今から22年程前のこと、とある田舎の古美術店から、古伊万里の茶壷を買いました。
ここで、わざわざ「 とある田舎の古美術店から」買いました、と言いましたのは、22年前頃は、ちょっと気の利いた古伊万里を田舎の古美術店から求めるのは困難になっていたからです。
田舎の市場には、古伊万里が出回らなくなってきていたんです。
それまでは、田舎の市場には、田舎の旧家等から供給されていたんでしょうけれど、その頃は、その供給ルートも枯渇してしまったんでしょうね。
それに反し、大都会の古美術店から、気の利いた古伊万里を発見することは容易でした。それは、大都会の古美術商の方々が海外から逆輸入していたからなんですね。その頃の古伊万里の供給源はヨーロッパ諸国だったわけですね。いわゆる里帰り古伊万里が大都会の市場には出回っていたんです。
ところで、そんな里帰り古伊万里ばかりを眺めていますと、「古伊万里というものはこの様なものだ」というような、或る種の観念みたいなものが形成されてきますね。そこに、突如として、その観念に反するような、毛色の変わった古伊万里を目にしますと、「あれっ、そういえば、こんな古伊万里もあったよね」と、古伊万里の観念を再認識させられるわけです。
輸出向けの古伊万里ばかり目にしていますと、国内向け古伊万里が、むしろ、古伊万里ではないかのように錯覚するわけです(-_-;)
前置きが長くなりましたが、その、今から22年程前に、とある田舎の古美術店から買った古伊万里の茶壷というのは、国内向けの古伊万里だったわけですね。当時としては、田舎ではなかなかお目にかかれない古伊万里だったわけです。
古伊万里様式赤地金彩羊歯文蓋付小壺
製作年代:江戸時代後期
高さ(蓋共):16.2cm 蓋径:7.7cm 胴径:12.8cm
別な面
更に別な面
蓋を外したところ
底面と蓋裏