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プラムの部屋♪

長い長い休暇中デス。(*_ _) ゴメンナサイ。

『女資産家』

2005-12-07 22:38:08 | 作家は行
 バーバラ・T・ブラッドフォードです。

 

20世紀初頭のニューヨークを舞台に繰り広げられる

絢爛豪華な愛と野望の物語

 

物語は、ヒロイン・エマの現在から始まって過去の回想シーン、

そして最後に現在へ、第一部から第六部まで、

それぞれ年数ごとの出来事が記されていてとても読みやすいです。

面白いのは、部の題名の脇に書かれた有名な人物の言葉。。

例えば第四部「高原」には、かのニーチェの言葉――

人生は頂点に向かってつねに厳しくなっていく―――寒さがまし、責任がます。

これらの脇書きにより、その部の内容を鮮明に表現しているのです。

 

第一部。。世界有数の女性実業家エマ・ハートは、自分の追い落としと

事業の分割を画策する陰謀の存在が――恐るべき裏切り者が――

彼女自身の子供たちである事を知ります。

心労からの病を乗り越え反撃の準備を整えたエマは、

故郷ヨークシャーの別荘に親族会議を開くべく、皆を招集するのです。

そして物語は一転、過去の回想シーンへ。



1905年、ヨークシャーの領主の屋敷の使用人エマは初恋に破れ、

ただ一人故郷を去ります。

16歳で妊娠、孤独で頼るべき何者も持たず、わずかな蓄えを手に、

エマはひたむきに働き続けます。

貧困への憎悪と、自らの運命を狂わせたフェアリー一族への復讐の念を燃やし、

どんな犠牲もかえりみずただひたすら事業を拡大していくエマ。

ちなみにエマの起す事業はファッション業界です。

大胆で美しい独特のセンスを持つエマの類稀なる才能を描写する数々のシーン。。

 

―――ラインは控えめでエレガント、細かな部分で繊細なバランスを保ち、

みごとな色の組み合わせがまったく意外な効果を上げている。

エマの色彩感覚は、いささか大胆すぎるきらいはあるにせよ、

並外れていた。奇抜な取り合わせ――派手なピンクでトリミングした

ワイン・レッド、ハイライトとしてアップル・グリーンを配した紺、

ライラックをアクセントに使ったあでやかなシクラメン色、そしてその逆、

豊かな秋の色の数々を引き立てるのは純白、もやがかかったようなグレー

紫がかった青、さらにローズをちらした樅の木の緑――は

エマにしか思いつかないものだ―――

 

そして買収した一区画を見事な百貨店に改装し、オープンするシーンは

なんとなくジュディス・クランツの「スクープルズ」のオープンシーンと

似ている気がしますね。

わくわくするような描写の中でも、ひときわ素敵なのが

”エリザベサン・ガジーボ”と名づけられたカフェ。。

 

―――田園風景の壁紙や白いペンキを塗った四つ目格子、

装飾的な刈り込み、さらには色とりどりの精巧に作られた小鳥を入れた

鳥篭を配してイギリスの庭園風にしつらえた。―――

 

この百貨店はもちろん大成功し、みるみるうちに業界の名士に

のし上がっていくエマ・ハート。

とにかくサクセス・ストーリーは大好きなので、このグングン成功への道を

ひた走る姿は読んでいて痛快なのですヨ~



そして物語は再び現在へ。。

血の滲む苦労をして築き上げたこのハート帝国を守り抜くために

全力で戦う女性実業家エマの、ラストにおける非情な裁断は、

かなり衝撃的でしたが、変なハナシ・・・胸のすく感動でした。 

現代に生きるすべての女性に勇気と希望を与える世界的ベストセラー

との宣伝文句に恥じない面白さです

 

素材提供:AICHAN WEB


『双子座の星のもとに』

2005-12-03 12:05:51 | 作家は行

 ロザムンド・ピルチャーです。



ロザムンドおばさん一番のお気に入り作品だそうです

ちょっぴり乙女チック路線に走っちゃっていて・・・

なんとなく気恥ずかしい気がしないでもないのですが

柔らかい優しい雰囲気の、とっても美しい作品です。



22歳のフローラは、父親の再婚を機に故郷コーンワルを離れロンドンに赴きます。

ところが当てにしていた住まいが他の人に占領されてしまい、途方にくれ・・・

そんな時、その存在すら知らなかった双子の姉妹ローズと偶然出会い、

行くあての無いフローラの窮状を知ったローズから

双子である事を利用した作戦・・・熱心な依頼を受けるのです。

訳の分からないままローズの代わりとして、スコットランドで病の床につく

老婦人のもとを訪れることになったフローラ。。

ところがそこで出会ったのは、安っぽい欺瞞でごまかせない立派な人々で・・・

特にこの老婦人タピーの人柄の素晴らしさは群を抜いていました。

善意からとはいえ、嘘をつき人を欺きつづけることで苦悩するフローラ。

ローズの自由奔放な生き方とは好対照で、フローラは本当に誠実です。

でも・・・いくら双子とはいえ、現実にはちょっとあり得ないのでは??

