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子どもの本の会

子どもたちにはありったけのお話をきかせよう。やがて、どんな運命もドッヂボールのように受け止められるように。(茨木のり子)

★2012年度★2学期末のおはなし会-5年生-

2012年12月20日 | 日記
お届けしたお話は,以下の3作品。

①『1つぶのおこめ-さんすうのむかしばなし-』デミ(作)/光村教育図書
②『めがねやとどろぼう』桂 文我(作),東 菜奈 (絵) /童心社
③『ピーボディ先生のりんご』マドンナ(文),ローレン・ロング(絵),村山由佳(訳)/集英社


『1つぶのおこめ-さんすうのむかしばなし-』

【ストーリー】
強欲な王様が、村人の年貢米を一人占め。
飢饉が来ても、村人には配給してくれません。

ある日、村娘ラーニが、蔵から運び出したときに落ちたお米を、王様に届けました。
「なんでもほうびをとらせるぞ!」と、王様。
娘は、「それでは、お米をひと粒下さい」と言いだします。

今日は、1つぶ。
明日は、その倍の2つぶ。
あさっては、その2倍の4つぶ。
その次の日は、8つぶ…
というふうに、お米をもらいに行くことに。

さて、そうして、続けていくと、30日目には…



2の30乗ですよね。ふふふ

大きな数を習ったあとの中・高学年向けの絵本ではありますが、増えていくお米を分かりやすくダイナミックにイラストで見せてくれますので、大きな数がわからなくても、量的にだいたいのお米の数をとらえられますから、低学年でも大丈夫。

巻末には、実際、最終的に何粒になったのか、数字でも表記してあります。


どんどん米粒が多くなっていくごとに,子どもたちの「うへぇ~」という声が。
ちょうど,総合学習でお米を収穫し調理した後ということで,とてもタイムリーなお話となりました。

『めがねやとどろぼう』


【ストーリー】
新米のどろぼうと親方。
どこの家に泥棒に入ろうかと相談中。

この街で一番金持ちなのは?との親方の問いかけに,新米泥棒は,トンチンカンな答えばかり。
ようやく,めがね屋に泥棒に入ることに。

ところが,このめがね屋の丁稚の小僧は,泥棒たちのこそこそ話を聞いていて,メガネ屋の品物を上手く利用して,トンチを働かせ,泥棒を負かしてしまいます。



上方落語を楽しい紙芝居でお届けしました。
流暢な関西弁(読み手は関東出身)に,子どもたちが要所要所でウケてくれました。
期待通りのリアクションに,安心しました。
ときどき,笑いのつぼに若干の世代のズレがあったりします。それがまた新鮮な驚きでもありますが


『ピーボディ先生のりんご』


【ストーリー】
地元のリトルリーグのコーチ、ピーボディ先生は、小学校の歴史の先生。
子供たちの信頼も厚い。ところが、ある土曜日、尊敬するピーボディ先生が、
通りの八百屋のリンゴをお金も払わず、カバンに入れているところを、
教え子のトミーが目撃。そのことを友達に話します。
 
次の土曜日、八百屋を見張っていた子供たち。その目の前で、先生がリンゴを
また店のヒトに黙って、失敬しているのを目撃しました。
噂は親たち、近所中、町中に広がります。

いつしか、リトルリーグの練習には誰も来なくなりました。
ひとりビリー少年が現れ「みんなあなたのことを泥棒と思っているんだ」と話します。

先生は、ビリーを八百屋に連れていきます。
そこで、八百屋のご主人から聞かされた真相は…。

その後、ピーボディ先生は、野球場に羽毛の枕を持ってきて、ハサミでその枕を切るように言います。枕から出た何千枚もの羽毛が、風に流され待っていきます。

先生は言います。
「あの羽毛を全部拾っておいで。あの羽根の一枚一枚がこの町の人々だ。君の流した噂はもうなしにすることはできないんだよ」
そして、
「そんなにあわてて人を判断してはいけないこと、そして、自分の口から出る言葉に宿る、ものすごく大きな力のことを考えてくれ」と。


 あとがきに、マドンナは【すべての先生に捧ぐ】として、
「言葉の持つ力と、そして、他人を傷つけることのないよう注意深く言葉を選ぶにはどうすればよいか、が主題です」と記しています。

先生だけではありません、子供と接する大人みんなが、自分から発せられる言葉の力について、考え直さなければならない…と思います。


聖書にもあります。私の大好きな一節。
「悪い言葉をいっさい口にしてはいけません。ただ,聞く人に恵みが与えられるように,その人を造り上げるのに役立つ言葉を,必要に応じて語りなさい」

(「エフェソの信徒への手紙」4章29節)

聖書にも,育児のヒントがたくさん記されています。


以上,今回のおはなし会,さすが5年生ということもあって,みんな集中してよく聞いてくれました。
来学期も楽しいお話をお届けしたいと思います。

よいクリスマスと新年をお迎えください