電脳馬牧場-Electric Ranch

カタログ人間による本,映画,ジャズ,古本屋巡り,ニュース拾い

ハウルの動く城(東宝・2004年)

2005-02-20 00:01:41 | 映画・ドラマ
宮崎駿を映画館で観るのは初めてだったりする。
結構大人になるまで宮崎駿は観ないと決めていた。単なる天の邪鬼である。
「となりのトトロ」は結構好き。「紅の豚」も格好いい。「ナウシカ」とか「ラピュタ」はまぁどうでもいい。多分、認めたくないだけ、単なるひねくれ者である。

さて、「ハウルの動く城」。
観客動員が多いという話題は何度か見かけたが、中身が面白いという話はあんまり聞かないし、私の周囲(3,4人ですが)の評判もあまり芳しくない。観ないつもりだったけど、それなら観てやろうという気になった(トホホ…)。

で、観てみたんだけど…、

面白いじゃないか!ダメなのか、こういうのって?
確かにあまっちょろい。魔法使いハウルの活躍はそれほど前面に出されず、ハウルに恋するソフィーの、ハウルを思う「思い」のみで、ハッピーエンドを迎入れる。

友人はこれを宮崎的な反戦映画だという。これまでと違ってほとんど戦闘シーンがない(それは戦えない90歳のおばーちゃん〔で18歳の少女〕ソフィーが主役となっている点ですでに不可能なのだが)という。確かに、蹂躙される町は描かれても、怪物と戦うハウルは描かれず、ただ戦いに疲れ、血と鉄のニオイがするハウルが描かれるだけだ。そして、ハウルの無事を願い、思い続けるソフィーの姿が描かれる。
僕には反戦映画かどうかはわからない。ただ、ここまで描かれないとなると宮崎駿が何らかの意図を持っていると言えるだろう。世界だの平和だのを守るために、結局は戦い、簡単に悪人とは言いきれない相手を殺さなければならないのだ。では、それを描かなければそれでいいのか。それも単なるきれい事。

とりあえず、今回は戦わないソフィーに軸を置いた。そして、愛だの恋だので戦争を終わらせることになった。戦いなしに、あるいは戦いを秘匿したまま大団円というのではリアルでない。が、戦いの一方でソフィーのような、戦う者を思い、行動する立ち位置はアリだと思う。素敵じゃないか。
ハウルへの思いが強まるほどに、ソフィーが若くなっていくように見えて、なんだかいいなぁって思っちゃったよ。