「おおしたさん」のブログです

2005年6月に始めたこのブログ、鍼灸院をやってた頃のことを含め、今も気ままに書いています。

アマゾンでの出産の話、果たしてその部族との信頼関係は得られているのだろうか?

2023年05月07日 | 安産・逆子
水たまりに映った建物の一部がなんだか素敵だったので、、


アマゾンで出産しようとしている方の記事を読んだ。その記事に対する意見は否定的なものしか見つけることができなかった。それも日本人の基準から外れた事をする人への総論での非難、本当はそこじゃないと思うのだが。

この方は芸能人である前に反原発の活動家という一面を持つようだ。反原発と自然回帰思想は結びつきやすい。そこに自然お産だ、自らのコミュニティへのアピールとしては大成功ではないだろうか。確かに日本でも普通だった産婆による出産。事故があるとしても、その確率は否定的な人が思うほど高くはない。今でも助産院や自宅出産を選択する人はいるし、病院でさえトラブルはあるのだから、危険だからやめた方がよいという意見は、この夫婦にとっては端から想定内だったと思う。主治医でもない産科医まで参戦してあれこれ言っているが、それこそがこの二人の目的であり、否定的な意見のSNSでの拡散はありがたいだけではないだろうか。

「子どもにとって迷惑でしかない。全く子どもからの視点がない。」という意見も散見されるが、子どもは親がいれば十分だ。夫も協力的だと思うので、子どもにとってはどこで生まれようが関係ないのではないだろうか。そもそも小さい時から競争にさらされ、若者の自殺者の多いこの国の住民から何を言われてもこたえないと思う。むしろ自然な環境で出産し、子どもとの距離が近い親子関係がその部族にあるとすれば、それは願ったりではないだろうか。

そんな事よりも気になるのは、このワンピス族という小さなコミュニティに、この女性がすでに受け入れられているのかどうか。先住民による自治政府を発足するといった部族らしいので、開かれた部族のようには思うのだが、所詮はたんなる村社会だ、夫がちょっと住んだくらいでこの出産を決めていいものだろうか。小さなコミュニティで出産するには、そのコミュニティでの居場所が無いと成立しない。この女性がこのコミュニティで何年も過ごし、この部族の女性陣に溶け込んでの出産だとしたら大いに応援する。しかしそうで無いとしたら、かなり心配になってしまう。男性と違い女性のコミュニティはよそ者を受け入れにくい。まあ話の流れからして、男性どうしでの約束だけで産婆さんに出産を頼んでいるみたいなので、たとえ安産だったとしても、私の思う自然な出産とはかけ離れているようには思ってしまう。

アマゾンで思い出したが、NHKでも放送されたヤノマミ族の出産を覚えている方がいるかもしれない。すなわち、生まれた子を育てるか精霊として殺すか、出産した女性がそれを決めるというあの部族の事である。部族が違うといえど、日本よりも生と死はかなり近いと思う。一人一人を確実に生かそうとする国に対し、ある程度の子どもの死は仕方がないという考えがこの部族にいまだにあるとすれば、それも受け入れて出産にのぞまないといけない。

体作りも気になるところだ。人種が違えば体も違う。それだけでも出産に対する介助は違うと思うのだが、生活習慣や食事のありようも体に影響するので、産婆さんがその辺りも気にしてくれるのか心配なところだ。本来なら何年もかけてその部族に馴染んで心も体もそのコミュニティに慣れ親しんでの出産でないといけないと思っているので、たとえ安産であったとしても、運が良かったと言うかもしれない。

出産はリラックスして初めて産道を通る。いきむイメージからして交感神経優位かと思っていたが、あの苦しさの中でも、副交感神経が優位になって初めて出産にこぎつけるとのこと。だから親しい人の間で心身ともに安心した状態での出産が安産に導かれる、といった話を聞いたことがある。だからできるかどうかは別として、そのような安心できる場所で産みたいという事で助産院や自宅での出産を希望する人は後を経たない。助産院も安産のためには信頼関係が大切だということを認識しているので、時間をかけて妊婦とその関係を構築する。その人の体の癖だけでなくマインドの癖も知り、心配性の人、楽観的な人、その人に合わせて出産の手伝いをする。このように、出産の介助者と妊婦の信頼関係は自然なお産においてとても大切だと聞くのだが、果たしてこの女性は部族の女性陣との間に信頼関係を構築したのかどうか。それが無いのであれば、この部族の女性陣が出産を積極的に手伝うとは思えないのだが、そこはこの方の人となりの素晴らしさでカバーするのかそれとも金か。とにかく記事を読む限り、夫主導でそこに乗っかっているイメージしかない。それだけ夫を信頼しているという事だと思うのだが、出産は女性のもの、男性が介入して碌なことはない。




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