なんてちょっと突っ込みを入れたくなる作品でもあったりして・・・

 

それはともかく、フローラとお父様の関係がとても良いですね。

生まれが同じでも環境が違えば違ってしまう。

でもおまえはたとえ母親に育てられてもローズのようにはならなかっただろう

と書いた父の手紙は胸に沁みましたね~。。

ピルチャー作品は家族愛を主に扱ってますが、

どの作品も暖かく優しく、現代の私達が、ある意味失ってしまいがちな心を

余すことなく描いているので、思わずハッとさせられることもしばしばです。

老婦人タピーやその家族の人々の暖かさ、心の気高さにふれ

最後に自分はローズではないことを告白するシーンもピルチャーならでは・・・。

う~ん。。素晴らしいです~。

 

そしてピルチャーの作品には英国文学らしく・・・(?)

とても美味しそうなお茶の様子も描かれてます。

「赤毛のアン」等にもよく描写されてましたが、

米英ではお茶の時間、というのがきちんと設けられているらしく、

ホームメイドのお菓子やバター付パン、紅茶やミルク等、

テーブルを囲んで談笑する様子はとても微笑ましい雰囲気です。

 

で。。この作品で登場するとても微笑ましいお茶のシーン。。

フローラと恋仲になる医師ヒューは、一人暮しで家の中は荒れ放題・・・。

フローラは見るに見かねて留守の隙に家中大掃除をし、

お茶の用意だけして密かに帰ってしまう算段でいたのですが

思わぬ計算違いで、見つかってしまいます。

アハ いかにもロマンス小説にありがちなシーンですが

でもやっぱり大好きだったりするのですね~。

紆余曲折を経て最後に結ばれる二人・・・。

分かってはいても、やっぱり感動してしまうのです。。

 

スコットランドの雄大な大自然の描写がとても瑞々しいピルチャーの世界。。

是非一度、味わってみて下さいマセ

 

素材提供:AICHAN WEB


『秋のホテル』

2005-11-25 10:44:08 | 作家は行

  アニータ・ブルックナーです。

 

ブッカー賞受賞のこの作品。

なんとなく今まで読んだ英文学とは少々趣が違いまして・・・

硬質で厳しく抑制された理性的な文章ですね。。

ストーリーらしいストーリーが無いので、説明が難しいのですが・・。



季節は秋。スイスのジュネーブ湖畔に建つ「ホテル・デュ・ラック」を舞台に

それぞれに様々な事情を抱えた人達の人間模様が繰り広げられます。

ここの宿泊者達は皆、個性豊かです。

実は一時的であれ、世の中からその存在を隠す必要のある

女性達ばかりなのです。

中でも強烈なのがアイリス・ピュージー夫人。

一見華やかで社交的。でも・・・。

イーディスは、猿のような愛犬キキを連れたモニカがお気に入りです。



この作品のヒロイン、イーディス・ホウプは女流作家です。

訳あって、このホテルで謹慎する為、訪れています。

ここに至るイーディスの身に起きた出来事が

物語後半に初めて明かされますが、

半ば人生をあきらめてしまっているかのようなイーディスの

抑制された感情の暗い深淵の原因は・・・とても衝撃的なものでした。

 

このホテルで、執筆作業と同時に愛人デヴィッドに宛てた手紙を書き綴りながら

深い孤独と向き合い、宿泊客達と関わっていくイーディスは、

自分自身の事も客観的に冷静に見つめていて痛々しいくらいです。 

 

この閑散とした季節外れのホテルに訪れる男性はほとんどいない・・・

そんな寂れた雰囲気の中に登場したネヴィル氏とイーディスの

少々深くて危うい会話はかなり印象的でした。

「あなたの笑顔、ほんのわずかだけど、冷たいわね」―――

「もっと親しくなってくだされば」―――

「ほんとうの冷たさが、おわかりになりますよ」



ラストにある出来事が起こり、新たに過去の自分と向き合うべく

書いた最後の電文「モドル」の文字は、ちょっと変かも知れませんが・・・

私自身、なんとなく救われたような気持ちになりました。



この小説の独特の雰囲気は、後書にもありますが、

ちょっとフランス映画っぽいです。

愛・孤独といったテーマをここまで淡々と乾いた文体で描ける作家さんは

英国には珍しい気がします。。



読み込むほどに味わい深い作家さん。

人として当たり前に行うべき事で―――例えば親孝行とか―――

でも意外ときちんと出来る人が少ない現在、

そういう類の事を淡々と気負うこと無く書ける数少ない作家さんです。

そして、じっくりと腰を据えて味わいたい大好きな作品です

 

素材提供:Pari’s Wind


泥棒探偵バーニィ・シリーズ

2005-11-05 22:42:13 | 作家は行

 ローレンス・ブロックです。

 

 このシリーズはまさしく肩の凝らないミステリー。。

ミステリーと言ってしまうには、あまりにもアンフェアですが・・・

この作品の主人公、泥棒バーニィ君は、泥棒をする事そのものを

生きがいとして楽しんでいる、少々不埒な男です

バーニィが、泥棒がしたい!という欲求のままにスマートに事を行うシーンは

通常の生活の中だと絶対許せない行為のハズなのですが、

その絶妙の語り口やスマートな仕草等、とても魅力的なのですね~。。

彼なりの泥棒美学があって、それを貫いている姿勢が良いのかも知れませんね^^

 

