野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

俳句の世界では愛されているヒルガオ

2019年05月19日 05時28分07秒 | 
休耕田でみつけたヒルガオ。
最近ではあまりみかけなくなった。
映画「昼顔」のイメージとは違って、ほのぼのと昔懐かい花である。
(2019-05 神奈川県川崎市 田畑)





ヒルガオ
ヒルガオ(昼顔、学名Calystegia japonica、シノニムCalystegia pubescens他)は、ヒルガオ科の植物。アサガオ同様朝開花するが昼になっても花がしぼまないことからこの名がある。

つる性の多年草で、地上部は毎年枯れる。春から蔓が伸び始め、夏にかけて道ばたなどに繁茂する。夏に薄いピンク色で直径5~6cmの花を咲かせる。花の形は漏斗形。苞葉が萼を包み込むので、帰化植物のセイヨウヒルガオ(西洋昼顔、学名Convolvulus arvensis)と区別できる。

アサガオと違って鑑賞用に栽培されることは、殆ど無い。また、結実することはまれであるが、地下茎で増え、一度増えると駆除が難しいため、大半は雑草として扱われる[1]。

花や蕾は食用に適しており、アクも少ないため生食も可能な野草として知られている。黄色のヒルガオは無い。


ただし俳句の世界では愛されている。
「昼顔のあれは途方に暮るる色 飯島晴子」の句など、思い入れも激しい。



昼顔 の例句

こちへ来て余所の昼顔花咲きぬ 正岡子規 昼顔
どうしても晝顔のみちとほりけり 岡井省二 前後
はらわたに昼顔ひらく故郷かな 橋閒石 和栲
ひるかほやはひつくはつたひきかへる 正岡子規 昼顔
ひるがほに愚となりてゆく頭脳 三橋鷹女
ひるがほに昼まぼろしのいや濃かり 三橋鷹女
ひるがほに笠縫の里の曇りかな 村上鬼城
ひるがほに電流かよひゐはせぬか 三橋鷹女
ひるがほの濃き名無し山ひとりゆく 及川貞 夕焼
ひるがほの花の輪海の舟かくす 大野林火 冬雁 昭和二十二年
ひるがほの花見て苑を見しこころ 山口青邨
ひるがほや曇れどしろき波がしら 鷲谷七菜子 黄炎
ひるがほや櫛作る窓のぞきこみ 大野林火 潺潺集 昭和四十年
ひるがほや河童ケ淵に雨そそぐ 山口青邨
ひるがほや海の浪間のあざやかに 山口誓子
ひるがほや短き礼を踏切に 岡本眸
ひる顔に雨のあとなき砂路哉 正岡子規 昼顔
ひる顔やぬれふんとしのほし処 正岡子規 昼顔
ひる顔や真昼中をさきにけり 正岡子規 昼顔
コンテナー疾駆の地鳴り 昼顔萎え 伊丹三樹彦
ナイフ状石器が似合ふ旋花(ひるがほ)よ 佐藤鬼房
伊良湖崎昼顔咲いて木をのぼり 岡井省二 鹿野
再見(さいちぇん)を昼顔の辺に李氏張氏 松崎鉄之介
地表灼けひるがほ小さき花つけたり 三橋鷹女
多佳子忌の濱の昼顔百淡し 百合山羽公 樂土
子に教ふカ行のカの字藪昼顔 細見綾子
射撃なき日の昼顔の夢見をり 能村登四郎
小雨降る道昼顔の素直なる 松村蒼石 雪
少女去る昼顔のへりめくれしまま 飯島晴子
山里の桑に昼顔あはれなり 正岡子規 昼顔
影と光の女性(にょしやう)老いざれ昼顔よ 佐藤鬼房
戸に咲く昼顔ここ吾妻郡嬬恋村 桂信子 晩春
撫子は昼顔恨む姿あり 正岡子規 撫子
旧道や昼顔咲て小石がち 正岡子規 昼顔
昼顔が咲いて半日失くしけり 岡本眸
昼顔が松の木登りつめて咲く 細見綾子
昼顔といふ生き生きとせざる名よ 後藤比奈夫
昼顔にからむ藻屑や波の音 正岡子規 昼顔
昼顔にたまるほこりや馬車 正岡子規 昼顔
昼顔にひと日けだるき波の音 鈴木真砂女 夕螢
昼顔にレールを磨く男かな 村上鬼城
昼顔に人は髑髏となりて果つ 三橋鷹女
昼顔に傾城眠きさかり哉 正岡子規 昼顔
昼顔に手際よく網干されたり 鈴木真砂女 紫木蓮
昼顔に日はたゞ燬くる高麗野かな 日野草城
昼顔に昼寝夕顔に夕寝す 正岡子規 昼顔
昼顔に独りのわれは泳がなく 石田波郷
昼顔に猫捨てられて啼きにけり 村上鬼城
昼顔に眼閉ぢれば波の音 鈴木真砂女 紫木蓮
昼顔に石灰かゝる赤痢かな 日野草城
昼顔に茶色の蝶の狂ひ哉 正岡子規 昼顔
昼顔に草鞋を直す別れ哉 正岡子規 昼顔
昼顔に跼みがたりの数珠を垂れ 木村蕪城 寒泉
昼顔に雨のぽつぽつ当りそめ 石田勝彦 秋興以後
昼顔のあれは途方に暮るる色 飯島晴子
昼顔のここ荻窪は終の地か 角川源義
昼顔のついそれなりに萎みけり 正岡子規 昼顔
昼顔のつるの先なり雲の峯 正岡子規 雲の峯
昼顔のなにゆゑかくも紅うすき 山口青邨
昼顔のほとりによべの渚あり 石田波郷
昼顔のまだ小輪の咲き亘る 中村草田男
