夏がすき…!! 7月生まれのせいか夏の日差しが好きです…♪

山崎勢津子です!ぐるーぷ・ふらいぱんは10年間活動しましたが解散しました。私は今後、朗読を中心に活動してまいります!

よだかの星を読む

2009-04-08 | Weblog
宮沢賢治の「よだかの星」をずいぶん久しぶりに人前で朗読しました。初めて朗読したのはもう17年くらいも前のことです。今回はタイムリーオフィスの所内レッスンで読みました。

 はちすずめやかわせみの兄でありながら、醜さゆえに鳥の仲間から嫌われ、鷹からも「お前の名前は俺と夜から借りてあるんだ。返して市蔵と改名しろ。さもなくばつかみ殺すぞ」と脅されるよだか。…昆虫たちを捕食しなければ命をつなげることができない、生の矛盾。居場所を失い、ただ夜空を飛び続けるよだかは、ついに絶望し、太陽や星のもとに救いを求めるが相手にされない。あきらめきって、地上に野たれ落ちようとする瞬間に自らの内なる力で燃え上がり、カシオペア座の隣に青く燃え上がる「よだかの星」となる…というお話です。昔は夕方になるとよだかがたくさん飛んでいたものだ…と北国の方に聞いたことがあります。生きているよだかを見たことは私はありません。

今回「よだかの星」は暗いから…救いがないから…と、主人公の「よだか」なみに敬遠されていることを改めて認識しました。私は「よだかの星」は暗い話ではないと思いますが、朗読の仕方では聴いているのが辛くなってしまうのかもしれませんね。自分のことを醜いと思う心は誰の中にも存在するのではないでしょうか。またすべての生き物が抱えている自己矛盾…他者の命を食物とすることで己の命をつないでいくこと…そこから、太陽や星に助けてもらって抜け出ようとしても抜けられないのに、最後の最後に自分の力で昇天するよだかの力強さに惹かれます。また鷹が改名をせまり「市蔵」と名札をつけて改名の披露をしろというところでは、朝鮮を植民地にして日本名への改名をせまった、かつての日本の政策を連想させます。歴史的な時間もほぼ一致するので、賢治はこのような歴史的な事実を作品に投影させたのではないかと思っています。焼けて死んでもいいから連れて行ってくれと太陽や星を当てにしている間はこれでもかとばかりに絶望がよだかを襲うけれど、自分でも自覚していなかった自分の内なる力で星になったあかつきに、よだかには永遠の安らぎを手に入れた・・と今回の練習で改めて思いました。…救いはちゃんとあるのです。
横暴な鷹は単純な性格(賢治は鷹に「お前とおれとではよっぽど人格が違うんだよ」といわせています。鳥も人格??とちょっと面白いです)に、太陽は厳かだけど、お前は昼の鳥ではないのだからと、夜にたらいまわしにする…う~~ん、日本の行政のようだ!よだかは、星に向かって飛ぶときに最初は「おほしさ~ん」と呼びかけますが、最後は「お星様」と叫びます。星たちも個性的です。よだかを無視するオリオン座、大犬座は馬鹿にし、大熊星はからかい、鷲座は金がなければ星になれないと言い放つ…ここの読みは難しいです。もっともっと面白くなるはずだなぁ~~と思いながら読みました。…またどこかで朗読してみたいものです。

所内レッスンへの参加には当初あまり熱心ではありませんでした。必要ないとも思っていたのですが、大変な思い上がりでした。公演に向けての稽古や、お客様を前にしての本場では出てこない緊張に苦しめられています。「蜘蛛の糸」を読んだときも大変でしたが、呼吸が浅くなり、咽喉がカラカラになる。細いネックレスもだんだん重くなってきてこっそりはずしました。普段の本番の3倍くらい…の緊張感!!これはいったい何なのでしょう。このバカバカしい緊張感から解放されるまで、頑張ったら、ひとつステップアップ出来るかもしれないですね。来月もがんばろうっと…。