とにかく単純明快で、暴力が大嫌い・・・小心者なのです。

なのに暴力的な行為が行われる現場に必ずと言っていいほど居合わせてしまい、

必ずといっていいほど殺人の濡れ衣を着せられたりして、

否応なく事件に巻き込まれ、名探偵の素質を生かして奮闘し、

最後には無事一件落着(?)という悪く言えば安直な・・・

良く言えば安心して読める、お手軽なシリーズです。

 

とにかく全体的にユーモアに満ち溢れ、会話が粋で楽しいです。

何よりバーニィ君が魅力的なのですヨ

 

第一作目の冒頭。。

――――――――――

「また会いましたね」と私は声をかけた。もちろんまったくの嘘。

「どうにか今日一日いい天気でしたね」

男は微笑み、彼と私とは、ときたまあたりさわりのない

ことばを交わす隣人同士だと、喜んで信じてくれた。

で、こう答えた。「夜になってちょっと冷えますね」

私はそれに同意した。でも、彼が私の同意できないようなことを

言ったとしても、一向にかまわなかった。

彼が立派ななりで、東六十七丁目を東に向かって歩いていたこと、

それだけが彼に望んだすべてであって、別に彼と友達になりたいのでも、

ボール遊びをしたいのでも、彼の行く床屋を教えてもらいたいのでも、

うまく説きふせて、厚焼きクッキーの焼き方の秘法を

たがいに交換したいのでもなかった。私は、ただ彼に

私がドアマンの脇を通るのを、手伝ってもらいたかっただけだ。

 

とま~こんな感じ。。

泥棒に入るまでは非常にスマートなのです

この作品に登場する個性豊かな面々もユーモラスで楽しいです。

特に、いつの間にか相棒になっていた犬の美容師キャロリンは大好き

バーニィにあっけなく買収される警官レイ・カーシュマンの存在も

このシリーズの魅力に大きく貢献しています。

そして何気に古い映画や古典ミステリー、古典文学のパロディも

登場したりして作者の遊び心も伺えます。

 

とにかくお洒落で楽しいユーモア溢れるこのシリーズは、

米英国では絶大な人気を誇っているそうです。

謎解きをメインに楽しむミステリーも良いけど、

たまにはこんな肩の凝らない楽しいミステリーで楽しむのも一興・・・ですよね


『抱擁』

2005-10-14 01:17:39 | 作家は行
 A・S・バイアットです。

 

19世紀半ばに多くの優れた作品を残した偉大な詩人ランドルフ・アッシュに

憧れるローランドは、『アッシュ全集』の編纂にたずさわる

ブラックアダー教授のもと、パートタイムの研究助手をする日々です。

ある日、ロンドン図書館で出してもらったアッシュの古い本から、

偶然手紙を見つけます。

それはアッシュが、妻以外の女性へあてた恋文のような内容だったのですが、

アッシュは、浮気する事無く最愛の妻と生涯仲睦まじく暮らしたはずでした。

驚愕したローランドは、どうしても自分でその謎を調べたくなり、

独自に調査を開始するのです・・・。

 

冒頭の詩・・・そして図書館でのシーンから一気に物語に惹き込まれてしまいました。

アッシュの書いた手紙をローランドが発見するシーン・・・

 

―――この下書きらしい二通の手紙に、

ローランドは最初、激しいショックを受け、

やがて学者としての習性から胸がわくわくしはじめた。―――

 

気持ち、分かりますよね~。。

この作品は、現在と過去の二重構造、という複雑な作風で、

現在の状況と過去の状況が交互に展開され

更に、作中作の詩・日記・手紙等が、畳み込む様に登場するのです。

これらの作品は本当に作中の人物が実際に書いたかのようで、

事実、作者も「何かに執りつかれていたようだった。」と語っています。

中でも圧巻なのは作中人物、クリスタベル・ラモット作『妖女メジュリーヌ』。

この作品だけでも一冊の本になり得る素晴らしさです。

手紙一つとっても、流石過去の有名な詩人が書いた、

という設定だけあって古風な美しい文体で、まさに美しい言葉の洪水

読みながら本当に溺れてしまいそうでした。

 

アッシュとクリスタベルが辿った同じ道のりを、

ローランドとモードが旅するシーンは本当に美しい。。

神秘的な大自然の超常現象にも似た美しい光の効果を見事に表現し、

その場所に行かなければ分からなかった様々な事実を、

アッシュとクリスタベルが書いた詩や物語を通して確認していくシーンなんて

ゾクゾクするほど素晴らしいです。

 

「何に見とれているの?」

「光ですよ。炎。あの光の生み出す効果を見てください。

ほら、洞窟の天井全体がまばゆく輝いているでしょう」

「クリスタベルはこれを見たのよ。間違いないわ、絶対に。

『メジュリーヌ』の書き出しを読んでみて」―――

 

