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消費税率の引き上げを含む議論、3月から開始か

2010年02月18日 09時42分45秒 | ベーシックインカム
菅副総理・財務大臣が、14日の記者会見および15日の衆院予算委員会で、「法人税、消費税、環境税などの税制全般の議論を本格的に始める」と述べ、2010年度予算案の衆議院通過後に議論を始めること、消費税率の引き上げなどの大きな税制改革となる場合には「国民に信を問う」と衆議院選挙の争点とすることを明らかにした。

菅財務相「消費税含めた税制議論、3月に開始」
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/business/20100214-567-OYT1T00753.html

消費税上げ「国民に信を問う」=予算の衆院通過後に議論-菅財務相
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-100215X813.html

このブログで何度か取り上げているが、税と社会保障の共通番号制度は、消費税率の引き上げと同時に実施することになると思われる低所得者層への給付に必要な仕組みである。この議論を先行させていることからも、周到な準備の上での発言と思われる。

消費税率4年間は上げず 首相、重ねて強調
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/politics/CO2010021501000501.html

在任中の消費税上げ、重ねて否定=議論は容認-鳩山首相
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100215X851.html

並行して鳩山首相からは、4年間の在任期間中には消費税率を引き上げないこと、これから伸び続ける社会保障費を賄うために財政論は避けて通れず、いずれは消費税率の引き上げと低所得者への給付(所得の再分配)に踏み込まざるを得ないこと、そのための議論をすることは大いに結構、との意見が出されている。菅副総理・大臣の発言を打ち消すものではなく、どちらかといえばサポートする発言とも思われる。

消費税論議 菅財務相がやっと腰を上げた
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20100215-567-OYT1T01449.html

上記の記事を、このブログで取り上げてきたことを合わせて読んでいただきたい。このシナリオどおりに進むとすれば、現在の社会保障論の至るところをアップデイトしなければならなくなる(果たして、研究者や教員は世の中の動きについていけるだろうか)。

「3月から税制論議」に閣僚相次ぎ同調
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/business/20100216-567-OYT1T01094.html

消費税、参院選で堂々と議論を=与野党に注文-同友会代表幹事
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-100216X023.html

2013年度の衆議院選挙が近づくと、国民の負担増につながる検討はどうしても腰が引けてしまう。誰もが負担増になることを掲げるのは避けたいと思うものである。もし、民主党のマニフェストに「消費税率の引き上げ」が掲げられ、対する自民党のマニフェストに「消費税率の現状維持」が掲げられていたとすれば、いくら日本の将来を思ったとしても、目先の利益を考えて自民党に票を入れたくもなる。民主党が「これでは選挙に負ける」と思えば、マニフェストに掲げることへの反対論が出て、財政の健全化=税率の引き上げは先延ばしになってしまう(その結果、昨年の某党のようなバラマキばかりになる)。
選挙の争点とするならば、今から国民に対して、国の財政・地方の財政をどうするのかと具体的な数値を用いて問いかけていく必要があるだろう。国民はそれほど馬鹿ではない(バラマキには冷ややかな対応しかしない)。国の財政状況をきちんと説明し、これから先の社会保障費の伸びは避けられないこと、どこかで誰かが負担しないと国として破綻してしまうこと、消費税率の引き上げによって何が解決するのかを論理的に説明することから始めてはいかがだろうか。
おそらく、霞ヶ関の役人は、そのようなことは何度も説明していると反論したくなるだろうが、残念ながら国民には届いていない。国民が、それらを自分たちのことと受けとめ、自分たちや子どもの将来のことをしっかり考え、国全体を巻き込むような議論を巻き起こしていかないと、どうしても負担の重さにばかり目が行ってしまうだろう。