昼顔のよるべなき花浜砂に 山口青邨
昼顔の上に火を焚く野茶屋哉 正岡子規 昼顔
昼顔の世に手轆轤を回しけり 古舘曹人 樹下石上
昼顔の他攀づるなし有刺柵 能村登四郎
昼顔の咲いて高麗野の油照 日野草城
昼顔の咲きしばかりの皺残り 清崎敏郎
昼顔の咲きて草地のやさしまれ 細見綾子 桃は八重
昼顔の咲きのぼる木や野は広し 中村草田男
昼顔の咲くや砂地の麦畑 正岡子規 昼顔
昼顔の小さき花を地の涯に 山口青邨
昼顔の朝から咲ける焼場哉 正岡子規 昼顔
昼顔の朝から咲て焼場かな 正岡子規 昼顔
昼顔の物干竿を上りけり 正岡子規 昼顔
昼顔の真ツ昼中を開きけり 正岡子規 昼顔
昼顔の秋をものうき姿かな 正岡子規 昼顔
昼顔の花さかりなり野雪隠 正岡子規 昼顔
昼顔の花に乾くや通り雨 正岡子規 昼顔
昼顔の花に皺見るあつさ哉 正岡子規 暑
昼顔の花の中にも砂多少 阿波野青畝
昼顔の花びら斬つて草一葉 松本たかし
昼顔の花も電波を受けとむる 山口誓子
昼顔の花裂く雨にさそはれし 飯島晴子
昼顔の見送る圧の白さかな 永田耕衣
昼顔の野原横切り貰ひ乳 細見綾子
昼顔の陰なすは歯車の腐蝕 橋閒石 風景
昼顔の雨朽舟に独歩の地 角川源義
昼顔の露けさたもつ湖の前 水原秋櫻子 緑雲
昼顔はしぼむ間もなきあつさ哉 正岡子規 暑
昼顔はつくらぬものゝ盛り哉 正岡子規 昼顔
昼顔は半開のさま妻若やぐ 香西照雄 対話
昼顔は疾風にたくましく躍り 阿波野青畝
昼顔は誰も来ないでほしくて咲く 飯島晴子
昼顔へ白昼の砂利落さるる 平井照敏 猫町
昼顔も濃ゆし常夏の国し来れば 山口青邨
昼顔やいつかひとりの道とれば 中村汀女
昼顔やきのふ崩せし芝居小屋 正岡子規 昼顔
昼顔やテベレの水の日を反す 阿波野青畝
昼顔や人間のにほひ充つる世に 三橋鷹女
昼顔や佐久街道は雲街道 藤田湘子 神楽
昼顔や児戯はおほかた掌上事 中村草田男
昼顔や十三の砂山米ならよかろ 角川源義
昼顔や右手は海へ向く線路 石塚友二 玉縄抄
昼顔や土橋の上に這ひかゝる 正岡子規 昼顔
昼顔や大海もまた老の夢 石田勝彦 百千
昼顔や女肌ぬぐ垣どなり 正岡子規 昼顔
昼顔や安達太郎雨を催さず 正岡子規 昼顔
昼顔や山の温泉宿に鬘売 岡本眸
昼顔や愕ろける犬舌納む 中村草田男
昼顔や我が荷も添ひて友の肩 中村草田男
昼顔や朽ちて錨のもたれあひ 鷹羽狩行
昼顔や水くむ女かいまみる 正岡子規 昼顔
昼顔や水を湛えてさすらう人 永田耕衣
昼顔や汚れきつたる海の端 岡本眸
昼顔や沖の白波高からず 山口青邨
昼顔や流浪はわれにゆるされず 鈴木真砂女 卯浪
昼顔や渋民村に家少し 飴山實 少長集
昼顔や潮の落ちあふ鳥が道 古舘曹人 樹下石上
昼顔や照る日かげる日海路行く 角川源義
昼顔や砂に吸はるゝ昼の雨 正岡子規 昼顔
昼顔や線路が忘れられてゐる 細見綾子 冬薔薇
昼顔や老いて漁網の修理役 鷹羽狩行
昼顔や老い美しき家郷の人 角川源義
昼顔や舟ながれ来て網打てる 岸田稚魚 負け犬
昼顔や蓬の中の花一つ 内藤鳴雪
昼顔や襦袢をしぼる汗時雨 正岡子規 昼顔
昼顔や諸天を描く居庸関 阿波野青畝
昼顔や身を寄すほどの影ならず 橋閒石 雪
昼顔や釣師と語る葭干潟 石塚友二 方寸虚実
昼顔や驟雨にぬれて野鳥来る 村山故郷
昼顔よ道に迷ひし吾を笑へ 林翔
昼顔をづかづか踏んで稽古海女 鈴木真砂女 紫木蓮
昼顔を摘まむとすれば萎れけり 富安風生
昼顔を摘めばひるがほいたがりぬ 亭午 星野麥丘人
昼顔咲き不思議に誰も行かぬ道 有馬朗人 母国
昼顔無尽赤児あわてて乳を吸ふ 中村草田男
杉垣に昼顔痩せて開きけり 正岡子規 昼顔
東京出て昼顔咲かす貨物線 松崎鉄之介
桑巻いて昼顔咲かぬみどりかな 飯田蛇笏 霊芝
気晴らしのせめて昼顔摘み溜めて 飯島晴子
沿線の昼顔灼けもせざりしよ 佐藤鬼房
海苔鹿朶に昼顔のぼり咲きにけり 山口青邨
潮垂りの海女の含羞 昼顔咲く 伊丹三樹彦
牛眠り昼顔に日のはげしくて 大野林火 海門 昭和十二年
玄関に昼顔咲くや村役場 正岡子規 昼顔
砲音にをののき耐へし昼顔か 能村登四郎
磊塊の石のはざまの昼顔よ 山口青邨
紫の昼顔のぼる椰子の幹 阿波野青畝
迷ひ子の昼顔でふく涙かな 正岡子規 昼顔
陸沈の壮年の少年たり昼顔(七月三十日、高橋睦郎氏同伴紹介の百瀬博教氏に出会の絶景を喫す) 永田耕衣
雨やめば浜ひるがほを見に行かん 高野素十
霧笛鳴り昼顔の花足もとに 山口青邨
革命に記念日多し昼顔咲き 山口青邨
鼓子花は蝶のあそばぬさかり哉 正岡子規 昼顔
鼻のない男にみえるひるがほが 三橋鷹女