考古学者の、過去の遺跡にとり付かれてのめり込んでしまう気持ちが

なんとなく分かる気がします。

とにかく二人の交わす会話が実に哲学的なのですね。。

 

「わかるわ、あなたの言ってることは。いや、わかり合える、

なんてことではなく、もっとはるかに強烈な一致と言うか―――

あなたとまったく同じことを、わたし自身も考えるのです、一人でいるときに。

何もなければ、どんなにいいだろう、

何にも欲望を持たないというのは、どんなにすばらしいことだろうと。―――」

「これは消耗しきった学者や批評家に共通の症状なのかしらね。

あるいは、わたしたちだけに共通の」

「妙ですね――ほんとうに不思議ですよ――ぼくたちがこうした目的で

ここへ来、ここへ座り――同一のイメージを発見するなんて――

お互いの中に」

 

二人の間にある種の同志愛が生まれつつある・・・事を予感させる会話ですね。

そしてローランドに請われ、常に髪を覆っていたモードがスカーフを取り、

髪を開放するシーン。。

 

―――ローランドは光が髪に殺到し、髪の上できらめくのを――

渦巻く光の広がりを眺めていた。その中で、動く黄金の線と化した海が

波打っているのをモードは見た。―――

「すごく、いい感じですよ」

モードは髪を横に払い、かすかに顔を赤らめながら、ローランドを見つめた。

「たしかにそうね。すごくいい感じだわ」

う~ん。。いいわぁ。。

 

でも実は、どれほど素敵なシーンの連続であろうと、

途中まではあまり好きじゃないな~なんて思いながら読んでいたのです。

どんなに美しく描写していても、結局不倫じゃない、って気持ちで。。

私は比較的鷹揚な性格だと思っていますが・・・

これだけはどうしても譲れない!許せない!というポリシーのようなものがあり、

その一つが不倫の恋です。

不倫の恋が成就する、美化されている、等の作品はほとんど好きになれません。

ブッカー賞受賞作品といえど、買ってまで読む価値があっただろうか・・・?

なんていう疑問を抱きつつ、言葉の洪水にアップアップしつつラスト近くに至った時、

初めて明かされた衝撃の真実で、それまでの疑念が一気に解消され

あ~。。そういう事だったのか。凄いな、血は濃いな、う~ん。。

・・・って感じでとても感動的でした。

少々息切れしつつ・・・でもがんばって最後まで読んで良かったな~と

心から思えた作品です。

 

素材提供:Pari’s Wind


『九月に』

2005-10-12 23:49:48 | 作家は行

 ロザムンド・ピルチャーです。

 

ロザムンド・ピルチャー。。

日本ではあまり知名度は高くありませんが、英国では非常に愛されてますね。

全体的にふんわりと柔らかい雰囲気や、美しい大自然の描写、

そこに住む人々の日常生活等、とても親しみやすい文章で綴られ

ゆったりとした時間の流れに身を任せて、その世界に浸りきれる作品群。

う~ん。。ピルチャーの世界にいる時は、まさに至福の時間ですねぇ。。

ホント、大好きな作家さんです

 

舞台はスコットランドのハイランド地方。

スコットランドの九月は、社交と団欒の季節だそうです。

この物語は、五月から始まり、クライマックスの九月に向けて、

パーティーに関わる人々の、それぞれの日常生活や人間模様を

克明に描き切った感動長編小説なのです。

 

冒頭、ヴィリーナ・スタイントンが、娘のケイテイーの21歳の誕生祝いの為、

九月にダンス・パーティーを開きたいと、ヴァイオレット・エアドに相談する

シーンからスタートします。

それにしても招待される人の数のなんと多いこと多いこと。

スタイントン家、バルメリノー家、エアド家、それぞれの使用人の人々・・・

沢山の登場人物がいるうえ、ヴィリーナ、ヴァイオレット、ヴァージニアなんて

似たような名前の連打しかも断片的に一人一人の日常が語られるので、

全体像がよく分からなくて、正直最初は辛かったです。。

でも後半になって、徐々に全貌が明らかになるにつれ、

否応無しに物語に惹き込まれ、ラストまで一気に読ませるこの筆力

いつもながらロザムンドおばさんの見事な構成には脱帽なのです。

 

この物語の主人公・・・といって過言でないと思われるヴァイオレットは

人情味豊かで人徳のある、皆から慕われている老婦人です。

このヴァイオレットを中心に、個々の悩みや人間模様が克明に綴られていきます。

 

ヴァイオレットの息子のエドマンドと彼の若い妻のヴァージニアが

二人の息子ヘンリーの教育を巡って対立。深刻な危機を迎えています。

そして、ヴァイオレットの元恋人コンラッド・タッカーの登場により

事態は更に悪化。。

また、エドマンドの先妻の娘アレクサは、

ボーイフレンドの影も無いような非社交的な生活から一変

『シェルシーカーズ』では未熟な青年だったノエルがここで再登場・・・

ノエルとアレクサは同棲を始めるのです。

 

