
■ 週末一泊で山梨の道志村へ
一泊のキャンプはせわしない。だから、近年はほとんどやってこなかった。
若いころ、ソロキャンプが当たり前だったころは、ひと晩、森で焚火をして寝るためだけに思い立って出かけたものだった。小さなテントとロールマットにシュラフ、最低の調理具、コップ一個で楽しめた。
10月31日から11月1日の週末、一泊キャンプを計画したのは、そんな昔のシンプルキャンプをとりもどしたいとの思いからだった。11月2日の月曜日に出社しても翌日の3日は文化の日で休みとなる。一泊キャンプには願ってもない日程である。
このキャンプで、どこまで道具が削れるか試してみたかった。女房のほかに、最近、コールマンのランタンにハマっている愚息を誘ったらついてきた。
目指すは山梨の道志村である。
道志とのつきあいは、かれこれ40年になる。「道志みち」と呼ばれる国道413号線がまだ全線舗装されておらず、道も細くてカーブとアップダウンにとんだ楽しいルートだった時代からさんざん走ってきた。
そのわりにキャンプをおこなった頻度が低いのは、キャンプ場の数は多いがいまひとつ楽しめる環境に乏しかったからである。
毎年、紅葉のころ、日帰りで山中湖をめざし、勇んで出かけていた道志村だった。たまたま訪れた時期がよかったのか、今年の道志村の紅葉は、例年になくきれいだった。
これならほかもさぞやというので、初日に設営を終えてから139号線を本栖湖まで走り、途中の紅葉台や青木ヶ原の紅葉に期待したがみごとに裏切られた。

■ 道具はこんなに削ったはずなのに
御殿場のスーパーマーケットで夕飯の買いものをすませてキャンプ場へ戻ったのは夕闇が迫る時刻だった。シンプルキャンプなので夕飯はBBQ。まずは炭火を熾す作業をいそいだ。
どこまでシンプルにしたつもりかというと、テントはモンベルのムーンライトⅤにアストロドーム。いつもは二台のテーブルを一台にして、その代り簡易テーブルを人数分持参した。ジャグは持たないが、念のため大きめのプラスティック製カンティーンを用意した。だが、これは不要だった。
焚火キャンプの予定でもあったので、スノーピークの焚火台(L)一式と焼き網。調理具は、使わないかもしれないと思いつつ、火に直接かけるステンレス製のビリーカン(タイ製)を購入後はじめて持参した。ヤカンは、ユニフレームのキャンプケトル。
食器はMSRのステンレス製の皿3、チタンのロッキーカップ3、スノーピークのチタン製シェラカップ3、同じくチタンシングルマグ300と450×2個。包丁がわりのナイフに小さなまな板、箸、スプーン類といったころである。
道具を削ったつもりではあったが、クルマに積み込んでみるといつものようにルーフキャリーまで満載となり、なにを削ったのかよくわからないありさまだった。
言い訳すると、前回残した炭と薪を積み込んだ。とはいえ、さほどの容量ではない。ソロのときにくらべてなにが増えているかといえば、テントの床に敷くキルティングのインナーマット(小川キャンパル)、カセットコンロ(イワタニのマーベラス)あたりだろう。

■ なにがムダかはわかっているけど
ほかに、昔は直火が当たり前だったからわざわざ焚火用の器具など持たなかった。ランタンもなく、ソロだったら手のひらにおさまるようなフラッシュライトでことたりた。
食事もビリーポットから直接食べていたから皿などの食器は使わず、飲み物用のカップが一個ですんだ。
クルマを使ったオートキャンプと呼ばれるスタイルのキャンプは、やっぱりどうしても道具が大型化してかさばるのを避けられない。それに大人が三人と犬一匹のチーム構成もクルマに負担をかける。犬用のケージも大きいタイプのものを荷台に積んでいる。
そして、わが家の場合、なによりも各自が持参する荷物が多すぎる。ぼくはノコギリがあるのに鉈や斧を持っていってしまうし、それ以外の細々としたキャンプ道具を入れた工具バッグがある。せがれはカメラバッグを持ってくるし、女房は着替えのダッフルバッグを複数持ち込む。
若いころは、「やっぱり荷物をザックに詰め、歩いて出かけたキャンプだけが本物のキャンプだ」などとうそぶいていたが、もう、そんなストイックなキャンプに戻れる体力がないし、それより先に根性がヤワになって、ただただ堕落の一途をたどっている。
クルマは使うが、久しぶりに犬だけつれてキャンプへ出かけ、ほんとうのシンプルキャンプを楽しみたいと思うのだが、いまやぼく以上にキャンプにハマってしまった女房の許しが出るはずもないだろう。