古くから親しまれてきた白いノイバラ

2019年05月19日 05時18分45秒 | 
昔ながらの花を咲かせているノイバラ。
ノバラと呼ばれて親しまれてきた。万葉ではウマラと呼ばれたというから古い伝統がある。
シューベルトの「野ばら」は赤いバラなので、
白い花をつけるノバラとは合わないが。
(2019-05 神奈川県川崎市 道端)







ノイバラ
ノイバラ(野茨、学名:Rosa multiflora)は、バラ科の落葉性のつる性低木。日本のノバラの代表的な種。沖縄以外の日本各地の山野に多く自生する。ノバラ(野薔薇)ともいう。

特徴
高さは2mぐらいになる。葉は奇数羽状複葉で、小葉数は7-9、長さは10cmほど。小葉は楕円形、細かい鋸歯があり、表面に艶がない。

花期は5~6月。枝の端に白色または淡紅色の花を散房状につける(ラテン語で「花が多い」を意味する種小名の由来となっている)。個々の花は白く丸い花びらが5弁あり、径2cm程度。雄しべは黄色、香りがある。秋に果実(正確には偽果)が赤く熟す。

同属でやはり身近に出現するもの-にテリハノイバラ (Rosa luciae) があり、こちらは葉の表面にクチクラ層が発達しているため、艶がある。また花は一回り大きく、数が少ない。

道端にも多く出現し、棘が多いので雑草としては嫌われる。刈り取っても根本から萌芽し、根絶は難しい。

分布と生育環境
北海道から九州までと、朝鮮半島に分布する。

野原や草原、道端などに生え、森林に出ることはあまり見ない。河川敷など、攪乱(かくらん)の多い場所によく生え、刈り込まれてもよく萌芽する、雑草的な性格が強い。

利用
果実は営実(エイジツ)と称し瀉下薬、利尿薬になり、日本薬局方にも記載されている。 エイジツエキスは、おでき、にきび、腫れ物に効果があるといわれていて、化粧品成分に利用されている。皮膚の保護作用、収れん作用、抗酸化性、美白性、保湿性、皮膚細胞の活性効果を持つ。

また、バラの園芸品種に房咲き性をもたらした原種である。日本では接ぎ木の台木に使用される。そのため、しばしば栽培中に根本からノイバラが萌芽し、繁茂してしまうことがある。

文化
古くはうまらと呼ばれ万葉集にも歌われている[1]。

道の辺の うまらの末(うれ)に 這(は)ほ豆の からまる君を はなれか行かむ

—丈部鳥(はせつかべのとり)、巻二十 4352


嫌われ者だけどかわいいカタバミ

2019年05月18日 16時10分12秒 | 
どこにでも入り込んで嫌われることの多いカタバミだが
そろって咲いていると、可憐だし、きれいだ。
古くから親しまれた花であることは、多数の紋章が存在することからも明らかだろう。
どれも素敵な紋章だと思う。
(2019-05 神奈川県川崎市 道端)






カタバミ
カタバミ(酢漿草、片喰、傍食、学名: Oxalis corniculata)はカタバミ科カタバミ属の多年草。日本の地方名には「かがみぐさ」、「すいば」、「しょっぱぐさ」、「すずめぐさ」、「ねこあし」、「もんかたばみ」などがあり、『日本方言大辞典』[4]には180種以上が記録されている。中国では「三葉酸草」、「老鴨嘴」、「酸味草」、「満天星」などの別名がある。

日本では近年、よく似たオッタチカタバミという帰化種が急増している[5][6]が、古い図鑑には掲載されていないため、カタバミと誤認されていることもある。

形態・生態
地下に球根を持ち、さらにその下に大根のような根を下ろす。匍匐茎をよく伸ばし、地表に広がる。このため、繁殖が早く、しかも根が深いので駆除に困る雑草である。

葉は球根の先端から束に出る。葉は、ハート型の3枚が尖った先端を寄せ合わせた形。三出複葉だが、頂小葉と側小葉の区別はつきづらい。マメ科のクローバー(シロツメクサなど)とよく間違われるが、クローバーは葉の形状が丸く白い線があり、全く異なる植物である。しかし、ロゴマークなどで葉の形状を誤解してハート型で描くことでクローバーのつもりでカタバミとなっているケースがある(ももいろクローバーZのロゴ[7]など)。クローバー同様、カタバミにも四葉、六葉といった多葉変異体が発生する。クローバーに比べて環境耐性が高いためか、発生率はクローバーのそれに比べて低いとされている[要出典]。

春から秋にかけ黄色の花を咲かせる。花びらは5弁。日向では花を出すが、日陰に咲いてしまうと花がしぼんでしまうのが大きな特徴である。

果実は円柱状で先が尖り、真っ直ぐに上を向いてつく。成熟時には動物などが触れると、自ら赤い種子を勢いよく弾き出す。最大1m程度までの周囲に飛ばすことができることも繁殖に有利となっている。