いくつもの恋愛が複雑に絡み合い、事態は徐々に深刻に・・・。

この崩壊の危機に直面した一族を救うのに大きな役割を果たした一人は

一番の問題児だったパンドラです。

かつて、妻のある男性と駆け落ち同然に家を飛び出して以来、

一度も故郷に帰らなかったパンドラ。彼女の役割は大きいですね。。

家庭を持つ事に中々決心がつかないノエルに語った言葉。

 

「人生ってね、たったいっぺんだけなのよ、ノエル。

もう一度機会が与えられるなんてことはないわ。

本当にいいものが指のあいだからすり抜けてしまったら、

もうそれっきりなのよ。―――」

 

この後に続くノエルの心理描写のなんと素晴らしいこと。。

『シェルシーカーズ』の未熟だったノエルを知ったうえで、

このシーンを読んだら、その感動はひとしおです。

 

ノエルの脳裏に蘇る、今は亡き偉大な母ペネラピの言葉・・・

「幸福ってね、自分が現在もっているものを最大限に役立てることだし、

豊かさって、もっているものの価値を最大限に引き出すことじゃないかしら。」

 

そしてノエルの、自分の人生に大きく踏み出す決心をする瞬間の言葉・・・

「分かったよ。母さんの意見は聞いた。――」

 

・・・涙無しでは読めませんでした。。

 

沢山の人々が登場しますが、読み進めるうちに、個性豊かな面々は

生き生きと息づいて動き出し、混乱する事はありません。

美しい大自然を背景に、家族の絆を見事に描いたこの作品。

悲しいシーンもありますが、本当に素晴らしいです。

なんと表現したら伝わるのだろう・・・と悩まずにいられないくらい。。

是非一度、ご堪能頂きたいです。。

 

素材提供:Pari’s Wind


『スコットランドの早春』

2005-10-01 12:33:17 | 作家は行

 ロザムンド・ピルチャーです



この方の作品は、どの本もとにかくカバーが美しい。。

おそらく一度手にしたら一生大事にする・・・くらいのファンが

多いからじゃないかと勝手に思ってます

そして、中でもこの作品のカバーは極めて美しいです。

早春のスコットランドの美しい雪を連想させるような白木蓮の花を、

抹茶っぽい緑が引き立たせていて、読む前から中身が想像出来てしまいます。



そして、どの作品も心暖まるふんわりとした作風で、

これも例にもれず・・・というより今まで読んだ、どのピルチャー作品より

ロマンチックで清冽な印象です。

ちょっぴり心が疲れたな、なんて思った時に読んでみると、もしかしたら

「もうちょっとがんばってみようかな・・・」なんて思えるかも。。



結婚式を目前にひかえたキャロラインは、幼い弟の願いをかなえるために、

長いこと音信が途絶えていた兄のいるスコットランドへと旅立ちます。

吹雪の中で遭難しかけた時に辿り着いた家で、予期せぬ病気に

倒れたキャロラインは、手厚い看病をされ、暖かいもてなしを受けるうち、

いつしか自分の結婚に疑問を抱くのです。

 

この作品を読むのに難しい理屈は全く必要ありません。

遭難したキャロラインとジョディーの姉弟を手厚く看病し、暖かく

もてなしてくれたオリヴァやミセス・クーパーの素朴な優しさに心打たれ、

美しい大自然の描写―――

 湖面は空を映して青く、静かに澄みわたり、まるで夏の日の

それのようだった。葦に縁取られた向こう岸のかなたにヒースに覆われた

荒野の斜面がうねうねと起伏していた。その頂に露岩が山の上の

望楼のようにそそり立っていた。―――にうっとりする・・・。

 

微妙な心の機微を繊細に描写し、静かな流れの中にもドラマは展開されます。

ラストには弟ジョディーの大活躍が・・・ 

早春のスコットランドの清々しい風景と家族の絆がとても美しい作品です。

 

素材提供:Pari’s Wind


女性検事補アレックス・シリーズ

2005-09-28 15:42:43 | 作家は行

 リンダ・フェアスタインです。

 

