たなっぺのあーだこーだ

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テンソルの話

2010-06-10 18:50:12 | 物理
最近テンソルを勉強しようと思い「場の古典論」を購入。
そんな折、友人がテンソルについてmixi日記を書いたのでその転載です。




テンソルを勉強し始めたという友人への前途のために!
というより自分自身の復習と纏めのために。



----直交テンソル----

任意のn個のベクトルを1つの実数に対応させる関数Tが、
それぞれのベクトルに関して線形性を持つとする。
その関数Tをn階のテンソルと呼ぶ。

テンソルは、それぞれのベクトルの基本ベクトルに対する値によって対応付けられる。
(∵線形性)
したがって、テンソルはΠ[k=1~n](k個目のベクトル空間の次元)個の成分によって一意に定まる。

具体例として、1階のテンソルについて考えよう。
T(a)=K (aは3次元ベクトル、Kは実数) aのi成分をa_iとすれば
a=a_1e_1+a_2e_2+a_3e_3 (=a_ie_i 重なった添字に関して1~3までの和をとる記法を用いればこうもかける。これをアインシュタインの記法という。以降の議論では断りなき限りこれを用いる。)

よってK=T(a)=T(a_ie_i)=a_iT(e_i) つまり、この関数は基底e_iのもとでT(e_i)という3つの値によって、必要十分に特徴付けられる。
では、これをテンソルTのi成分と呼び、T(e_i)=T_i と書くことにする。

ところで、1階のテンソルは、ベクトルの標準内積と同様の計算をしている。
では、テンソルの和とスカラー倍をベクトルと同様に定義すれば、1階のテンソルはベクトルと何も変わるところが無いのではないか。
実際、定ベクトルと任意ベクトルの内積を関数と見たとき、それは1つのベクトルを1つの実数値に対応させる関数であるのだから、ベクトルは一階のテンソルと言える。
逆に、一階のテンソルならばベクトルであることも、上記から明らかであろう。

内積について、今度は2階のテンソルgを
g(u,v)=u・v (uとvはベクトル)
で定義しよう。(多線形性は確認するまでも無い)
ユークリッド空間においては、gは対角成分のみ1のテンソルである。
このテンソルgを計量テンソル(metric tensor)という。

----一般のテンソル----
以上、基底が直交していることを前提に語った。
次に、基底{e_1,e_2,e_3}が直交していないことを考える。

このとき、{e^1,e^2,e^3}を、e_i・e^j=δ_i^jで定義する。前者の基底を共変基底、後者を反変基底という。(記号^は上付きの添字を表現するものであって、冪ではない。)
ベクトルAを共変基底を用いて表現しよう。基底e_iに関する成分をA^i(:=A・e_i)とすれば
A=A^i*e_i
となる。
さて、共変基底を取り替えてみよう。このとき、成分は線形変換される。つまり
e_j=a_j^i*e'_i が存在し、(逆変換 b_i^j*e_j= e'_i も存在するとしておく)
こうすれば
A=A^je_j=A^j*a_j^i*e'_i
つまり
A'^i=A^j*a_j^i (あ)
e'_i=b_i^j*e_j (い)
以上の議論で、上付きの添字は(あ)のように変換され、下付きの添字は(い)のように変換されている。前者が反変量の変換則で、後者が共変量の変換則である。

今見たように、ベクトルは共変基底を用いて反変量として表現(ベクトルの反変成分、反変ベクトルとも言う)することも出来たし、反変基底を用いて共変量として表現することも出来た。
この後すぐ述べるように、この表現は互いに移ることができる。
テンソルもベクトルの拡張であるからには、事情は同様である。

1階テンソルをもう一度見直そう。T(a)=K (aは3次元ベクトル、Kは実数)として。
K=T(a)=T(a_ie_i)=a_iT(e_i) つまり、この関数は基底e_iのもとでT(e_i)という3つの値によって、必要十分に特徴付けられた。 T(e_i)=T_i と書くのであった。
T_j=T(e_j)=T(a_j^i*e'_i)=a_j^i*T'_i
これは、共変量の変換法則であり、テンソルの共変成分、あるいはT_iを共変テンソルという。

次に、計量テンソルgについて考える。
g(u,v):=u・v
g(u,v)=g(u^i*e_i,v^j*e_j)
=g_ij*u^i*v^j
計量テンソルを2つの共変添字を持つテンソル(2階共変テンソル)として表現した。
内積はベクトルを入れ替えても同じ値になるので明らかにg_ij=g_jiである。

さて、A^i(:=A・e_i)であるが、計量テンソルを用いれば、
A^i:=A・e_i=g(A,e_i)=g(A^j*e_j,e_i)=A^j*g(e_j,e_i)=A^j*g_ji
となる。ベクトルの反変成分と計量テンソルの共変成分を添字を重ねてアインシュタインの方法で和をとれば(「縮約する」という)、ベクトルの共変成分が現れる。
テンソルに関しても同様である。証明抜きにいうと、テンソルTに対して
T^ij*g_jk=T^i_k
というように、添字を下げる効果がある。逆に計量テンソルの反変成分には
T_ij*g^jk=T_i^k
というように、添字を上げる効果がある。
また、g_ijとg^ijは逆行列の関係である。

相対性理論で扱う四次元空間における距離(というより内積)の定義はユークリッド空間のそれと異なる。
特殊相対性理論においては、(0,0)成分のみ-1で他の対角成分は1である。(流儀によってはこれに-1を乗じたものであるかもしれない。たとえば、ランダウ「場の古典論」ではそうである。)量gがユークリッド空間と異なる以上、この空間はもはやユークリッド空間とは呼べない。gが先に述べたように定義される空間をミンコフスキー空間という。

一般相対性理論では、独立な成分が10個にまで増える。重力場をこのテンソルで表現するのである。(ニュートン力学では重力場は1つの関数によって表現された事を思い出そう)
このような空間を、(擬)リーマン空間という。アインシュタインは、それまでの物理学が空間をあらかじめユークリッド幾何学が成立することを自明として、神から与えられたものとして扱っていたのに対し、空間自信を物理学が扱う対象へと引きずり下ろしたのである。これこそが一般相対性理論が革命的である所以である。

あああ、一番言いたいことを忘れていた。
スカラーとベクトルが座標に関係無い量であるということが了解出来たとしよう。
テンソルが、いくつかのベクトルを一つのスカラーに対応させるものであるなら、
テンソルは座標変換に関係ない量でなくてはならない。

このことこそ、「テンソルとは何か」という問の答えではないだろうか。
テンソルは、座標変換に関係ない量であるから、物理的な量はテンソルで表現されねばならない(らしい)。


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3 コメント

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水をさすようだが (tensor)
2010-06-10 19:37:37
○ テンソルを勉強しようと思う→「テンソル解析」の本を買う

○ 相対論と電磁気学を勉強しようと思う→「場の古典論」を購入。

× 最近テンソルを勉強しようと思う→「場の古典論」を購入。

応援してますよああだこうだ^^
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tensorさんへ (たなっぺ)
2010-06-10 22:34:21
ご忠告どうもありがとうございます。
頑張って勉強したいと思います
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誤植 (テンソル)
2010-06-10 23:28:19
誤植発見しました。 orz
ごめんなさい。
詳細はmixiに載せておきましたが、あえてそちらは見ずに誤植をご自分で見つけてもらってもそれはそれでいいかも知れません。
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