俳句でもなじみの花だ。「かたばみが咲いてボンペイ遺跡かな 加藤世津」など、感じが出ている。
「かたばみを引きのこしたる庭の隅 上村占魚 球磨」の句は、カタバミの根絶しにくさをよく表現している。作者がカタバミを好きなのかもしれないが。


かたばみの花

かたばみが咲いてボンペイ遺跡かな 加藤世津
かたばみに雨ぴちぴちと雀の子 矢島渚男
かたばみの花うつほどの雨ならず 竹内素風
かたばみの花に波音休暇村 木村蕪城
かたばみの花の宿にもなりにけり 乙二
かたばみの花の淋しきかぎりかな 高澤良一 素抱
かたばみの花の混み合ふ仏通寺 垪和久仁子
かたばみの花より淋し住みわかれ 三橋鷹女
かたばみの花大足が踏んで過ぐ 河野友人
かたばみの花見るものの無ければ瞰る 高澤良一 素抱
かたばみの草に秘めある黄の花 高木晴子 花 季
かたばみの黄が喚ぶ詣憶滅びし家 木村蕪城 寒泉
かたばみや古都の果なる小漁港 池上樵人
かたばみや隣家の電話鳴りつづく 谷 和子
かたばみを引きのこしたる庭の隅 上村占魚 球磨
かたばみを捨てて電話に出でにけり 高澤良一 随笑
かたばみを掃きいぢめたる箒かな 辻桃子
かたばみを見てゐる耳のうつくしさ 横山白虹
かたばみ草閉ぢ大門の鍵かける 堀田晴子
まわるまわる黄色いスカートかたばみ咲く こしのゆみこ
酢漿草の種の手に飛び顔に飛び 佐藤 耶重
酢漿草にとどく子の文妻の文 新谷ひろし
良寛の桑門の道酢漿草より 高澤良一 寒暑


幼いころの思い出を誘うニワゼキショウ

2019年05月18日 16時01分00秒 | 
探せばごく普通にみつかるニワゼキショウだが
この花には思い入れがある。
十歳くらいの頃、学校の帰りに近くの
給水塔のようなところに寄ったものだった。
芝生に一面のニワゼキショウが咲いていて
そこで寝転ぶのが好きだった。
この花はぼくの少年期の孤独と幸福を象徴する花になっている。
完全な球形のつぼみがまたすばらしい。
(2019-05 神奈川県川崎市 道端)





ニワゼキショウ
ニワゼキショウ(庭石菖 Sisyrinchium rosulatum)はアヤメ科ニワゼキショウ属の一年草。
芝生や草地などに群生する。花期は5月から6月で、直径5mmから6mm程度の小さな花を咲かせる。花弁は6枚に分かれる。花色は白のものと赤紫のものがあり、中央部はどちらも黄色である。花は、受精すると、一日でしぼんでしまう。

日本に普通みられるものは、アメリカ合衆国テキサス州を中心に分布する多型的な種である。明治時代に観賞用として北アメリカから輸入されたものが野生化したのではなく、本来雑草的な種が帰化植物となったものである。

日本では S. atlanticum の学名があてられることも多いが、誤りである。北米に生息する本来の S. atlanticum は多年生で、雌しべが花被より長いなど、日本のニワゼキショウとは異なる特徴をもっている。

雑種
花色が青味がかったものはオオニワゼキショウとの雑種である。

もう咲き始めたガクアジサイ

2019年05月18日 11時23分32秒 | 
お寺さんでもうガクアジサイが咲き始めていた。
近くのアジサイの株はまだまだ固いつぼみだが、この株は早咲きだ。
これから梅雨が近づくとあたり一面が
アジサイで溢れるようになるのだろう。
いろいろな新しい品種もみてみたい。
(2019-05 神奈川県川崎市 寺社)






【ガクアジサイ(額紫陽花)とは?】
花言葉や種類は?
中心の花を飾る額縁のように、周りにだけ花を咲かせるガクアジサイ。かつてはポンポンのように花を付けるホンアジサイが主流でしたが、最近はそんな見た目がユニークなガクアジサイの人気が出てきているんです。

今回は、ガクアジサイとはどんな植物なのかや、花言葉、種類などについてご紹介します。


学名 Hydrangea macrophylla f.normalis
科・属名 ユキノシタ科(アジサイ科)・アジサイ属
英名 lacecap hydragea
原産地 日本
開花期 5~7月
花の色 青紫、紫、白、ピンク
別名 ー
ガクアジサイは、ユキノシタ科・アジサイ属に分類される落葉性の低木です。アジサイの原種の1つで日本の本州以南の海岸沿いに自生し、樹高は1~2mほどに生長します。

ガクアジサイ(額紫陽花)はどんな花を咲かせる?


ガクアジサイの特徴は、花の形です。中心に集まっている小さな蕾のようなものが花びらで、その外側にはガク(葉っぱが変化した花を守る部分)が大きな花びらのようについています。この様子が額縁に似ていることから「ガクアジサイ」と名付けられました。

ガクアジサイ(額紫陽花)の花言葉とは?


『謙虚』
ホンアジサイは「移り気」「浮気」「高慢」というネガティブな花言葉を持つのに対して、ガクアジサイの花言葉は「謙虚」となっています。これは、ホンアジサイよりもガクアジサイの方が、装飾花の数が少なく、その姿が謙虚に見えることにちなんでいるとされています。

ガクアジサイ(額紫陽花)種類や品種は?


