今回は、「染付 虎人物詩句文 輪花皿」の紹介です。
表面の全面に陽刻文を施し、口縁には鉄銹を塗って口紅を施して画面全体をギュッと引き締め、輪花形としています。
陽刻文は何を表現しているのか分かりずらいのですが、真ん中辺りに人物を描いているようです。その人物は、左上方に向かって走り寄ろうとしているようで、その左上方には虎が描かれ、虎は、その走り寄ってくる人物を見返しているようです。
表面
上段の詩句文の拡大
下段の詩句文の拡大
裏面
高台内銘の拡大(意味不明文字)
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代中期~後期(1760~1780年代)
サ イ ズ : 口径;17.6cm 高さ;2.6cm 底径;10.1cm
この時代、この手の皿は、相当に人気があったようで、相当数が作られたのか、残存数も多いようです。
佐賀県立九州陶磁文化館発行の「柴田コレクション」図録にも、同じような皿が何点か登載されていますが、その内の、この「染付 虎人物詩句文 輪花皿」と殆ど同じような皿を次に紹介いたします。
染付 虎人物詩句文 輪花皿
<「柴田コレクション総目録 図3468」(柴田コレクションⅧ-223)から転載>
1760~1780年代 口径17.6 高さ2.5 底径11.4
参考 二十四孝文(楊香)
また、2021年5月25日に、これに類似した「染付 蝶文 輪花形深皿」を紹介していますので、それと併せてご覧いただければ幸いです(^_^)
追 記 (令和3年7月4日)
遅生さんから、この皿の画題は、中国「二十四孝」の中の「楊香」からとったもので、「父親を守るため、娘、楊香が虎に立ち向かうという孝行物語のものです」とのコメントが寄せられました。
ウィキペディアに依りますと、
「楊香(ようこう)には一人の父がいた。ある時父と山に行った際に虎が躍り出て、今にも2人を食べようとした。楊香は虎が去るように願ったが叶わないと知ると、父が食べられないように「天の神よ、どうか私だけを食べて、父は助けて下さいませ」と懸命に願ったところ、それまで猛り狂っていた虎が尻尾を巻いて逃げてしまい、父子共に命が助かった。」
とあります。
この皿の表面の陽刻文は、そのことを表わしたようですね。
遅生さん、コメントをありがとうございました(^-^*)
『深山逢白額、努力転精風、父子倶無恙、脱身纔甲中。揚香』
父親を守るため、娘、揚香が虎に立ち向かうという孝行物語です。
でも、Drのこの皿の方が上手ですね。
陽刻も鋭いし、裏側の造りも丁寧です(^.^)
「二四孝詩句紋 揚香」の解説もされていましたね。
すっかり忘れてしまっていました(><)
それを覚えていれば、もう少しましな解説が出来たのですが、、、(~_~;)
「揚香」のことを教えていただきありがとうございます。
追記しておきたいと思います(^-^*)
ワタシもこの手がとても欲しかった時代がありました
ドクターさんも書いておられる通り、わりと見かけるタイプの品なので
「そのうち買うか」と思っているうちに20年近く経ってしまい
結局買わずじまいになっています。
伊万里全体が安くなった今が買い時なんでありましょうか。
でも、何故か、あまり人気がなかったですよね。
私も、骨董市などに出かけて行って、他に何も買いたいようなものがなかったので、「せっかく来たのだから、これでも買って帰るか」という感じで買ってきたものです。
遅生さんもそのような気持ちで、この手のものを買ってきたようですね(^_^)
ただ、最近はあまり見かけませんね。もっとも、ネットの世界ではどうなのか、知りませんが、、、。
見かけたら、今が買い時なのかもしれませんね(^-^*)