ひと昔前はハリウッド映画しか観なかったのに、この15年以上、邦画鑑賞が圧倒的に多いです。
派手なアクションや特撮はハリウッド映画に叶いませんが、きちんとストーリー性のあるヒューマニズムを描いているのは日本映画の右に出るものはそうそうなくて観たい映画もだいたい邦画になってしまいます。
いつも行く劇場の洋画が吹き替えしかないからというのもあるんですが。
吹き替えされている声優さんらには申し訳ないけれど、どんなに頑張って訳していただいて、声で演技していただいても英語がある程度聞ければ英語で聞きたいはず。
たまにすごい訳だ!と思うこともあるけれど、微妙なニュアンスが欠けることがあるのも事実なので、なんで字幕上映しないんだろう?トーホーシネマズ!と思うわけです。
ま、そんな字幕推進派の意見はおいておいて、猫旅リポートとあいあい傘の感想です。
猫旅リポート
原作は県庁おもてなし課などの著者 有川浩
あらすじ
野良猫のナナは、瀕死の自分を助けてくれたサトルと暮らし始めた。それから五年が経ち、ある事情からサトルはナナを手離すことに。『一人と一匹は銀色のワゴンで“最後の旅”に出る。懐かしい人々や美しい風景に出会ううちに明かされる、サトルの秘密とは。永遠の絆を描くロードノベル。
ネタバレになるのでさらっと書きますが、涙なしでは観ることができない悲しいお話です。
でもエンディングは爽やかです。
家族とは?
しあわせとは?
時間とは?
友人とは?
それらの答えに気付く映画です。
猫ももちろん主役で、ペットではなくファミリーです。
私は実はペットを自分で飼ったことがなく、家族と思う気持ちまではあまり理解できていないところはありました。
でも、この映画を観て猫と主人公のつながりは本当に強く、主人公は猫で人生のどん底から何度も救われ、本当に家族だとわかります。私も猫を今すぐ飼いたくなりました。
しあわせもひとそれぞれで、またいろんな境遇の人がいて、それぞれその人生の中で、それぞれのしあわせの価値観があることも教えてくれてます。
北九州や静岡、山梨?、福島?東北も出てきたのかな?風景も美しく、映画のロケ地めぐりをしたくなりました。
あいあい傘
俳優で脚本家の宅間孝行が2007年、当時主宰していた劇団「東京セレソンデラックス」で上演した舞台劇を自身の監督・脚本で映画化。
あらすじ
生き別れた娘と父の再会を描いた作品。
25年前に姿を消した父の六郎をようやく捜し出した高島さつきは、父を連れて帰るつもりで小さな田舎町へやって来た。
しかし、町を散策していく中で、六郎が苗字を変え、知らない家族と新しい生活を築きあげていたことが明らかになる。さつきは意を決し、父の新しい家族に会いに行こうとする。
さつき 倉科カナ
六郎 立川談春
六郎の新しい妻 原田知世、
六郎を知るテキ屋役 市原隼人
タイトルだけで若者の軽い恋愛の話と勝手に思い込んでいましたが全然違ってました。
原田知世さんと市原隼人さんがすごく光ってます。
さつき役の倉科さんも持って行き場のない感情を実にうまく表現していて、テキヤの市原さんとその仲間がまたすごく素敵に脇をかためて倉科さんを引き立てています。
この作品、市原さんと原田知世さんははまり役だと思います。
この作品ですっかり市原隼人さんのファンです。
本当の親子ではない親子、夫婦にはなれない事情のある内縁関係の男女と、父親に捨てられた娘と、それぞれの気持ちがそれぞれにあり、血がつながってなくたって親子になれるし、夫婦じゃなくたって夫婦以上の絆があって、ずっと離れて会うことがなく たって残した家族を思い、家族のしあわせを祈る父としての気持ちをずっと持っているけれど事情があって帰るに帰れない。
なんとも複雑なのですが、それぞれにやさしさをもって一生懸命生活しているのです。
こちらの映画も親子というのは血のつながりだけではないことを描写しています。
こちらの映画は山梨県がロケ地のようです。
血のつながりばかりがファミリーじゃない。
ふたつの映画に共通するのは血縁関係のないファミリーや、生まれてきたときの性を変えて生きる人も当然いるわけで、こういう映画が増えて血のつながりだけがファミリーじゃないことをきちんと伝えられる映画が爽やかで感動的でした。
どちらも悲しい結末ではあるのになぜか、さわやかで心が晴れ晴れする素敵な映画だったのでした。
特に『猫旅リポート』は小学生にも観て欲しい映画でした。