ガクアジサイの品種は70品種以上あると言われています。そして最近の人気も手伝って、今でも次々と新しい品種が生まれていますよ。以下に、よく知られているガクアジサイの種類や品種をいくつかご紹介します。

城ヶ崎
東伊豆にある城ヶ崎海岸に自生する八重のガクアジサイです。大型で、酸性の土だと青色で萼には青のシマが入ります。アルカリ性なら、ピンク色と、土質による変化が楽しめるのも魅力となっていますよ。多くの八重咲き品種の交配親となりました。

ダンスパーティー
比較的新しいガクアジサイの園芸品種で、他の品種に比べて花の軸が長く、花が踊っているような見た目をしています。花びらが八重なこともあって華やかさがあり、近年の人気品種の1つです。

ベニガクアジサイ
江戸時代から園芸に親しまれている品種です。中心の粒々は菱形で、花色が白から紅色へと咲き進むに連れて変化する特徴を持っています。

初恋
一重の白い花の周りに、フリルのような切れ込みがいくつも入るかわいらしい園芸品種です。チャーミングな雰囲気を持っています。

墨田の花火(スミダノハナビ)
隅田川の花火大会をイメージして名づけられた、ガクアジサイの園芸品種です。八重の小さな花が中心の粒々の周りに咲き、時間が進むに連れて青色が滲んできますよ。

八丈千鳥
八丈島を原産とするガクアジサイの変種です。気温さえ保てれば緑の葉っぱを1年中茂らせます。花は大きく、白くシュッと細長い花びらを八重に咲かせますよ。

ナデシコガクアジサイ
薄い紫色の花びらは、縁にギザギザが入っています。この姿が、ナデシコの花と似ていることから、名付けられました。

コンペイトウ
中心から先端に向かって、花色が青紫から白もしくは、ピンクから白へとグラデーションしている珍しい品種です。見た目が甘い金平糖を思わせることから名付けられました。



風に揺れる小判形の花がかわいいコバンソウ

2019年05月18日 10時56分27秒 | 
名付けた人はこの花で、大判小判を夢見たのだろうか。
お金は別として、天秤に吊り下げたいくつもの小判が風にゆらゆらと揺れるのをみていると、心和む。
ドライフラワーにしても楽しめるのだそうである。
お寺の境内で撮影
(2019-05 神奈川県川崎市 寺社)




コバンソウ
コバンソウはイネ科の普通に見られる雑草の一つ。小判に似た形の小穂をつけることから名付けられた。

特徴
コバンソウ(Briza maxima L.)は単子葉植物イネ科コバンソウ属の一年生植物である。日本では雑草として見られるもののひとつで、その中ではやや大きく偏平で、小判型の小穂が目につきやすい。

草丈は10-60cm程度になる。茎は直立し、根元はややほふくする。葉は細長く、長さ5-10cm、幅3-8mmで毛がなく縁がざらつく。葉舌はまるく毛がない。

夏(7-9月)に茎の上部にまばらに数個(多くても10程度)の小穂のついた、先が垂れる円錐花序を形成する。小穂は細い枝で垂れ下がり、卵形から楕円形で長さ1-2cm、幅1cm位で、8-18個の小花でつくられている。小穂は左右から扁平だが鱗片はふくらんで厚みがある。一対の包穎のみやや濃く色づくが、他の護穎は淡い緑色から成熟すると黄褐色に変わり、光沢があって美しい。和名はこれを小判に見立てたものである。別名にタワラムギがあり、これもふくらんだ小穂の形を俵に見立てたものである。

分布と生育地
ヨーロッパ原産で日本には明治時代に観賞用に導入された帰化植物である。

日本では、本州中部以南に分布し、世界では、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニア、南北アメリカの温帯地域に分布する。

沿海地の畑、道端、荒地などに生育し、日当たりのいいところを好む。乾燥に強く、土壌の質を選ばない。

忍冬の名で俳句の世界でもなじみのスイカズラ

2019年05月17日 08時05分15秒 | 
スイカズラはその甘い香りと味で有名だ。
木に絡みつくので、うっかりするとその木に花が咲いているのか勘違いしそう。
それでも花の形が特有なので、すぐにそれと分かる。
(2019-05 神奈川県川崎市 道端)





スイカズラ
スイカズラ(吸い葛、学名:Lonicera japonica)はスイカズラ科スイカズラ属の常緑つる性木本。別名、ニンドウ(忍冬)。冬場を耐え忍ぶ事からこの名がついた。

特徴
若い枝は毛が密生し、葉は、木質のつるに長さ3-8mmの葉柄をもって対生する。葉身は卵形から長楕円形で、長さ2.5-8cm、幅0.7-4cm。毛は葉の裏面に多く、表面は少ない。なお、葉は全縁だが、幼い枝では粗い鋸歯が出ることがある。

花は5-7月に咲き、甘い香りがある。花弁は筒状で、先の方は上下2枚の唇状に分かれ上唇はさらに4裂、はじめ白いが徐々に黄色くなる。そのため、一つの枝に白い花と黄色い花が同居することが珍しくない。後述の異名である金銀花はこれによる[1]。果実は径5-7mmの液果で9-12月に黒熟する。


分布と生育環境
日本全国のほか東アジア一帯に分布し、山野や空地によく見られる。欧米では観賞用に栽培されるが、また広く野生化し、特にアメリカでは外来種としてクズとともに森林を覆って打撃を与えるなど問題となっている。

似たもの
スイカズラ属には180種あり、日本には20種ばかりあるが、多くは低木である。蔓性のものとしてはハマニンドウ L. affinis とキダチニンドウ L. hypoglauca がある。いずれも分布が限られ、より南部に生育するものである。

