美味しんぼ「とんかつ慕情」
ある青年が東京に出てきて一人暮らしをしていた。
貧しい生活の中で、細々と暮らしていた。
雨の日の夜、路上でカツアゲに遭い、殴られ、
道端でうずくまっているところをオジサンに助けられる。
オジサンの店に連れていかれ、破れた服を縫って
もらいながら、とんかつをご馳走になる。
「立派な人になってね。」と、かみさん。
「いやぁ、立派になんてならなくていい。
食べたい時にとんかつが食べられるくらいがちょうどいい。」
とおやじさん。
その言葉をかみ締めながら食べたとんかつ。
こんなにうまい食べ物は初めてだった。
青年は夢を見てアメリカに行く。その後もエアメールで
おじさんに手紙を書いていたが、宛先不明で手紙が
返ってきてしまう。
友人に頼んで居所を探してもらうが見つからない。
そうしているうちに30年が過ぎた。
アメリカで大成功した青年は、久し振りに日本に帰ってくる。
あの時のとんかつの味を求めて、いろいろな店で食べてみるが、あの時の味に出会えない。
そんな時に、東西新聞社会部が人情モノを記事にしようとしていた。
白羽の矢が山岡に向けられた。
新聞で探し人記事を掲載し、千葉の老人ホームに移り住んでいた2人を探し出した。
30年振りに再会したおじさんと青年。
青年は涙を流し、アメリカでくじけそうになった時、
あの時のとんかつの味を思い出して頑張ったと語る。
おじさんは不動産屋にだまされて店の権利書を奪われ、
日雇い暮らしをしていて、最近老人ホームに入ったと語る。
山岡は青年とおじさん夫婦を店に連れて行く。
ここでとんかつを作って下さいと、おじさんに頼む。
おじさんはこだわりをもってとんかつを作る。
「あの時の味だ!」と、涙を流して食べる青年。
「あの時の腕は衰えちゃいないよ!」と、豪語するおじさん。
「では、このお店、お任せできますね。」と青年。
「え?」、「おもての看板、見ませんでした?」
おもてに出てみると、おじさんが掲げていたお店の「とんかつ大王」の看板。
青年はおじさんにお店をプレゼントしたのだ。
おじさんは涙を流して感謝する。
そして、青年はアメリカに帰っていく。
はたち前の青年がおじさんの店でとんかつを食べさせてもらっているところで、涙が滲んだ。
僕も同じことをしてもらった気がする。
あの時は、その優しさに気付けなくて、ただで食べさせてもらっちゃった。
それくらいしか感じていなかった。
おじさんが僕のことをジーっと見て微笑んでいたのを、照れくさくて笑っていた。
むしろ、自分が貧乏なのを不憫に思って見られている気がして、嫌だった。
きっと、これだったんだ!と今頃になって気付かされた。
僕は運がいいんだ!と思っていたけど、こんな優しい人達に支えられていたんだと、今頃になって気付かされた。
こんな事は若い頃には何度もあって、明確に記憶に残っていない。
僕は、感謝を形にしたことあるんだろうか?
胸に手を当てて、確認してしまった。
ある青年が東京に出てきて一人暮らしをしていた。
貧しい生活の中で、細々と暮らしていた。
雨の日の夜、路上でカツアゲに遭い、殴られ、
道端でうずくまっているところをオジサンに助けられる。
オジサンの店に連れていかれ、破れた服を縫って
もらいながら、とんかつをご馳走になる。
「立派な人になってね。」と、かみさん。
「いやぁ、立派になんてならなくていい。
食べたい時にとんかつが食べられるくらいがちょうどいい。」
とおやじさん。
その言葉をかみ締めながら食べたとんかつ。
こんなにうまい食べ物は初めてだった。
青年は夢を見てアメリカに行く。その後もエアメールで
おじさんに手紙を書いていたが、宛先不明で手紙が
返ってきてしまう。
友人に頼んで居所を探してもらうが見つからない。
そうしているうちに30年が過ぎた。
アメリカで大成功した青年は、久し振りに日本に帰ってくる。
あの時のとんかつの味を求めて、いろいろな店で食べてみるが、あの時の味に出会えない。
そんな時に、東西新聞社会部が人情モノを記事にしようとしていた。
白羽の矢が山岡に向けられた。
新聞で探し人記事を掲載し、千葉の老人ホームに移り住んでいた2人を探し出した。
30年振りに再会したおじさんと青年。
青年は涙を流し、アメリカでくじけそうになった時、
あの時のとんかつの味を思い出して頑張ったと語る。
おじさんは不動産屋にだまされて店の権利書を奪われ、
日雇い暮らしをしていて、最近老人ホームに入ったと語る。
山岡は青年とおじさん夫婦を店に連れて行く。
ここでとんかつを作って下さいと、おじさんに頼む。
おじさんはこだわりをもってとんかつを作る。
「あの時の味だ!」と、涙を流して食べる青年。
「あの時の腕は衰えちゃいないよ!」と、豪語するおじさん。
「では、このお店、お任せできますね。」と青年。
「え?」、「おもての看板、見ませんでした?」
おもてに出てみると、おじさんが掲げていたお店の「とんかつ大王」の看板。
青年はおじさんにお店をプレゼントしたのだ。
おじさんは涙を流して感謝する。
そして、青年はアメリカに帰っていく。
はたち前の青年がおじさんの店でとんかつを食べさせてもらっているところで、涙が滲んだ。
僕も同じことをしてもらった気がする。
あの時は、その優しさに気付けなくて、ただで食べさせてもらっちゃった。
それくらいしか感じていなかった。
おじさんが僕のことをジーっと見て微笑んでいたのを、照れくさくて笑っていた。
むしろ、自分が貧乏なのを不憫に思って見られている気がして、嫌だった。
きっと、これだったんだ!と今頃になって気付かされた。
僕は運がいいんだ!と思っていたけど、こんな優しい人達に支えられていたんだと、今頃になって気付かされた。
こんな事は若い頃には何度もあって、明確に記憶に残っていない。
僕は、感謝を形にしたことあるんだろうか?
胸に手を当てて、確認してしまった。