Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

色絵 唐獅子・牡丹文 輪花形小皿

2023年09月22日 16時40分28秒 | 古伊万里

 今回は、「色絵 唐獅子・牡丹文 輪花形小皿」の紹介です。

 この小皿も、一昨日の古美術品交換会で落札したものです。

 

 

色絵 唐獅子・牡丹文 輪花形小皿

 

表面

全面甘手ですが、比較的に薄作りです。

唐獅子と牡丹が描かれていますが、色絵部分の各所にかなりの釉剥げが見られます。

 

 

 

釉剥げの目立つ部分の拡大

唐獅子の右前足、左後ろ足、尾の部分の色釉薬がかなり剥げ落ちています。

特に尾の部分の釉剥げが大きく、一見、何が描かれているのかと迷うほどです(><)

また、牡丹の上方の茎部分の色絵も剥落してしまい、牡丹の蕾部分が空中に浮いて

いるように見えてしまいます(><)

 

 

唐獅子部分の拡大

特に、唐獅子の左後ろ足部と尾の部分の色釉薬が大きく剥げ落ちていることが分かります。

 

 

 ところで、このような状態がどうして生じてしまったのかと、その原因を考察してみました。

 皿の角度をあちこちと変え、いろんな角度から日にかざして見てみますと、色釉薬の部分が、ちょうど鏡が割れたような状態になっていました。その状態は、上の写真のようになっていました(なかなか上手く写せないのですが、だいたいの状況は分かるかと思います)。

 薄く小さな色ガラス片を多数張り合わせて唐獅子の文様を作り出したかのような状態になっていたわけです。

 経年劣化で、色釉薬の部分がピリピリと、無数のガラス片に割れてしまったわけですね(~_~;) そして、そのガラス片の幾つかが剥がれ落ちてしまい、釉剥げになってしまったのですね。

 

 

側面

比較的に薄作りなものですから、小皿なのに、かなりの歪みが見られます。

 

 

 

裏面

高台内銘:二重角福

 

 

やや斜め上方から見た裏面

 

 

 なお、この裏面を見て、「あれっ?」と思いました。

 あまりにも状態が良すぎますし、綺麗過ぎるんですよね。

 それで、「この小皿、もしかして、後絵物!」と思ったわけです。

 でも、生地の状態、色絵の状態やタッチなどの状態、それに、造形的に比較的に薄作りで厳しい作りであることから、江戸時代前期の作であることに間違いはないように思えるわけです。

 そこで、もう一度、ジックリと再点検してみました。

 表面には大きな釉剥げが見られますが、それは、使用によって生じたものではなく、どうやら、経年劣化で、自然に生じたように思われました。表面に、ほとんど使用擦れが見られないからです。

 結局、この小皿は、ほとんど使用されることなく、いわば、デッドストックされてしまったのではないかと考えたわけです。そうであれば、ましてや、裏面など日光に当たることもなく経過したわけで、裏面の色絵も綺麗な状態で残ったのではないかと、、、。

 ということで、この小皿の製作年代は、江戸時代前期として紹介いたします。

 

 

生 産 地 : 肥前・有田

製作年代: 江戸時代前期

サ イ ズ : 口径14.8cm 高さ2.2~2.4cm(歪みがあるため) 底径9.0cm


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Dr.Kさんへ (遅生)
2023-09-22 17:14:51
良い皿ですね。
獅子や牡丹の描き方が秀逸です。
後絵ではこうはいかないと思います。
甘焼だったので、ボディの歪みが大きく、また、冷却時の縮みも重なって、上釉がひび割れたのだと考えられます。写真で、獅子の胴体が浮き始めているのがよくわかりますね。
それにしても、裏面がきれいですね。
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遅生さんへ (Dr.K)
2023-09-22 18:41:31
「甘焼だったので、ボディの歪みが大きく、また、冷却時の縮みも重なって、上釉がひび割れたのだと考えられます」か。
やはり、後絵ではないですよね。