利用
蕾は、金銀花(きんぎんか)という生薬、秋から冬の間の茎葉は、忍冬(にんどう)という生薬で、ともに抗菌作用や解熱作用があるとされる。漢方薬としても利用される。忍冬の名の由来は、常緑性で冬を通して葉を落とさないから付けられた。

「スイカズラ」の名は「吸い葛」の意で、古くは花を口にくわえて甘い蜜を吸うことが行なわれたことにちなむ[1]。砂糖の無い頃の日本では、砂糖の代わりとして用いられていた。スイカズラ類の英名(honeysuckle)もそれにちなむ名称で、洋の東西を問わずスイカズラやその近縁の植物の花を口にくわえて蜜を吸うことが行われていたようである。



スイカズラは忍冬という名前で俳句の世界でもなじみである。
「呼べばすぐふりむくひとやすひかづら 桂信子 草影」は訳が分からぬままに面白い句だ。

忍冬の花 の例句


かまひなし墻を越えきしすひかづら 亭午 星野麥丘人
こみあげて笑ふつきぬきにんどう花 石川桂郎 高蘆
すひかづらもろとも藪を機械刈 佐藤鬼房
すひかづら採りきてわれに嗅げといふ 上田五千石『琥珀』補遺
なにごともきのふのごとし忍冬忌 星野麥丘人 2004年
にんどうの花のにほひや杜宇 木導
やぶさめや山路なほ咲くすひかづら 水原秋櫻子 磐梯
ウインドに希臘の壺と吸葛 燕雀 星野麥丘人
人死んですひかづら亦花ざくろ 弟子 星野麥丘人
呼べばすぐふりむくひとやすひかづら 桂信子 草影
徒刑場跡の切崖忍冬 佐藤鬼房
忍冬に眼薬売る裏家哉 政岡子規 忍冬の花
忍冬のこの色欲しや唇に 三橋鷹女
忍冬のだらだら咲きのはじまりぬ 寒食 星野麥丘人
忍冬のだらだら花や法師蝉 石田波郷
忍冬の紅濃しとのみ夜の日記 弟子 星野麥丘人
忍冬の花のこぼせる言葉かな 後藤比奈夫
忍冬の花の汀の昼のとき 岡井省二 五劫集
忍冬の花折りもちてほの暗し 後藤夜半 翠黛
忍冬の香を尋ばや金の蔓 中川乙由
忍冬二花づつのよき香り 高野素十
忍冬咲く故蜂にさゝれたる 高野素十
忍冬神の噴井を司る 阿波野青畝
忍冬綴れる門を久に出ず 松本たかし
桟道の欠け補はずすひかづら 上田五千石『天路』補遺
水分の雨の社のすひかづら 雨滴集 星野麥丘人
浜方の墓のまぼろしすひかづら 佐藤鬼房
浮いてゐる鳰が一つや忍冬忌 寒食 星野麥丘人
玉縄に昼のしぐれや忍冬忌 石塚友二 玉縄以後
町雀耳目にせざり忍冬忌 上田五千石 天路
百椿つぼみばかりや忍冬忌 森澄雄
蚊の声す忍冬の花の散るたびに 与謝蕪村
辞すときの夜空やはらか忍冬 草間時彦 中年
雨ぐせのはやにんどうに旅二日 石川桂郎 含羞
鵜つかひや忍冬咲いて昼の宿 河東碧梧桐



贈り物のような垣根の白い花シャリンバイ

2019年05月17日 06時55分43秒 | 
この時期に、垣根から突然のように白い花を咲かせて驚かせる。
車輪状に互生する葉と、梅に似た白い花のその強い匂いによって
シャリンバイであることを見分けることができる。
常緑の垣根に贈り物のように花が咲く。
この時期に特有の楽しみの一つだ。
(2019-05 神奈川県川崎市 道端)




シャリンバイ
シャリンバイ(車輪梅、学名:Rhaphiolepis indica var. umbellata、 シノニム:R. umbellata)は、バラ科シャリンバイ属の常緑低木。日本(東北地方南部以南)、韓国、台湾までの海岸近くに分布する。庭木や公園樹として植栽されることも多い[3]。沖縄の方言ではテカチ[4]、奄美大島ではテーチ木[5]と呼ぶ。和名は枝の分岐する様子が(葉の配列の様子とも)車輪のスポークのようで花が梅に似ることから。

特徴
葉は楕円形で厚く、深緑色でつやがある。縁には浅い鋸歯が出ることもある。多くの場合、枝先に葉が集中する傾向があり、単葉で車輪状に互生する[3]。

4-6月に白または淡紅色の5弁の花(両性花)をつける[3]。10-11月に直径1cm程の球形のナシ状果の果実は黒紫色に熟す[3]。

海岸に多く、日向の岩の上などに見られる。

用途
奄美大島の大島紬では、幹や根のタンニンを含む煎汁を染液として絹に染着させた後、泥に浸漬して黒褐色に媒染する染料に使用する[6]。また、乾燥や大気汚染に強いことから道路脇の分離帯などに植栽されたり、艶のある常緑葉が美しく、良く刈り込みに耐えるため庭木として植栽されたりする。

葉が消炎、潰瘍、打撲(外用)に使用される[7]。

材は堅いことから槌等に用いる[8]。

季節感にあふれた白い花を咲かせるミズキ

2019年05月17日 06時45分14秒 | 
今の時期に高い樹木で白い花がまとまって開いているのはミズキであることが多い。
昨日のガマズミと良く似ているので注意が必要だ。樹木全体の形と花弁の形で区別できる。
どちらも初夏の訪れを感じさせる。
季節感にあふれた花だ。
(2019-05 神奈川県川崎市 道端)