『誤殺』『絶叫』『冷笑』『妄執』の四冊読みました。

第一作目の『誤殺』が一番良かったです。

この本を読んで、P・コーンウェルにとても似てるな、と思いましたが

もう少し洗練されてる・・・というか明るい印象でした。


正直言って段々面白くなくなってきて・・・最近は全くのご無沙汰・・・。

シリーズ一作目の本書だけはとても新鮮で面白かったので、

今も一応気にしてはいますけど。。



主人公は,ニューヨーク検察局の性犯罪課の女性課長アレックス・クーパーです。

美人で独身でやり手のキャリア・ウーマン

しかもボストンから近いヴィニヤード島という景観な場所に別荘を持っていて

ちょっとした息抜きや週末にフラッと出かけ、恋人や友達と静かに過ごす、

なんていう、なんとも贅沢な暮らしぶり。。



この別荘を友人のハリウッド女優に貸したのですが、

この女優が別荘に続く道で、ライフルで撃たれて殺されてしまいます。

体つきが似ていた事から、自分と誤って殺されたのかもしれないと衝撃を受け、

ニューヨーク市警の警官で、友人でもあるマークに護衛についてもらい、

捜査を開始します。



女性検事補としての充実した仕事ぶりや警察との親密な関係等

細やかに描写していて、その道のプロの活躍する作品がお好きな方なら

きっと楽しめます。

早朝から深夜まで仕事に熱中し、事件の現場に飛び込み、

刑事達ときわどいやり取りをし、厳しい仕事を見事にこなす様は

読んでいて、とても気持ち良かったです。

検事局に出勤途中、必ず寄る屋台(?)の珈琲。。

う~ん。。そそられます


この作品に限らず、毎回ヒロイン・アレックスは危険な目に合いますが

必ず素敵な刑事達が助けに駆けつけてくれるところなんて

なんとなく胸キュン状態だったりして・・・

でも恋人は別にいるのですよね。

この辺の描き方に関して第一作ではあまり気にならなかったけど

シリーズが進むにつれて、なんとなくアレックスの態度が

鼻に付いてきたことは否めませんでした。

 

それはともかく、第一作目の事件が無事解決した後の、

ヒロインを取り巻く仲間達の演出してくれたパーティが最高に素敵でした


『秘密の花園』

2005-09-14 22:05:53 | 作家は行

 フランシス・エリザ・ホジスン・バーネットです。

 

『小公子』『小公女』の方が知名度は高いようですが、

自然の持つ素晴らしさを繊細に美しく描写したこの作品は、

甲乙付けがたいくらい素敵なお話です。

 

両親を亡くし、ヨークシャーの伯父にひきとられた少女メアリー。

やせっぽちで顔色の悪かった彼女が温かい人々、輝く太陽、

澄んだ空気に触れるうち、バラ色の頬をした快活な少女に

生まれ変わっていきます。

荒地の「魔法」はさらに、病弱で寝たきりだったいとこのコリンにも

勇気と生きる力を与えます。

彼女が秘密の花園の扉を開く時、閉ざされた心の扉も

同時に開かれていくのでした。

 

この作品の主人公はやはり「花園」でしょうね。。

胸の赤いかわいい駒鳥に導かれ、初めてメアリーの前にその姿を表した時は、

とても気持ちの良い不思議な感じのする場所ではありましたが、

枯れ草も多く、荒廃として寂しげでした。

そう。。

まるで、やせっぽちで心の寂しいメアリーの姿をそのまま映したかのようです。

 

ところがこの花園に毎日のように通いつめ、枯れ草を取り払い、新しい種を蒔き、

大切な友達と共に沢山笑い、歌い、心を通わせていくうち

誰からも見捨てられていたかのようだった花園が、

見違えるように美しく生まれ変わります。

同時進行で、メアリーも美しく生まれ変わるのです。

 

このメアリーの大切な友達、自然児ディコンは大好きなキャラです

とゆーか、彼を嫌いになれる人なんているのでしょうか・・・。

本当に素直な心で読んで「嫌い」と言える人はとても心が寂しい人です。

あえて断言しちゃいます・・・

 

ディコンのお供は沢山の野生の動物達・・・

烏の黒助に二匹のリスの栗坊とから坊、狐の隊長。。

ディコンは言います。

「こんなに、花があったり、仲のいい鳥やけものがたくさんかけずりまわって

自分たちのうちをこしらえたり、巣を作ったり、歌ったりさえずったりしてる

時にゃあ、だれだって、つむじまがりなんかになることはねえようだね」

 

こんな素敵なディコンにかかっては、さしものつむじまがりメアリー嬢も

「あたし、あんたが好きよ」って事になっちゃいますよね~。。

そしてもう一人のつむじまがりコリン少年もまた、メアリーと同じ魔法にかかって

立派な青年に生まれ変わるのです。

 

コリン。。自分は病気で早く死ぬんだ、と本気で思い込み、

一日中カーテンを引いた薄暗い部屋の中のベットで過ごす少年。。

この少年の住むお屋敷は本当に豪華です。

雨の多い事で有名なイングランドは、続くときは本当にずっと雨だそうですね。

そんな雨の日にメアリーが屋敷の中を探検して迷子になってしまうくらい

広い広いお屋敷なのです・・・ 

「コリン、あなたはこのうちにいくつ部屋があるか知ってる?」

「だいたい千ぐらいだろうね」

 

このコリン少年が車椅子に乗って、初めて花園の中へ導かれた時の描写は

本当に素晴らしい。。

―――塀や、地面や、木や、ゆれている小枝や、つるなどの上には、

やわらかくて小さい葉の、きれいな緑色のヴェールがかぶさっていた。

そして、木の下の草や、あずまやの中の植木鉢や、それこそ、

どこにもここにも、金色や紫や白が、けさでさっとはいたように点々と

ちらばっていた。頭の上の木には、ピンク色や雪のように白い花がみえ、

鳥のはばたきの音や、かすかな気持のいい笛のようななき声や、

ぶんぶんいう音などがきこえ、それにいろいろな匂いが鼻をついた。

そして日光は、やさしい手ざわりで、彼の顔にあたたかくあたった。―――

 

「僕、よくなるんだ。病気がなおるんだよ。メアリー!ディコン!

