せかいのうらがわ

君と巡り合えた事を人はキセキと呼ぶのだろう
それでも僕らのこの恋は「運命」と呼ばせてくれよ

Are you my Mother Goose?

2007-08-24 21:34:58 | その他
真っ黒な廃墟のような場所。予定では"彼女"が此処で待っているはずだったのに、今そこには原型を留めないような死体と血に濡れたナイフが転がっているだけだった。そのホールに、こつん、と、彼以外の足音がひとつ、こだまする。

「・・マ・メール?」

首を傾げて、そう零す。彼には、それで相手が誰であるか、充分すぎるほどにわかっていた。マ・メール・ロワ。『マザーグース』の本名だ。

「フラウ」

彼が想定する彼女の零せば、「ああやっぱり!私の愛しいマザーグースさま!」そう大げさなふりがついて飛びついた。もちろん彼は、マザーグースなどという名前ではない。彼女はそう信じ込んでいるだけだ。

「そいつらはどうしたんだ?」
「ああ・・このお人形さんたちは、」

彼の首から手を離して、彼女は口を尖らせた。

「マ・メールのことを悪く言うから、少しだけ遊んであげたの」

にこり、と彼女は力なく笑って、血濡れになっていたナイフを拾い上げる。彼はそれを黙って見てから、何を言うでもなく彼女に近付いた。

「でも、ちょっとやりすぎちゃったかしら。みんな動かないのよ?私はまだ遊び足りなかったのに、ねぇ酷いと思わない?」

いつかのように、彼は「そうだな、」とだけ呟いた。それでも彼女は満足そうに微笑んで、「行きましょ、マ・メール」と言う。

「リボーンさんが待っているんでしょ?」
「ああ」

―――
Are you my Mother Goose? -No I'm not? See you, Good-bye.
フロワ嬢の口癖は「ああ」「マ・メール」
「私の愛しいマザーグース」とか、あとは
「ねぇ酷いと思わない?」。・・なにこれ。