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自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

介護報酬改定(3%増)で介護従事者の給与8~9千円増 目標の半分に届かず

2010年01月26日 09時40分50秒 | 高齢者医療・介護
厚生労働省は、社会保障審議会介護給付費分科会調査実施委員会を開催、2009年4月の介護報酬改定(3%増)の後に、介護従事者の給与が8~9千円増加した(速報値)と報告した。舛添大臣(当時)は、「増額分がすべて処遇改善に回れば給与は2万円アップする」と期待を込めて説明していたが、その半分に届いていないことが明らかになった。

介護職員賃上げ月9千円どまり 目標の半額に届かず
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/politics/CO2010012501000608.html

介護報酬改定後、月9千円賃金アップ―厚労省が速報値
http://news.goo.ne.jp/article/cabrain/life/cabrain-26034.html

介護従事者の処遇の調査方法で議論―給付費分科会調査実施委
http://news.goo.ne.jp/article/cabrain/life/cabrain-26053.html

調査は、2009年10月1日時点で、全国の7141の施設を対象に実施。回答があったのは、5034施設。従事者の数は、4万2311人。
平均給与(1ヶ月分のボーナスを含む)は23万1366円。1年前が22万2308円なので、9058円の増。ここには、定期昇給分を含むとのこと。しかも、他の業界との給与水準の差は依然として大きく、まだまだ介護従事者の給与水準は低い。
職種別でみると、生活相談員・支援相談員が1万2291円増の29万6349円、看護職員が8393円増の30万6511円。施設別でみると、特別養護老人ホームが1万2052円の増加の28万1800円、訪問介護事業所が5868円の増加の13万9473円となっている。しかも、大手と零細では、職員の給与にまわせる「原資」の大きさが違うので、事業所の規模別に違いがあるかをみるなど、詳細な分析の結果が待たれる。

また、給与の引き上げ状況をきいたところ、「定期昇給を実施」が43.7%、「介護報酬改定を踏まえて引き上げ」が23.4%、「介護報酬改定に関わらず引き上げ」が21.0%。「給与などの引き上げを行っておらず、今後も引き上げ予定なし」は13.1%となった。舛添大臣(当時)の期待どおりとはいかずに、赤字解消などの経営改善に回った分も多かったことが明らかになった。

なお、日本介護クラフトユニオンの調査結果では、6475円の増に留まっている。手取りで介護報酬のプラス改定を実感できている職員は、もっと少ないと思われる。現在、「福祉・介護の仕事」は、「きつい」「給料が安い」「結婚できない」などと「K」がいくつ並ぶのかといわれるほど、イメージが悪くなっている。結婚するにあたって、いかに福祉・介護の仕事が好きで続けたくても、経済的な理由から「寿退職」しなければならない現状があるのも事実。しかし、このような偏向した報道の影響もあってか、福祉・介護職に就きたいという学生の減少が続いている。多くの専門学校や一部の大学では定員割れとなっており、高校に説明にいっても、関心をもってきいてくれる学生は少ない。福祉・介護系の大学に進学したいと言うと(大学・大学院で学んでから就く仕事としては、待遇が悪すぎるなどと)教師や親が反対にまわることもある、とのこと。

2012年の介護報酬改定では、さらに大胆な見直しが必要となるだろう。

社会保障審議会介護給付費分科会
調査実施委員会(第3回)議事次第
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/01/s0125-6.html