遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

リドリー・スコット監督『ブレードランナー(最終版)』(1982年)

2021-07-31 00:26:20 | NETFLIX/Amazon/UNEXT/Apple TVで観た

2021/7/24

・感想書くタイミングを逃して何度も見てしまう

・ブレードランナーとは脱走したレプリカント(人造人間)を判別し捕える特捜班みたいな役割の人。

・近未来としての2019年、ロサンゼルス。引退したブレードランナーであるデッカードが、地球に潜伏するレプリカントを捕えるため、現場復帰させられる話。

・ビル一面に強力わかもとの広告が出ていたり、店の看板にやたらと日本語が使われている。日本色が強い。

・1982年だからバブルには少し早いんだけど、単純に監督が日本文化好きだったのかなんだったのか。

・技術が一周して庶民的な街並みと高度な科学技術が入り乱れている。近未来表現として生々しい。

・街並みや、タイレル社のオフィス、デッカードの家、光の使い方が印象的で美しい。

・人間とレプリカントの見分け方は、瞳孔チェックみたいなこともするけど、診断テストの比重が大きい。

・診断シーンは面白いんだけど、診断者がヤブだと、ほんの少しの技術革新ですぐ見分けがつかなくなりそう。

・レプリカントは感情を持つことがあるという。それがわかってて寿命設定をするのはなかなかひどい。

・人を殺害したと言っても、奴隷の反乱そのものだし、感情を持ったレプリカントを強制労働させてれば必然の出来事だったようにも思う。

・おそらく作り手側もそのへんはわかっていて、そういう残念な構造の世の中でも、レプリカント側にちょっとだけ希望を持たせたまとめ方をしている。

・レイチェルが髪型を変える前後が色っぽい。

・ピアノのシーンはそれこそ『ロボット RUR』を踏まえているのかも。

・宇宙植民地という超辺境で活動していたレプリカントのわりには、それぞれそんなに強くない。

・寿命の影響があるのか、銃は持てないようにプログラムされているのかも。ほとんど人間化していたレイチェルが例外なだけで。

・なので、本来は生身の人間より強いはずのレプリカントに、狩られる側の悲哀みたいなものが透けて見える。

・彼らと同じようになりたいとは思わないけど、レプリカントたちが滅びる瞬間の生を満喫しようとしているところが、ちょっとうらやましくも感じた。

(PrimeVideo)

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劇団words of hearts『ニュートンの触媒』

2021-07-30 22:54:41 | 演劇を見てきた

2021/7/30

・ニュートンを尊敬する科学者ウォーレスが、画期的な化学繊維を発明するものの、やがて破滅していく話。

・舞台は彼の家。客間と研究室。アーチ状のオブジェが空間を装飾している。立体的で見栄えがいい。高校の化学の授業で、あんな感じの化学記号を見た気がする。

・基本善良な一般人が、今の感覚だとギョッとするような差別的な発言をすることで、時代感を出す。うまい。

・本作でのウォーレスは、極めて人付き合いの苦手な変人化学者として描かれる。

・演じているのは井上嵩之さん。後でwikiの写真を見てみたら、見た目がそっくり。

・平時の言動もどことなくぎこちないし、取り繕う表現と、感情を露にする表現も多彩で、塩梅もいい。

・さかのぼって、初演の三島祐樹くん(面識の有無で敬称が倒錯している)がこの難役をどうやって演じきったのかも気になってくる。

・彼の上司役に温水元さん。一人語りパートは、そんなに声を張っている感じでもないし、早口なんだけど、内容は頭にするする入ってくる。不思議。

・悲劇の原因ははっきりしていて、ウォーレスが化学に没頭したいと言いながら没頭できる環境を維持する努力を怠ったことと、自身が天才化学者ゆえに他人に対して化学以外の評価軸を持っていなかったこと。

・それは本人の心の弱さに起因するものだけど、自力ではどうしようもないことでもある。原因がわかっても解決策が思いつかない。

・「アナザー」という役名で、ウォーレスの裏人格みたいな登場人物が出てくる。事前にパンフを見てなかったこともあり、最初はイマジナリーフレンドとしてのニュートンかなと思ったけど、違った。

