさんありました。
わたしたちよりもずっと昔の時代から、先輩たちによって連綿と受け継がれてきた歴史。
それを絶やさないように、学生なりに一生懸命努力をして、サークル活動を存続させてきました。
そしてそれが今も変わらず受け継がれていることに、感謝の念をおぼえずにはいられません。

残念ながら、公演は平日なので今年は観に行けませんが、来年は都合をつけて観に行こうかな、と思います。

今年の公演は、10月30日(月)に神楽坂の矢来能楽堂で行われるそうです。
公演の概要は、早稲田大学狂言研究会のサイトで紹介されていますので、ごらんください。
(自分が所属していたサークルのサイトがあればよかったのですが、なかったので……。作ってくれるといいなあ……なんて勝手なことを言ってますが……笑)

もしお時間と興味のある方がいらっしゃったら、ぜひごらんになってみてください。
プロの方がなさるようにはいかないかもしれませんが、何かに一生懸命打ち込んでいる学生さんの姿を見てあげていただければ幸いです。


最新の画像もっと見る