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湯浅誠氏、内閣府参与を辞任の意向

2010年02月20日 10時07分49秒 | ベーシックインカム
昨年10月に内閣府参与に起用された湯浅誠氏が「仕事に一区切りがついた」と辞任の意向を示していることが明らかになった。
朝日新聞によると、17日、湯浅氏から鳩山首相に辞任の意向の申し出があり、了承されたのこと。このことが公になったのは、19日午前の菅副総理・大臣の閣議後の記者会見で。菅氏は、「貧困問題は状況が改善されていない。同じような立場で協力してもらいたい」や「もともと、年内まではやるが、その後のことは白紙にしてほしいと言われていた。継続してほしいと私も首相も話している。近々、最終的な気持ちを確かめたい」などと述べ、慰留する考えを示している。

湯浅氏は引き続き協力を=菅副総理
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100219X587.html

元「年越し派遣村」村長の湯浅氏、辞任意向
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100219-567-OYT1T00563.html

湯浅誠氏、内閣府参与を辞任 「一区切りつけたい」
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/K2010021805270.html

昨日のブログで、「湯浅氏を事務局長に迎え」と書いたばかりなので、この時点で「一区切り」とは、いささか残念。
昨年11月のワンストップサービスの施行後、政府は、生活困窮・貧困者対策と連動させた「自殺対策100日プラン」を発表している。失業者対策ならば、支援を必要とするのは、年末よりもむしろ年度末。「一区切り」というなら、ぜひとも年度末まで頑張っていただきたいと思う。このまま辞任してしまうと、年末年始の「年越し派遣村」に約8億円の国費を使い、その成果を総括せず、反省を活かすことなくいなくなってしまった... と評価を落とすことになりかねない。

自殺対策緊急戦略チーム
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/senryaku/index.html

おそらく、このように思われかねないということをわかったうえでの決断だったと思う。第三者からはわからない苦労が多くあったのだろう(参与とはいえ、自分が思い描いていたことが何ひとつ実現できないとか、実現するためにものすごく大きなエネルギーを必要とするとか)。辞任の気持ちが変わらないなら、後任選びをしっかりしていただきたい。

自分を湯浅氏の立場に置き換えて考えてみると、この仕事の難しさがよくわかる。現実的な「第2のセーフティネット」とはどのようなものか。どこに働きかければ、それを実現できるのか。厚生労働省や地方自治体などがまともに取り合ってくれるのか。おそらく取り付く島もないだろう。
現実的にできることから手をつけていくしかないが、貧困問題の状況を大きく改善するものでないことは最初からわかっている。抜本的な解決を目指すためには、雇用保険を始めとする社会保障全体をどう再構築するかという議論は避けられない。

正直なところ、誰が後任になっても、手に負えない問題だと思う(誰が後任になるのかを楽しみにしつつ、参与はしばらく空席になりそうな気もする)。


2 コメント

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21日のNNNドキュメント (正己)
2010-02-22 17:05:04
昨日21のNNNドキュメントを見ましたか?
http://www.ntv.co.jp/document/
湯浅さんに共感しちゃいました。
民主党政権でも、あれではダメです。
参与でいるよりももやいで活動した方が貧困対策でプラスになると考えたのだろうなぁと思いました。
NHKも追いかけていたようなので、そちらも見るつもりです。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/100228.html
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確かに (e-wel&gov)
2010-02-23 06:37:29
放送内容の以下の文、

失業者・困窮者支援策の青図を描く彼の前に、行政の縦割りや国と自治体との確執など「役所の論理」が立ちはだかる。代々木に出来た「公設派遣村」でも相談体制やケアの不十分さが目についた時、彼はついにキレた。

が事の顛末の全てを表しているといってよいでしょう。
湯浅さんの後任に選ばれた方には、役所の論理=厚い壁を壊していただきたいものです。そうしないと、日本社会全体が抱える問題としての貧困を解決できませんので。
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