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年金制度改革の3原則 今週にも関係閣僚による会議を設置か

2010年03月02日 09時52分02秒 | ベーシックインカム
鳩山首相、仙石大臣、長妻大臣が首相官邸で会談し、今週にも年金制度改革を議論する関係閣僚会議を設置することで一致した。会議のトップは鳩山首相で、事務局長は古川内閣副大臣(国家戦略室長を兼務)。また、会談後の記者会見で次の3原則が明らかになった。

・年金制度の一元化
転職したとしても加入する年金制度が変わらないようにする

・年金制度の持続可能化
若者も無理なく保険料を払える、持続可能な制度とする

・最低保障年金の創設
国民年金を充実させ、月額7万円の最低保障年金制度とする

3原則は、現時点で明らかになったもので、会議開催までに新たな原則が追加になる可能性がある。

なお、これらの実現には、相当に大きな財源が必要となる。「無理なく払える保険料」で「月額7万円の最低保障年金が受給できる」との間には、何らかの「からくり」が必要になる。例えば、保険料は低く抑えられているけれども、消費税や所得税の増税分を合わせると、実質的には保険料が引き上げられているなど。からくり=仕組みがないと、現実的な議論にならない。そのため、関係閣僚会議での議論には、消費税を目的税化して最低保障年金の財源に充てるなどの「財源論」も含まれることになるだろう。
年金制度の一元化には、医療保険者の一元化・地域保険者への再編とは比にならないほどの困難さが待ち構えている。これまで保険料を納めてきた被保険者は、それなりの年金を受給できる権利を有する。年金制度を一元化するからといって、納付履歴を「クリア」することはできない。権利を保ったうえで一元化しようとすると、制度があまりに複雑なものとなり、破綻するのは間違いない。そもそも、制度を寄せ集めただけでは「一元化した」とはいえない。戦前から始まる年金制度を総括し、「新たな年金制度」のあるべき姿を議論する、その上で、現行制度をどう移行させるかを考えなければならない。また、最近の支持率低下からも、いつまでも民主党政権が続くとは限らないと考えるべきである。政権交代のたびに「新たな年金制度」に手を入れていくことになれば、どうしようにもならない制度になりかねない。超党派で議論する必要がある。

年金制度改革のターゲットも、このブログで取り上げてきた様々な制度改革と同じ2013年度。まだまだ年金制度改革への関心は低いが、しっかり拾っていきたい。

<年金改革>月内に閣僚会議設置 消費税増税含め財源議論
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100301-00000101-mai-pol

閣僚会議、年金改革で3原則 首相と長妻氏ら確認
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010030101000723.html