僕は、丈夫になって、いつまでも――ほんとにいつまでも長生きするよ!」

 

薔薇の花を中心に、色とりどりの花々がまるで競い合うように

咲き乱れる美しい花園。

その「秘密の花園」を舞台に、美しい友情、家族の絆、素敵な魔法等

何度読み返しても心が暖まり、思わず涙が込み上げてしまう・・・。

ラストシーンの感動。。

う~ん。。いいわぁ・・・

 

素材提供:AICHAN WEB


アーネスト・ヘミングウェイ

2005-08-22 15:58:01 | 作家は行

1899年シカゴ生まれ。第一次世界大戦も経験してます。

1961年、猟銃自殺。波乱に富んだ人生ですね。



代表作は『日はまた昇る』『武器よさらば』『老人と海』

『誰がために鐘は鳴る』あたりかな。

ノーベル文学賞も受賞している偉大な作家です。




個人的には『武器よさらば』が好きですね~。。

フレデリック青年とキャサリン看護婦の悲劇的な愛の物語・・・です。

戦争の描写は、経験しただけあってリアルで大胆です。

二人がスイスへ向けて、小船を漕いで湖を渡る命がけの逃亡シーン・・・

凄かったです~><。

そして更に二人を待っていた過酷な運命・・・。

 

う~ん。。

ヘミングウェイはハードボイルドの先駆者と言っても過言じゃない作家ですよね。

今、世界中が不穏な空気に包まれていますが、こういう本を読むと、

戦争の悲惨さ、恐ろしさを知らない世代の私達は、

あまりにも平和ぼけしてるな、なんて事も考えさせられます。


『ブルボンの封印』

2005-08-18 11:59:27 | 作家は行

 藤本ひとみです。

 

この人の文章は・・・超個性的ですね~。。

好きな人は、おそらく最初の数ページ読んだだけで、

著者の名前を見なくても「藤本さんだ!」って分かると思われるくらい

特徴ある文章です。



この作品は、フランス王室の歴史の中でもとりわけ謎に満ちた

「鉄仮面伝説」を題材にしています。

「鉄仮面伝説」・・・様々な憶測が飛び交い、未だ真実は闇の中・・・。

フランス王ルイ14世が実は双子で、王位継承権争いを恐れた政府の陰謀により、

双子の片割れが鉄の仮面で顔を覆われ、

バスティーユに幽閉されたまま一生を終えてしまった・・・という伝説を

藤本流に解釈した作品なのですが

独特の文体、大胆な発想、その時代の背景を正確に把握したうえでの

絢爛豪華な描写がとても素晴らしく、映像が浮かんでくるようです。



有名な実在人物達・・・ルイ14世、マザラン首相、コルべール、フーケ、

ダルタニャン等、まるでフランス絵巻のような背景に

ヒロイン、マリエールと義理の妹、マノンの生き様が絶妙に絡み合う・・・。

「三銃士」あたりの時代がお好きな方なら堪えられない豪華な面々ですね^^

 

貧しい家庭に育った対照的な姉妹、マノンとマリエール。

マリエールはこの作品のヒロインで、とても清純で強い女性です。

でもマリエールに異常なまでに嫉妬するマノンの方がかなり強烈な存在で

激しい情熱、切ないまでに好きな人を思う気持ちは形は異常でも、

とても健気に感じて、なぜか憎めませんでした。

正直言って、マリエールはちょっと綺麗過ぎって気がしないでもなかったな。。

 

ジェームスを追ってパリに赴いたマリエールは、

ひょんな偶然から死にかけていたルイの命を助けます。

そしてアドリアン・モーリス、フランソア・ミッシェル等と関わり合い、

宮廷での生活が始まるのです。

 

このアドリアン・モーリスの魅力的なこと。。

私にとって主役のジェームズより強烈なキャラでした。

わけあって黒い服しか着ないのですが、艶やかな黒髪、

真っ白い陶器のような肌、赤い唇、冷ややかな視線。。

う~ん。。しびれちゃいます・・・。

 

とにかく一人一人の登場人物がことごとく美男美女!

そしてそれぞれ個性豊かで一癖も二癖もあり、油断ならないのです。

スピーディな展開、輝くばかりの力強い筆力により

ぐいぐい物語に惹き込まれ、上下二巻もあっという間です。

 

ラストのどんでん返しはかなり衝撃的。

大胆な解釈で・・・でも結構本当かも、なんて思ったりもしつつ・・・

何かと謎の多いフランス王朝・・・。

歴史に詳しい方も、読めば納得の一冊・・・お勧めです。

 