写真から、獅子の胴体部の上釉が浮き始めているのがよくわかりますか。
爪先でカリカリと引っ掻くと、上釉がポロポロと落ちてきそうなものですから、そ~とさせています(^_^)

全面甘手ですし、上釉がかなり剥げ落ちているので、安く登場してきたのだと思います。
それに、裏面があまりにも綺麗なものですから、製作年代にも疑問符が付き、安く登場してきたのだと思います。
保存状態が良過ぎるというのも良し悪しですね(~_~;)
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Dr.kさんへ (酒田の人)
2023-09-23 09:26:18
高台の厳しさが典型的な寛文期の品であることを示していますよね
この時代の品にはしばしばこのような甘手の品が見られるように思います(ウチにもありますが)。
この時代の小皿としては、このような鎬の入った品は少ないと思われますし
絵付けとしても特に獅子の絵付けには柿右衛門様式に近いものを感じます。
このような特徴的な品を見逃さないのは
まさにドクターさんの真骨頂でしょうか。
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酒田の人さんへ (Dr.K)
2023-09-23 13:33:07
この小皿、比較的に薄造りで、鎬まで入っていて、厳しい造りですよね(^_^)
それに、生地もやや乳白色で、赤が良く映えますね。
時代の特徴のようなものを備えていますよね
酒田の人さんは、この時代のものが好みでしたよね(^-^*)
それで、釉剥げが多いのですが、なかなか登場してこないような品ですし、完品を狙っていては何時まで待っても手に入りそうもありませんから、買うことにしたわけです。
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Unknown (pada)
2023-09-24 08:23:54
前の古九谷と言い~今回の古九谷と言え!
素晴らしい当たりでしたね。
こちらの田舎の骨董屋巡りではまず見られない逸品です。
これは自然な釉剥がれで後絵ではないと思います。少しわかりにくいですが、表の貫入と裏とでは少し違うような感じで?表側は二重貫入になってないでしょうか?
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padaさんへ (Dr.K)
2023-09-24 19:32:36
ほんと、今回の2点は当りでした(^-^*)
こちらでも、田舎の骨董屋巡りでは、このようなものには当りませんね。
今回は、プロの交換会ですから、出会えたのだと思います。
しかし、そうはいっても、この交換会でも、このようなものはなかなか出てこないですね。私も、このようなものに出会ったのは、この交換会では2年ぶりですから、、、。
padaさんは、引っ越しますと、このような出会いが増えるわけですね(^_^) 羨ましい限りです(^-^*)

この小皿は、やはり、後絵ものではないと思われますか。あいがとうございます(^-^*)

貫入の件ですが、もう一度良く見ましたが、表の貫入と裏の貫入は同じようです。
なお、周辺部は縦の貫入が目立ち、平坦部は縦横の貫入になっています。
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Unknown (ころすけ)
2023-09-26 05:38:17
薄手に凝った造形が良い小皿ですね。甘手の器との事ですので後絵の可能性は低いと思います。・・古伊万里には結構な数の甘手が存在しますが、やはり当時として、白い磁器は大変貴重だったと想像できます。・・相当歩留まりが悪かったのではないでしょうか?(素人意見)

上絵の剥落は残念ですが、買う買わないとなれば手に入れたいモノですね。Dr.さんにとって今回の交換会は大当たりでしたね。
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ころすけさんへ (Dr.K)
2023-09-26 08:55:38
古伊万里には、結構、甘手が多いですよね。
ただ、その分、安くなっていますから、集める側にとってはありがたいです(^_^)

この小皿、裏面の色絵の保存状態が良過ぎますので、「あるいは後絵?」と疑ったのですが、やはり、後絵ではないと思われますか(^_^) ありがとうございます。

上絵の剥落が残念ですが、その分、安かったわけですから、我慢せざるをえないですね(~_~;)

今回の交換会は当りでした(^-^*)
でも、なかなか、このような時ばかりは無いのですよ、、、。
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