ミズキ
ミズキ(水木、学名:Cornus controversa)はミズキ科ミズキ属の落葉高木。別名、クルマミズキ(車水木)。

特徴
樹高は10-15m。枝を扇状に四方に広げる。若枝は紫紅色で、はじめ細かい毛をもつが、のちに無毛になる。葉は長さ2-5cmの葉柄をもって互生し、広卵形から楕円形で縁は全縁、先はとがる。裏面は白く、弓形に曲がった5-9対の葉脈が隆起する。

花期は5-6月。新枝の先に多数の白色4弁の小白色花を散房花序につける。果実は核果、球形で紫黒色をしている。

和名は早春に芽をふく時、地中から多量の水を吸い上げることから。


葉は互生する
分布と生育環境
日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、各地で広く生育する。アジアでは、朝鮮、台湾、中国からヒマラヤの山地にまで分布する。

利用
公園樹としてよく利用される。材としては白色で軟らかく緻密で、細工物、器具、下駄に利用される。


ミズキは俳句でも好まれるが、ハナミズキと混同されることが多い。
「水木咲き枝先にすぐ夕蛙 森澄雄」は季節感があってよい。
最近は蛙の声も聞かれるようになってきた



水木の花 の例句




吊橋の半分花みづきの日差し 鷹羽狩行
家裏に廻る夕日や花みづき 草間時彦 櫻山
水木咲き万年雪を固めけり 百合山羽公 樂土以後
水木咲き枝先にすぐ夕蛙 森澄雄
除幕の賀水木の花も黄を極め 阿波野青畝
陽は谷へ谷を埋めて花みづき 佐藤鬼房



ピンクの花が目立つハコネウツギ

2019年05月17日 06時25分32秒 | 
ウツギの一種のハコネウツギが咲き始めた。
この種は白いつぼみがついて、白い花が開くが、やがてそれがピンクに変わるという珍しい種類。
この時期に白い花が多いなかで、とくに目立つ。
(2019-05 神奈川県川崎市 道端)






ハコネウツギ
ハコネウツギ(箱根空木)とはスイカズラ科の植物の1種[1]。学名はWeigela coraeensis(シノニムはW. amabilis)。別名はベニウツギ。

日本各地の海岸近くに自生する落葉低木であるが[1]、庭園樹として植栽されることもある[1]。花期は5〜6月頃[1]で漏斗状の花を咲かせる。白い花が次第に赤へと変化する[1]。名前に箱根が付くが、箱根にはわずかしか自生していない[1]。

探さないと見つからない柿の木の花

2019年05月16日 14時21分03秒 | 
柿の木の若葉が伸び始めたと思ったら
もう花が咲いている。
あまり目立たないので、探さないと見つからないような花だが。
(2019-05 神奈川県川崎市 田畑)




カキノキ
カキノキ(柿の木)は、カキノキ科の1種の落葉樹である。東アジアの固有種で、特に長江流域に自生している。

熟した果実は食用とされ、幹は家具材として用いられる。葉は茶の代わりとして加工され飲まれることがある。果実はタンニンを多く含み、柿渋は防腐剤として用いられる。現在では世界中の温暖な地域(渋柿は寒冷地)で果樹として栽培されている。黒色の縞や柄が生じ、部分的に黒色となった材をクロガキと呼ばれて珍重されるが、産出量が極めて少ない銘木中の銘木である。


俳句の世界では柿をうたったものはほとんど無数にあるだろう。
千代女「渋かろか知らねど柿の初ちぎり」は、意味深な句だ。初夜に歌われたものともいう。「あたし、渋くても、知らないわよ」かな。


【例句】

里古りて柿の木持たぬ家もなし
芭蕉 「蕉翁句集」

祖父(おほぢ)親まごの栄や柿みかむ(蜜柑)
芭蕉 「堅田集」

蔕おちの柿のおときく深山かな
素堂 「素堂家集」

柿ぬしや梢は近き嵐山
去来 「猿蓑」

別るるや柿喰ひながら坂の上
惟然 「続猿蓑」

柿売の旅寝は寒し柿の側
太祗 「太祗句選」

嵯峨近う柿四五本の主かな
万古 「俳諧新選」

渋かろか知らねど柿の初ちぎり
千代女 「続近世畸人伝」

渋いとこ母が喰ひけり山の柿
一茶 「句帖」

柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺
正岡子規 「獺祭句帖抄」

三千の俳句を閲し柿二つ
正岡子規 「子規句集」

よろよろと棹がのぼりて柿挟む
高浜虚子「五百五十句」

釣鐘のなかの月日も柿の秋
飯田龍太 「春の道」

存念のいろ定まれる山の柿
飯田龍太 「今昔」

柿食ふや命あまさず生きよの語
石田波郷「酒中花」

昨日より今日むさぼりぬ次郎柿
石田波郷「酒中花以降」

丸くして四角なるもの富有柿
長谷川櫂 「初雁」



突き出た果実が特徴的なアメリカフウロ

2019年05月16日 12時09分14秒 | 
あぜ道でみつけたとても小さな紫の花。
それでもよく見てみると、ルリソウにも似た可憐な花だ。
そばに果実がぴんぴんと角を突き出しているので
すぐにアメリカフウロと識別できる。
(2019-05 神奈川県川崎市 田畑)





アメリカフウロ
アメリカフウロ(亜米利加風露、Geranium carolinianum)は、フウロソウ科フウロソウ属の雑草。北アメリカ原産の帰化植物。現在は全国の道ばたなどによく見かける。

