遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

演劇家族スイートホーム『いつか、いつだよ』

2023-11-06 22:14:25 | 演劇を見てきた

2023/11/4

・かつて熱血高校生だった社会人が、死神との取引の結果、一高校生としてコロナ自粛期の高校の放送部に送り込まれる話。

告知用の感想文を書いた関係でご招待いただく。

・それこそ高校演劇では、すでにコロナ自粛期を扱った名作は結構あって、若いとは言え高校生ならぬ大人たちが、コロナ禍の高校生たちの話をどう仕上がるのか、気にしつつ見る。

・実際、高校生がコロナでいろいろ台無しになって辛いというだけの話なら、巧拙の違い以上の意味はないので、むずかしい題材だったと思う。

・社会人として一定の知識や常識を身に着けてから、高校生に戻って学生生活をやり直せたら楽しそうではある。誰だって似たようなことを考えたことはあるはず。

・本作では、そういう異世界転生の亜種みたいなことはほとんどなく、主人公は高校生のサポートに徹する。

・題材的に硬軟のバランス取りはむずしそうだったけど、抑圧された生活の中でも、世代間ギャップやなりすまし系勘違い系のコメディ要素をねじ込んでエンタメ性を確保している。

・告白エピソードの使いまわし方がきれいだったし、いい感じの流れをぶった切る死神の割り込み方もよかった。

・元大人の主人公が指摘されるまでマスクをしてなかったのはよくわからなかった。

・現実では完全にコロナ自粛期は終わっていて、世間は簡単に理不尽な思いをした高校生たちのことを忘れていく。

・しかし、存在しなかったわけではない。

・大人の総体が社会である以上、その放置すれば消えていくような小さな記憶を草の根的に残していく。

・そんなアーカイブ意識を持つのは大人としての義務。

・苦しむ高校生の演技を見て感動しているだけではダメなんだと思う。

・自分自身、年齢的にはだいぶん大人なので、この作品に接して襟を正したい気持ちになった。

・当時の大人たちがそうだったように、ただの一般人に過ぎない主人公が加わったところで、コロナ禍の理不尽を解決することはできない。

・少しでも高校生たちの後押しができたのか、本当に若さだけで一歩先に進めたのか、主人公は何を受け取ったのか、最後のインタビューで少しだけわかる。

・あと、終演後のハッピーショーが完全に大学生のノリで、楽しいのは楽しいけど、この年になると、ずっとあの感じを続けられたら厳しいような気もする。

・はからずも主人公の気持ちの後追いができた。

(11/3 19時の回 シアターZOO)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「おたる水族館」など | トップ | 「AOAO SAPPORO」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

演劇を見てきた」カテゴリの最新記事