私たちは1968年4月、代々木駅近くの東京俳優学校という養成所の同級生として出会いました。卒所後の別々の時間(演劇活動、結婚、子育て、仕事等々)を経てから、二人で何かできることはないだろうかと、この朗読会を始めました。出会ってから40年目のことです。小林の友人、浜野茂則さんのご好意で「寧」を会場に使わせていただくことになり、「寧」の緑や花々を楽しんでいただこうと季節は四月、そして小林は詩人でもあるのでプログラムには必ず詩の朗読を入れることにいたしました。雨の日も、暖かすぎる日も、寒い日もありました。久喜市にゆかりの中島敦の作品の紹介や、お客様のリクエストで始めた樋口一葉作品の連続 朗読は、もともと自己研鑽が目的ではじめた朗読会ですので、大変勉強になりました。
2011年の東日本大震災の時にはニューシャトルが長い間不通になり、六月に日延べをしました。次の年には詩人がとらえた東日本大震災を伝えようと震災詩の特集を、2013年からは「東日本大震災を詩う」と題して、埼玉在住の詩人の方々の作品を朗読させていただいて今年は早くも5回目となります。6年分の震災詩を冊子にまとめてみました。
そして「扉の向こう」朗読会の幕を10年目の今年で、一度下ろすことに致しました。
支えてくださった皆様、作品を提供してくださった皆様に心からの感謝を申上げ、さらに精進してまいります。機会があれば「扉の向こう」番外編も実現させたいと願っております。
小林登茂子・山崎勢津子