素材提供:Flower mau


チャーリー・マフィン・シリーズ

2005-08-17 14:11:26 | 作家は行

 ブライアン・フリーマントルです。



スパイ小説なんですが、有名な『007』からイメージするスパイ物とは

少々趣きが違います。

それ程かっこよくないです・・・が!別の意味でかっこいいです。。

そんなシリーズ第一作『消されかけた男』は強烈でした。



英国情報部に勤務するベテラン情報部員チャーリー・マフィンですが、

尊敬していた上司ウィロビー卿の更迭により、

新しい上司カスパートスン卿と共に情報部内が全く違う色合いになってしまい、

エリート集団の中にあって居場所を無くしていきます。



熟練したチャーリーの目から見ると、ど素人集団の情報部ですが、

スパイといえど、結局は哀しきサラリーマン。。

情報部で生き抜く為には戦わなければならないのです。



冒頭の、ベルリンからの脱出は「え~!?そ、それはないでしょ~??」

って思ってしまうようなやり方で、自らの命を救うチャーリー。

でも読み進めるうち、生き抜く為にはそうする以外無かったのかな、

とも思ったりして・・・

ただ・・・こういったシーンがスパイ物を

心から好きになれない理由にもなってるのですよね。。



それはともかく、ことごとく失敗するカスバートスン卿に頭を下げさせて

現場に復帰するあたりは流石!かっこいいです。

奥さんと愛人と、両手に花?のように見せかけつつ、そこにもしっかり作戦が・・・^^;



とにかく一筋縄ではいかないチャーリー・マフィンに脱帽する以外なしの作品でした。

二作品しか読んでませんけど。。

 

素材提供:Flower mau


ヘルマン・ヘッセ

2005-08-08 12:24:57 | 作家は行

ドイツが生んだロマン派の詩人・・・最もメジャーな作品は『車輪の下』ですかね。

でも私が一番印象的な作品をあげるとしたら『デミアン』です。



ヘッセ。。

自費出版に近い形で売り出した処女作『ロマン的な詩』は

一年の間にたった50数冊しか売れなかったそうです。

でも文筆家としてコツコツ書評を書くうち、次第に世の中で認可されるようになり

大手出版社からの執筆依頼により書いた長編小説

『郷愁』がベストセラーになるのです。



第一次世界大戦が勃発した1914年、

心はドイツ国民としてドイツを支持してはいても、

本来文化を護るべき立場の者達が敵国憎悪を扇動する風潮に対し、

批判的な作品を発表した事で、かえって返り血を浴びてしまいます。

それでも少数の支持してくれる仲間達の理解と協力の元、

ドイツ人捕虜慰問の為に活動したヘッセは凄い方ですね。

ただ、その事で心身ともに病んでしまいますが。。

 


やがて敗戦後のある日、エーミール・シンクレアという匿名で

発表した作品が『デミアン』なのです。

主人公シンクレアが、デミアンという友人と出会い、

真の自己を見出すべく画策し、追求する青春期の成長物語、

ともいうべき作品です。

ヘッセの辿った道のりを認識しつつこの本を読み返すと、

戦争を通して味わった苦悩、孤独、反抗、といった心情が

余すところ無く表現されているような気がします。



でも・・・初めて読んだ時、随所でデミアン君の不思議な行動、言動に

少々(かなり)戸惑い、ドキドキしちゃたのは私だけでしょうか・・・?


アレクサンドル・プーシキン

2005-08-08 11:36:21 | 作家は行

1799年~1837年・・・享年38・・・なんと決闘で敗れて死んでいるのですね。

ロシアで生まれ、おそらく本国で最も愛されている詩人です。

 


真っ先に浮かぶ作品といえば『スペードの女王』『大尉の娘』あたりですね。

特に『スペードの女王』はチャイコフスキー作曲でオペラにもなってるので

かなり有名です。

確か宝塚でも上演されましたね。



『スペードの女王』・・・賭博で身を滅ぼす青年士官ゲルマンの悲劇的な物語です。

カード賭博で、絶対に負けない三枚のカードの秘密を握る伯爵夫人の存在を知り、

欲望に目が眩んだゲルマンは、この老婆を脅して秘密を聞きだそうとしますが・・・。



当時の優雅な社交界の雰囲気や独特の会話等も楽しめますが、

なんといっても最後、勝負の札をめくるシーンは・・・

今思い出してもゾ~っとしちゃいます。。


オー・ヘンリー

2005-08-08 11:19:11 | 作家は行

 アメリカが誇る短編作家ですね。。


獄中で執筆した作品も多々ある、という事でも有名です。

200編以上の素晴らしい作品を残してくれました。

『最後の一葉』『賢者の贈り物』なんかはも~説明の要もありませんね。



特に『最後の一葉』はあまりにも美しくて切なくて。

何度読み返しても泣けてしまいます。。



肺炎に侵された少女ジョアンナ。

「彼女に必要なのは、治療よりもむしろ生きようとする意志なのだ。」

という医者の見解に対し

窓の外の大木を見つめつつ、あの最後の葉っぱが落ちたら自分は死ぬと、

どこまでも否定的なジョアンナ。。



そして同じアパートに住む一人の老人。

いつか自分は名作を描くのだ、と公言してはばからない偏屈な絵描きです。

ジョアンナの絶望に打ちひしがれている状態をスーが老人に打ち明けても

我関せずのそっけないそぶり。

ところが・・・!!



あ~。。この作品は短い中になんと美しい感動が詰まっているのでしょう!

この作品を読む時はハンカチとティッシュは必需品です。