goo blog サービス終了のお知らせ 

おおしたさんの治療室&ツアーガイドと

このブログは2005年6月に始めました。鍼灸院をやってた頃のことを含め、今も気ままに書いています。

押し手について

2012年01月20日 | 東洋医学、東洋思想

「押し手について]だなんて鍼灸師しか読まなそうですし、実際はたいそうな話ではないので恐縮なのですが、最近の練習で思う事を少し…


鍼灸治療では鍼を持つ方の手もそうですが、もう一方の手も重要です。鍼を支える方の手ですね。「押し手(おしで)」と言うのですが、重くなく軽くなく、鍼を締めすぎず緩すぎず、患者さんの皮膚面に親指人差し指が平行になるよう押し手を置かないと、気の滞りを生んでしまいます。

練習方法は人それぞれだと思います。10円玉を押し手の親指と人差し指でつまんで力を抜く、その時一番力が抜けているからその時がよいとか、患者さんの皮膚面よりやや浮かせた方が脉は固くならないとか、押し手一つとっても十人十色、練習方法も千差万別です。


押し手の練習中いつも頭に浮かぶのが「中庸」とか「良い塩梅」とかです。「強過ぎず弱過ぎず」だなんて、まさに陰に傾くでもなく陽に傾くでもない、虚に傾くでも実に傾くでもない。東洋医学ってすべてにおいてそうだから、決めつけられる事で安心する人や、なんでも白黒つけたがる人には向いていないだろうなあ、なんて思う事もあります。


人間の身体なんて、ほとんどの部分がグレーゾーンなわけで、生死に関わるような病やら怪我ならともかく、長く付き合わなくてはいけない症状のほとんどは気血のバランスを整えるだけで事足りる、日々の臨床でそう実感しています。だから辛い事のほとんどは、実はそんなに目くじら立てるようなものでもない気がしていますし、鍼灸を通じてどのように付き合っていくかをもう一度考え直すことができれば、恐ろしいことなんてありません。まあ…こんな曖昧な感じで治療をしているので、白黒はっきりさせたい方は続かないのでしょうね。そのあたりが私の課題の一つです。


ということで押し手の話に戻りますが、毎日の蓮華坐時(股関節・膝関節・足関節を柔らかくするのによいということでこの姿勢をとるようになったらなんだか楽しくなっちゃって…瞑想等のためにやっていないので悪しからず)、親指と人差し指を合わせる時に、強く握るでもなく離すでもなく、触れるか触れないかに意識を持っていくようにしています。こうすると自然と意識が長時間指先に向う感じがして、良い練習になっている気がします。

 

気を滞らせない、それでいて鍼を刺入する時に痛くない押し手をつくる。なかなか難しいですが、練習を怠らないようにしなくては…。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