英検準1級&東大・京大・早慶の英語(英単語)は英英方式で突破できる!

英英思考を制するものは英語を制す。英英辞典とネイティブ向け読み物への早期移行が異次元の高速学習を可能にした。

井伏鱒二訳「ドリトル先生アフリカゆき」

2009年11月02日 | リーディング
 岩波少年文庫から、井伏鱒二訳「ドリトル先生アフリカゆき」が出ています。書店で立ち読みしたところ、あまりの名訳ぶりに思わず買ってしまいました。

 双頭のシカのような珍獣が登場するくだりで原文は

PUSHMI-PULLYUS are now extinct. That means, there aren't any more.

となっていました。

 訳文は「オシツオサレツは、いまでは根絶しています。というのは、いまではもう、一ぴきもいなくなっているということです」となっています。

 「根絶よりは絶滅がいいんじゃなかろうか」といったあら探しはできるかもしれませんが、PUSHMI-PULLYUSを「オシツオサレツ」と訳すあたり、名訳の定評があるのもうなずけます。

 しばらく進んで、

"Lord save us!" cried the duck. "How does it make up its mind?"

"It doesn't look to me as though it had any," said Jip, the dog.

というくだりは、

「おやおや!」と、アヒルがさけびました。「よくまあ、二つ頭で考えが一つにまとまることだね。」
「ぼくには、考えなんかあるとは見えないね。」といったのは、犬のジップです。

と訳されています。How does it make up its mind?"という原文が子どもでもすぐわかるような日本語に変換されています。
 ちなみにmake up one's mindは、「意思決定する」という意味の、大学入試にも英検にもTOEICにも共通する重要熟語です。慣れてくれば英語のまま理解できるでしょうし、(二つ頭なのに)という言外の意味がわかっていれば「意思決定する」といういささか硬い日本語で理解しても何ら問題はないと思います。
 名訳に触れると思わず見とれたり時には真似したくなったりすることもあるかもしれません。しかし英語は英語のまま理解するよう努力した方がはるかに効率よく習得できます。高二生レベル(英検準2級レベル)の英語学習者がもっともっと、訳さずに理解できる童話や子どもニュースに親しむようだと、英検1級、TOEIC900点台に到達する日本人も増えるでしょうし、大学入試突破も楽になるでしょう。
 「オズの魔法使い」であれ「ドリトル先生アフリカゆき」であれ、優れた訳本は英文理解の大きな助けになります。ただ、和訳は不明箇所やあやふやな箇所を確認する手段にとどめておかないと英語上達は遅れます。
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