・アナザーは、ウォーレスよりちょっと常識があって明るい感じ。彼が困ると出てくる。

・ニュートンへの偏愛が最終的には呪いになっていたようにも見えるので、彼が心の奥底で憧れていたのは、アナザーのような常識人だったのかもしれないと妄想する。

・アナザーを演じているのは飛世紗耶香さん。彼のそういう憧れを体現する存在と解釈した。

・ウォーレスが世紀の発明をしていなければ、化学の発展は遅れるし、会社は倒産していたかもしれないけど、彼自身は平凡な科学者として案外幸せな人生を全うできたような気がしている。

(7/29 19:30の回)

※画像は販売台本。製本テープで丁寧に作られた装丁に、町田さんの文芸人としての一面が垣間見えて得した気持ちになった。

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セバスチャン・スタイン監督『アフリカン・カンフー・ナチス』

2021-07-26 09:04:29 | 映画を見てきた

2021/7/24

・実は生き延びていて再興を計るヒトラーと東條英機の一派に、ガーナのカンフー使いアデーが挑む話。

・監督・脚本は日本在住のドイツ人セバスチャン・スタインで、ヒトラー役もやっている。なにそれ。

・共同監督はガーナのスピルバーグと言われているニンジャマン。なにそれ。

・ヒトラーは謎の魔術を使うし東条英機は空手の達人。

・ヒトラーに洗脳された現地の人は、顔が白粉をはたいたように真っ白になる。

・ナチスとかブラックフェイスとか文化の盗用とか思いつくけど、ここまで重なると色々どうでもよくなる。

・今後、オリンピックどころか民放深夜でも放送しないだろうから、実際、そんなに難しく考える必要もない。

・東條英機がナンバー2扱いなのは、極右の人が見たらどんな感想になるんだろう。売店のおばちゃんの腹部に思いっきり正拳をいれているシーンがひどい。

・彼だけ日本語なんだけど、何度も「美しい日本」とか言っていた。確信犯。

・わりと空手は空手、カンフーはカンフーの動きで見せていて、ごちゃまぜにしていない。そこは丁寧か。

・文脈的に入らなかっただけかもしれないけど、ヒトラーはさんざんからかっているのに、大量虐殺には全く触れていないのが、エンタメとしてのバランス感覚なのかも。

・ストーリーは途中で完全に息切れしていて、試合も後半になるほど淡白になっていくし、最後はカンフーですらない。なんだこりゃ。

・チープさで相殺されるものの、案外、グロい描写も多いし、主人公のはずのアデーの技もエグい。

・ゲームの『モータルコンバット』の影響もあるのかな。唐突にグロい感じとか。やったことないけど。

・とてもじゃないけど万人に勧められる感じじゃない。でも、たまに見たくなるタイプの作品。

・字幕がなぜか関西弁。たぶん、ゆるい感覚でツッコみながら見てねってことだと受け取った。

・たしかに「ひどいねひどいね」と人に話したくなるタイプのひどさ。

・東條英機の顛末。ちょっとは日本人に気を使ったのかなとも取れるけど、そこで気を使うなら、はじめっからこんな話やらなきゃいいのにとも思った。

(サツゲキ)

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メモ2021年7月~

2021-07-01 00:00:00 | メモ

7/1 わかぎゑふ『フルートの行方』「健次郎さんの唇が触れたフルートを吹いてみたいんや。」

7/2 カレル・チャペック『ロボット』「魂は歯軋りから始まるとでも?」

7/3 佃典彦『ランディおじさん』「ま、涼んでけよ……クソ暑いよ。外は」

7/4 菊池寛『入れ札』「九郎助は一枚入っているから連れて行きてえが、最初いった言を改変することはできねえから、勘弁しな。」

7/5 菊池寛『藤十郎の恋』「しばらく何事もない。母屋の大広間で打っている鼓のおとや、太鼓の音などが、微かに聞こえてくる。」

7/6 菊池寛『父帰る』「(驚駭して)なに見えん!見えんことがあるものか。」

7/7 菊池寛『世評』「でもこんなにひどくやられると、また何だか可愛いそうだわねえ。」

7/8 菊池寛『義民義兵衛』「あはははは、わしゃ、胸がすっとしただ。わしをな二十何年も苛めぬいたおっ母も、甚吉も、もうあなになってしもうた。ああ、おっ母、甚吉、甚三、甚作、どなな気持ちじゃ、あはははは」

