野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

垂れてしゃらしゃらと鳴る穂が楽しい「コバンソウ」(夏の花 21-003)

2021年06月04日 06時35分08秒 | 

垂れてしゃらしゃらと鳴る穂が楽しい「コバンソウ」。たしかに小判にみえてくるから不思議だ。この穂を米俵にみたてて「タワラムギ」という別名もあるが、これも納得だ。俳句の世界でもしゃらしゃらと鳴る音が好まれているようだ。「小判草遠くのやうな音に鳴る 森田桃村」。

(2021年初夏 川崎市)

■夏の花シリーズ

「アカンサス」(夏の花 21-001)
「タチアオイ」(夏の花 21-002)

「コバンソウ」

コバンソウ(小判草)
1年草
ヨーロッパ原産で、本州〜九州の砂地や荒れ地に生育する。全体無毛。茎は節が高く、直立・叢生する。高さ30〜60cm。葉は挟披針形、薄く柔らかで先端はゆるく下垂する。長さ15〜22cm、幅5〜10mm。花序は幅の広い円錐形をして、繊細な枝先に4〜7個の小穂をつけ下垂する。小穂は長卵形、長さ15〜20mm、幅10〜12mm、15〜17小花からなり、黄褐色をおび光沢がある。果実は倒卵状円形、径2.2〜2.5mm、褐色、無光沢。花期は5〜6月。(日本イネ科植物図譜)
学名は、Briza maxima
イネ科コバンソウ属

 

小判草

そよげるは生家の跡の小判草 北光星
ふくらみし花の触れ合ふ小判草 中川 みさえ
みどりの穂こぼし初めたり小判草 山田みづえ
むさし野や午後は風出て小判草 伊藤いと子
佐渡島至る処に小判草 高澤良一 寒暑
咲きのぼりつゝ小判ふえ小判草 桑田詠子
奥入瀬の風が揺らすよ小判草 石川星水女
小判草からから振って海へ出し 小山 二虹
小判草むやみに増えて子なき家 鈴木昌江
小判草ゆつくりと揺れ迅く揺れ 清崎敏郎
小判草小判まぶしき庭薄暑 清崎敏郎
小判草小判一連そろへけり 山本砂風楼
小判草左右に咲きて犬を抱く 四ッ谷 龍
小判草手折りて小判手中にす 藤田あけ烏 赤松
小判草振つてみてそれだけのこと 正木ゆう子
小判草振つて鳴らして見たりけり 三島牟礼矢
小判草摘んで千両ほどの音 小金千鶴
小判草照りこぞりては茂りゆく 新村千博
小判草疼くごとくに熟れゐたり 加藤三七子
小判草磧へ径の消えてなし 上村占魚
小判草秋に似し灯に揺れやまず 山本夕村
小判草遠くのやうな音に鳴る 森田桃村
小判草風に喜ぶことをする 原田青児
小判草風来るたびに風笑ふ 池上樵人
小判草鳴りそこかしこ夕茜 櫛原希伊子
少年に果てなき渚小判草 茂里正治
引き抜いて意外に軽し小判草 関口加代子
掌に受けて小判軽しや小判草 谷口雲崖
日々惜しみけふの没日や小判草 森澄雄
木洩日に狐色なす小判草 堀口星眠 樹の雫
水門の丸ハンドルや小判草 藤田あけ烏 赤松
漁婦みち風のゆくての小判草 敦賀晴川
漁村 昼寝 風に鳴るのは小判草 伊丹三樹彦
由良の門や瞑れば鳴る小判草 浜明史
膝の辺にゆれて親しき小判草 今井つる女
舟を待つ夕日の色に小判草 浜 福恵
貧しげな草にして名は小判草 井上哲王
こばん草添ふむらさきの墓尺余 桂樟蹊子



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