制度改正Watch

自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

新年金制度に関する検討会、初会合が開催される

2010年03月08日 23時24分24秒 | ベーシックインカム
このブログで取り上げた年金制度改革を議論する関係閣僚会議が8日に開催された。
今日は、後期高齢者医療制度の廃止に向けた第4回高齢者医療制度改革会議も開催されたため、情報の整理が追いつかない。国会対応と2つの会議に追われたためか、情報の事前リークも少なくネタ切れの感があった先週とはうってかわっての忙しさである。

年金制度改革を議論する会議の名称は、「新年金制度に関する検討会」。座長は、鳩山首相で、メンバーは、菅副総理・財務大臣、仙石国家戦略大臣、長妻厚生労働大臣を中心に、平野官房長官、原口総務大臣、川端文部科学大臣、枝野行政刷新担当大臣。事務局長は、古川国家戦略室長(内閣府副大臣)となっている。

新年金制度の基本的な考え方は、民主党がマニフェストに掲げたもので、現行の厚生・国民・共済の各年金制度を一元化し、消費税を財源とする最低保障年金を創設するというもの。今後は、検討会と並行して、古川事務局長を中心に、学識経験者や関係省庁を中心メンバーとする実務者レベルの検討を進める。2013年度の関係法案を目指すとしている。

朝日新聞と読売新聞が、現行の年金制度と民主党案の違いをイメージ図を使って説明している。現行制度は、月額6.6万円の国民年金(基礎年金)があり、その上に所得=保険料に応じて支払われる厚生年金が積み重ねられているイメージ。国民年金の財源は保険料(そのうち、半分は公費=税金)で、保険料を納めていないと、その分だけ減額される。保険料を納めていなければ、支給される額は0円(無年金)になる。対する民主党案は、消費税を財源とする最低保障年金が7万円あり、年齢に到達すれば無条件で支給される。厚生年金分は、保険料を財源とする所得比例年金に置き換えられる。なお、所得比例年金が一定額を超えると最低保障年金が減額され、支給額のカーブはなだらかになる。国民全員に7万円の支給額が保障される低所得者層に手厚い=優しい制度のイメージである。

年金新制度、5月めどに基本原則 参院選にらみ検討会
http://www.asahi.com/politics/update/0308/TKY201003080145.html

「最低保障年金」を柱、参院選向け新制度議論
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100308-567-OYT1T01208.html

5月までに新年金制度の大原則…検討会が初会合
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100308-567-OYT1T00423.html

このブログでも取り上げた「基本原則」については、長妻大臣から「無理なく払え、転職しても変わらず、最低限の受給を保障する」の3原則が提示されている。この3原則をベースに5月を目処に基本原則が打ち出される。なお、6月には、財政収支の見通しを示す「中期財政フレーム」の策定が予定されている。並行して進められている新年金制度に必要となる税と社会保障の共通番号制度の議論、消費税の見直しの議論なども基本的な考え方が出揃うことになる。
参議院選挙の前に、国民の負担が増えたり、財政規律が失われているようにみえたりする案を提示できないのではないかと考えつつも、これらの議論をしっかりすることが国民の安心や制度への信頼につながるとも考えられる。世論調査を見つつ、どこまで出してよいかを見定めてくることになるだろう。

新年金制度の議論スタート=5月に基本方針提示へ-政府
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100308X541.html

消費税めぐり意見分かれる 年金改革で与野党
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010030801000728.html


2 コメント

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民主党案よりもシンプルな方が良い (正己)
2010-03-09 19:14:58
民主党案は低所得者(保険料低納付者)に優しいだけでなく、高額所得者(保険料高納付者)にも優しいですね。傾きが一緒。損をするのは傾きがなだらかな所の人たち。何で高額所得者の傾きを再び急にするのでしょうね。なだらかなままなら財源問題だって楽になるのに。
私は保険料無納付者の所から一定の傾きにすべきだと思っています。数学の式で書けば
(年金受給額)=(最低保障年金)+[比例係数]×(保険料納付額)
の方が良いと思っています。
なぜ、そうしないのか、不思議です。
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おっしゃるとおり! (e-wel&gov)
2010-03-09 20:22:00
グラフからは読み取れませんが、なだらかになっているところが中間所得者層で、国民の多くはここに入るのでしょう(つまり損をする)。
その一方で、国会議員の多くは、再び急なカーブに入った後の層... このような案のままだと、国民の理解は得られないと思いますが、今のマスコミは頼りないので、気づかないかもしれません。
やはり、最初は小さいかもしれませんが「ちょっとおかしいんじゃないの?」という声を上げていく必要がありますね。
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