7/9 菊池寛『屋上の狂人』「末、見いや、向こうの雲の中に金色の御殿が見えるやろ」

7/10 生田萬『パンデミック』「物語はないの。演劇は物語じゃなくて、事件?」

7/11 棚瀬美幸『そして、一人は自殺することをやめた。』「困った顔っていうのは、笑顔で代用がきくんだよ。」

7/12 松枝佳紀『奇蹟』「みんなが自分たちの嘘に気付いている。気付きながらも気付かないようにハシャいでいる。」

7/13 アヤ・オガワ『泥を食らえ』「これから、どうなるのら。」

7/13 鄭義信『空き地にて』「「夫婦はベッドを共にの会」、会長の佐々木です」


7/14 佐々木豪『僕の好きな先生』「蛾の……粉」「あぁ……鱗粉」

7/15 鹿目由紀『信号の無視』「お前の絶対気付かない所に立っている人。あそこの人が、いつも俺の信号を忠実に渡ってくれるもんだから。」

7/16 工藤舞『あしたのこと』「その時、男2の置いて行った袋がお土産の袋がガサガサと動いた。」

7/17 長谷川彩『怪獣日和』「私、今思春期なんです。」

7/18 南慎介『私のイスラム(2018)』「変わらないものが欲しいの」

7/19 はせひろいち『空の匂い』「でも楽しかったよ。なんたって秘密を共有する共犯者だし。」

7/20 内藤裕敬『千切れ雲』「六時を過ぎた時には、どうなることかと思ったけれど、何とかここまで漕ぎ着けた。さァ、これからだ、これからが私達の時間だ、季節だ。無かったいろいろをつくろう、できなかった様々をやろう。」

7/21 坂手洋二『雪を知らない』「ウェスト・コーストぽいって言う人いたね。行ったことないからわからないけど。」

7/22 平田オリザ『働く私』「開場して3分後、ロボットB、上手(E-1)から、下手(E-9)に通り抜ける。」

7/23 斎藤憐『ヒーロー』「イーラーンの貧しき民をその武勇で救ったバリータは、だがしかし敵の武将ソロホープに心を移してしまった。」

7/24 美崎理恵『屋上の男』「落とせないんだ……どうしても……。」

7/25 成島秀和/セリザワケイコ『飴をあげる』「ねえあなた、わたくしの目の前の殿方。カラス風情が何を言うのかとおっしゃるかもしれんのですけど、わたくしは今すごく、すごくカーしたい。すきという意味で、カー、カーしあいたい。7/26 川村祥太『ゆるやかに死んでいく』「私の誕生日は、9月11日です…そう、アメリカで同時多発テロが起こった日です。」

7/27 長谷川浩輝『対話劇』「なんで敵役みんな茶色なの?」

7/28 ニール・サイモン『23階の笑い』「おれを愛してくれるんだ、おれもおまえを愛しているよ、マックス。おれは乗った。」

7/29 町田誠也『ニュートンの触媒』「君だって分かるだろう。研究が暗礁に乗り上げてしまいそうになって、暗闇の中で必死で答えになる何かを探してもがいていると、ふと一筋の光が差し込むことがある。光の先に求めていた答えがある。僕はそこを目指さなければならない。でもその光が見える時間はとても短いんだ。それを逃すと、また闇の中に戻ってしまう。

7/30 北海道帯広柏葉高等学校演劇部『to get her』「大好きだー! ほら、真田くんも。」

7/31 『冥加さらへ』「さあな。昔は堀川にも、色んな物の怪が出入りしてて、それはそれは賑やかだった。天狗囃子じゃろ? 布団かぶせじゃろ? 天王蛙に、尻切れ田螺に、紙舞に、七つ提灯、鎌イタチに、片目鮒に、小女郎狐・・・、

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