せかいのうらがわ

君と巡り合えた事を人はキセキと呼ぶのだろう
それでも僕らのこの恋は「運命」と呼ばせてくれよ

ほけんしつのせんせい

2007-09-09 15:15:25 | その他
ランボ先生はこの学校の保険医だ。それがなんともまあ、伊達男で女子生徒からは廊下を歩くだけで黄色い悲鳴が上がる。男子生徒からはもちろん非難たらたら。そしてそれだけに留まらず、この顔で23だという。はじめはそりゃあもう驚いたものだ。最年少ですか、そうですか。
そして私は去年入学したしがない生徒の一です。というかこの昼の時間、どうしてこんな薬品臭い場所で弁当を食べなければならないのかということが私の一番の議題だった。頭の中での。

「ちょっと、」

その声ではっと我に帰ると左手をとられていた。すごい怒ってる声だ、そういう顔もしてる。

「な、なんですか?」

あんまりに凄んでるものだからすこし怯え気味で返すと、左手の薬指を抓まれた。それが以外にもかなり痛くて、見ると血がだらだらと出ていた。もっとよく見れば、指の皮が剥けていた。そりゃあ痛いわけだ。

「いけませんよ、もっと自分を大切にしなくては」
「そんな、大げさですよ。考え事してるときによくやっちゃうんです。爪噛んだりする人と同じじゃないですか」
「それで、俺の仕事増やさないで下さいよ」

やれやれ、なんて肩を竦められた。なんでそんなに干渉されなあかんのじゃ、と思って顔を歪める。
先生は治療しようともせずに傷口をじっと見て(・・傷口フェチ?いや、そんなハズは・・)、それからまるで自分が怪我をしたかのように顔を歪めた。

「・・ああやっぱり、何年経っても血は苦手だ。はやく血を止めなければ俺の方が持たない」
お前何で保険医になったんだよ

バカだろお前バカなんだろそうなんだろ、と呟いてからその手を振り払った。驚いたように目を見開いて、また手を掴もうとする手を払いのける。

「舐めとけば治るのでほっといて下さい」
「教師として、そういうわけにもいかないのでね」

この先公が肩を竦めて目を伏せた時は、なにか企んでいる。逃げろ!そう脳が命令して身を引こうと思ったより一瞬はやく、ランボの方がはやく動いた。
背筋にぞわり、と嫌な感覚が走る。

「ちょ、なに、して・・!」
「舐めれば治るって言ったのは、貴女の方ですよ」
「うわあバカが此処に、ぃ、たっ」

思わず悶絶。かなり痛い。こんなことなら普通に治療してくれた方がマシだ!変態が!PTAに訴えんぞ・・!(っても親は海外、兄弟居ない、私劣等生)
たまに指先に鈍い痛みが走って、イヤーな音がする。ああ殴りたい、殴ってやりたいこの変態を!
しばらくしてもうほんとに殴ってやる!ということで右手を振り上げると、案外あっさり左手は開放された。なんだこいつ!そしたら悪戯成功、みたいな顔するし!

「治療完了、」
「どこが治療!痛かったんだけど!」
「良薬口に苦し、です」
「何か違うし!!」

そうしたら今度は

「本当は俺がそれに気付いた時から、血は止まってたんですけどね」

とか言いやがる!


もちろん泣かせてやった(女子生徒の皆さん!こう見えて保険医は泣き虫なんだぜ!)

―――
変態くさい(待