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自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

第4回高齢者医療制度改革会議 資料公開 保険者は都道府県か

2010年03月13日 10時13分37秒 | 高齢者医療・介護
8日に開催された第4回高齢者医療制度改革会議の資料が公開された。
以下のURLからご覧いただきたい。

第4回高齢者医療制度改革会議
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/03/s0308-10.html

17時20分から19時20分の3時間にわたる議論の様子はわからないが、基礎資料や参考資料などから厚生労働省が考える2013年度の姿がみえてくる。配布資料からの推測になるが、第5回目以降の揺り戻しがなければ、以下のようになるのではないだろうか。

新しい制度の骨格としては、市町村国保と高齢者医療を一体的に運営すること、財政基盤の安定化を図るために市町村国保を都道府県単位化すること、65歳の年齢到達により被用者保険の被保険者は市町村国保に加入すること、になるだろう。
これまでは4案が並列に扱われてきたが、「65歳以上は全員市町村国保に加入し、高齢者の医療給付費を公費・高齢者の保険料・若人の保険料で支える仕組みとした場合の財源構成(平成22年度予算案ベース)・宮武委員御依頼資料」に基づく議論が大きく報じられたり、「被用者保険の被保険者本人及び被扶養者の取扱いについて」の資料に「65歳以上の高齢者の医療制度と国保の一体的運用を図る場合、~」と書かれていたりすることを考えると、他の3案よりも宮武委員案が一歩先に出ている感がある。

そうすると気になるのは、市町村国保の都道府県単位化である。
都道府県が保険者になるのか、後期高齢者医療制度と同様に広域連合が保険者になるのかについての言及はない。しかし、「各委員の主な意見の概要」の「(3)運営主体のあり方」のまとめ方をみると、都道府県が一歩先に出ている感がある。例えば、「都道府県が担うべきとするご意見」には、都道府県はこれまで保険事務を担ってこなかったことに対して、「都道府県と市町村で人事交流をすればよい(安部委員)」、「広域連合は、市町村からの派遣職員で運営しており、人事異動は2年単位であることから、スキルの積み上げが困難(岡崎委員)」などとポジティブな意見が並ぶ。これらと比べて、「広域連合等が担うべきとするご意見」には、「現在の後期高齢者医療広域連合をベースに、運営主体を検討すべき(斉藤委員)」との1行はあるものの、ポジティブ・ネガティブともに取り上げられる意見が少ない(広域連合には、都道府県にはつかない「等」がついている)。

あくまで推測だが、「都道府県が運営主体となるのが理にかなっている(鎌田委員)」などの意見が並んでいることからも、都道府県が市町村国保を束ねる保険者となり、住民との接点を担うのは市町村。後期高齢者医療の広域連合は新制度への移行により解散となるのではないかと思えてくる。これだけ大きな保険制度の運営にはITシステムが欠かせないが、都道府県が住民の情報を管理するITシステムを運用するとはなかなか思えない。国保連合会に委託することになるのではないだろうか。

以上は、前政権下の「高齢者医療制度に関する検討会」でも議論されてきたこと。自民・民主の2つの政権下の検討資料を読み合わせてみれば、厚生労働省が思い描く姿はほとんど変わっていないとわかるだろう。

「高齢者医療制度に関する検討会」議論の整理について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/03/s0324-13.html