制度改正Watch

自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

国民健康保険法等の改正法案のURL

2010年02月08日 09時11分15秒 | 高齢者医療・介護
国会に提出された2つの法案の概要と要綱が掲載された。
いずれも、このブログで取り上げてきたもので、そちらも合わせて読んでいただきたい。

1つめは、「医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険等の一部を改正する法律案(仮称)」である。
国民健康保険法の改正は、
・財政支援措置を4年間延長する
・市町村国保の財政安定化のため、都道府県単位による広域化を推進する
・保険料滞納世帯であっても医療を現物給付で受けられる子どもの対象を拡大する(中学生以下→高校生世代以下)

健康保険法等の改正は、
協会けんぽの逼迫した財政状況に鑑み、保険料の大幅な引上げを抑制するための3年間の特別措置で、
・国庫補助割合を13%から16.4%に引き上げる
・単年度収支均衡の特例として、21年度末以降の赤字額について、24年度までの償還を可能とする
・後期高齢者支援金について、被用者保険グループでの負担能力に応じた分担方法を導入する(高齢者医療確保法)

高齢者医療確保法の改正は、
・財政安定化基金を、保険料の引上げの抑制に活用できるようにする
・サラリーマンに扶養されていた方の保険料の軽減措置を延長する

となっている。多くは、これまで報じられてきたことで、後期高齢者医療制度の「廃止」につながる「市町村国保の都道府県単位による広域化推進」には注目していきたい。要綱では、

二 広域化等支援方針等に関する事項
1 都道府県は、国民健康保険事業の運営の広域化又は国民健康保険の財政の安定化を推進するための当該都道府県内の市町村に対する支援の方針(以下「広域化等支援方針)という。)を定めることができるものとすること。(国民健康保険法第六十八条の二第一項関係)
2 広域化等支援方針においては、国民健康保険事業の運営の広域化又は国民健康保険財政の安定化の推進を図るため、都道府県が果たすべき役割、事務の共同実施や医療費の適正化等その推進のための具体的な施策等について定めるものとすること。(国民健康保険法第六十八条の二第二項関係)

となっている。概要にある「市町村国保における高額医療費共同事業・保険財政共同安定化事業」の拡大で留まるのか、地域保険化に向けて、広域連合に移行する道筋を示すのかでは、大きな違いがある。要綱にある「事務の共同実施や医療費の適正化等その推進」を、国保連合会の役割を大きくすると読むのか、それとも広域連合を立ち上げると読むのかによって、将来像はまったく違ったものとなるからである。

医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険等の一部を改正する法律案(仮称)の概要
http://www.mhlw.go.jp/seisaku/kaigi/2010/02/dl/s0202-1b.pdf

医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険等の一部を改正する法律案要綱
http://www.mhlw.go.jp/seisaku/kaigi/2010/02/dl/s0202-1c.pdf

(カテゴリーを分けるため、2つに分けて投稿する)