一年草で、茎はやや倒れながら伸びる。葉は大きく3~5裂し、それぞれの裂片はさらに分かれている。花は薄い紫で小さく、茎の先端に散房状につくが、小さくて目立たない。

急に白い花を開いたハクチョウゲ

2019年05月16日 10時29分27秒 | 
これまで見過ごしていたところで急に花が咲いて驚かされるのが、この時期。
たんなる垣根と思っていた木に、白いきれいな花が咲いていた。
ハクチョウゲというらしい。
うれしい驚き。
(2019-05 神奈川県川崎市 道端)





ハクチョウゲ
ハクチョウゲ(白丁花、学名: Serissa japonica (Thunb.) Thunb.,1798) (Synonym :Serissa foetida (L. f.) Poir. ex Lam.,1781[3][4])とは、アカネ科ハクチョウゲ属の植物の一種。

ハクチョウゲという和名の由来は、その花が丁字型の白い花を付けるところから来ていて、白鳥とは関係がなく、単なる当て字である。

形態・生態
花期は5 - 7月頃であるが、西日本の暖地では秋の気候の良い時期にも開花することがある。

緑葉の基本種で薄い藤色の一重花、緑葉で純白色の一重花、一般的な覆輪斑入りの物も、白花と藤色花の個体が散見される。また、白花個体の中から選抜されたポンポン咲きもあり、この品種はカスミソウのように沢山花をつける。英国では 'Flore Pleno'、'Kyoto'、'Mount Fuji'、'Variegata'、'Variegata Pink' などといった園芸品種名の付けられた選抜個体がある。なお、日本国内の個体との相関関係は不明。

人間との関わり
常緑低木として、低生垣や庭木としてよく栽培される。強い刈り込みにも良く耐え、細かい枝が容易に分岐し、病虫害にも耐性がある。また、造園での修景用緑化灌木・盆栽・園芸などで扱われる。挿し木で繁殖させることが容易な部類に入る。刈り込み仕立てが普通だが、自然樹形仕立てにすることもある。

初夏の到来を思わせる季節感のある白い花ガマズミ

2019年05月16日 07時47分54秒 | 
ガマズミの花が咲き始めた。
多数の白い花が風に揺れているのをみると
初夏の到来を感じさせられる。
季節感のある花だ。
(2019-05 神奈川県川崎市 道端)





ガマズミ
ガマズミ(莢蒾、学名:Viburnum dilatatum)は、山地や丘陵地の明るい林や草原に生える落葉低木。

特徴
樹高2-3m程度となる。若い枝は星状毛や腺点があってざらざらで、灰緑色。古くなると、灰黒色になる。

葉は対生し、細かい鋸歯がある卵型から広卵形で10cm程度。表面には羽状の葉脈がわずかに出っ張り、凹凸がある。表面は脈上にだけ毛があるが、裏面では腺点や星状毛などが多い。

花期は5-6月。白い小さい花の花序を作る。晩夏から秋にかけて3-5mm程度の果実をつけ、食用となる。果実は赤く熟し、最終的に晩秋の頃に表面に白っぽい粉をふき、この時期がもっとも美味になる。

分類
近縁のコバノガマズミ(Viburnum erosum Thunb.)やミヤマガマズミ(Viburnum wrightii Miq)の葉は比較的細長く先端が尖った楕円形であるので、区別できる(しかし葉は変異が多いため、区別しにくいこともある)。

利用
焼酎に漬けて果実酒にも利用する。また、丈夫でよく分枝するため、庭木として観賞用に植樹されることもある。

優雅な名前をもらったタツナミソウ

2019年05月15日 12時53分02秒 | 
近くの林で咲いていたタツナミソウ。花が波立つという名前は優雅だ。
この花の仲間はいろいろとあるので、識別に手間がかかる。
それでも注意してみると、花弁の一つ一つが実に精密に、美しく作られているので、造化の妙に心を打たれる
(2019-05 神奈川県川崎市 林間)







タツナミソウ
タツナミソウ(立浪草、学名:Scutellaria indica)は、シソ科タツナミソウ属の多年草。

特徴
地下茎は細く短く這う。茎は、短い地下茎か前年の地上茎の基部から直立し、高さは20-40cmになり、白色の長い水平に開出した毛が密生する。葉はまばらに対生し、葉柄は長さ5-20mmになる。葉身は広卵心形から三角状卵形で、長さ2-3cm、幅1.5-2.5cmになり、先は円みをおび、縁には7-10対の鈍い鋸歯があり、基部は心形となる。葉の両面ともに軟毛が多く、裏面には腺点がある。

花期は5-6月。茎の先端に長さ3-8cmになる花序をつけ、やや密に2個ずつ一方を向いた唇形の花を穂状につけ、水平に開出した毛が多い。花はふつう紫色、ときに淡紅紫色があり、白色のものは白花品種として区分される。萼は鐘形で、上部に円盤状をした突起状の付属物があり、花時の長さ約2.5mm、果時には長さ5-6mmになる。花冠は長さ1.5-2cmの唇形で、基部は急に曲がって直立し、筒部は長く、上唇はかぶと状になり、下唇は前方に幅広く突き出て紫色の斑点がある。雄蕊は4個あって、うち2個が長い。雌蕊は1個ある。果実は黒色で、長さ約1mmになる分果で、4個あり、円錐状に先がとがった細突起が密にある。果実は宿存性の萼に包まれ、熟すと上部の付属物がはずれて、散布される。

分布と生育環境
日本では、本州、四国、九州に分布し、丘陵地の林縁などの半日陰地、草地に生育する。国外では、朝鮮半島、台湾、中国大陸(中南部)、ベトナムに分布する。

名前の由来
和名タツナミソウは、「立浪草」の意で、花が咲くようすが、泡立って寄せてくる波を思わせるのでついたという。