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童話と絵本の会

楽しい童話や絵本を集めています。気にいった童話や絵本があればお知らせください。

童話と絵本の会 2016.06.13 カンチルの ぼうけん

2016-06-13 23:44:57 | カ行の絵本
2016年6月13日(月)雨のち曇り 19.5℃ 82%RH am7:55
童話と絵本の会の準備をしています。 お気に入りの童話や絵本がれば教えてください。

今日の絵本
_カンチルの ぼうけん 
__アジアのむかし話 文 神戸淳吉 絵 田辺佳奈 和田義三 清水耕蔵 
__1967 研秀出版株式会社 
__御器所教会蔵書

こじかの カンチルは、みなしごでした。
しんせつな すいぎゅうの おばさんの
おちちを もらって、おおきく なりました。
「じぶんさえ しっかり して いれば、
もりの なかは、こわくは ありませんよ。」
おばさんは そう いって、はげましました。

ひとりで くらすように なると、
カンチルは、こころぼそく なりました。
たべものを さがす ときも、やすむ ときも、
いつも、ようじんぶかく しなければ なりません。
おかげで カンチルは、からだは ちいさくても、
もりいちばんの りこうものに なりました。
ある ひ、カンチルは、あしの
はらっぱを あるいて いて、
チェプルカンと いう とりの たまごを、
ふみつぶしそうに なりました。
「チェプルカンさん、ごめんよ。」
カンチルは、あやまりました。

「カンチルさん。じつは、
こまった ことが あるのです。
わたしは いま、
たまごを かえして います。
それなのに、にんげんが
まいにち きて、あしを かるのです。」
チェプルカンが、なきそうに なって たのみました。
「たまごは、いつ かえるのですか。」
「もう 二、三にちです。」
「ふうん。いい ことを おもいついた。
ぼくに まかして おきなさい。」
カンチルが いいました。

あくる あさ、おおぜいのお おひゃくしょうが、
くさを かりに やって きました。そこへ、
とつぜん、カンチルは とびだしました。
「や、カンチルだ。つかまえろ。」
おひゃくしょうたちは、カンチルを おいかけました。
こうして カンチルは、まいにち、
おひゃくしょうの くさかりを じゃましました。
おかげで チェプルカンは、ぶじに
たまごを かえす ことが できました。

ある ひ、カンチルは、もりの おくで、
すばらしい バナナの きを みつけました。
その おいしそうな こと。
でも、カンチルは、きに のぼれません。
「そうだ。 さるくんに たのもう。」
はなしを きいて、
さるも おおよろこび。
「きみが 一ぽん とったら、
ぼくにも とって おくれね。」
「もちろんだよ。 ほしいだけ とって あげるよ。」
と、さるは やくそくしました。

ところが、さるは うそつきです。
じぶんだけ たべて、
カンチルには、
一ぽんも くれません。
カンチルは おこって、こいしを
さるを めがけて けとばしました。
「うわあ、いたたたた。
よくも やったな、カンチルめ。」
さるは、てあたりしだいに
バナナを なげつけました。
「もう いいよ。うそつきさるくん。
こんなに たべれないよ。」
カンチルは、やまのような
バナナを たべながら いいました。

カンチルは、かわへ、みずを のみに いきました。
すると、やぎたちが、こわそうに 
みずの なかを のぞいて います。
「どうしたんですか。」

「わにが いるので こわくて、みずが のめないんです。
でも、どれが わになのか、
ただの まるたんぼうなのか、
みわけが つかないんです。」
「ようし。ためして やろう。
わーい。おまえは まるたんぼうか。それとも わにか。
まるたんぼうなら、かわを のぼるし、
わにだったら、かわを くだるはずだ。」
カンチルは からかうように いいました。

すると、じっと うかんで いた まるたんぼうが、
ごぼごぼと おとを たてながら、
かわを のぼりはじめたでは ありませんか。
カンチルも、やぎたちも、みんなおおわらい しました。
「まるたんぼうが、ひとりでかわを のぼるもんか。
おまえは やっぱり、
おばかさんの わにさんだ。」
「ええい。いまいましい ちびすけめ。
いまに、おぼえて いろ。」
と、わには おこりました。

わにが まちかまえて いると、
そこへ カンチルが、
また、みずを のみに
やってきました。
「ようし、いまだ。がっぶり。」
ところが、わにが かぶりついたのは、
カンチルが もって きた、
くさの くきでした。
「おきにのどくさま。
ぼくの あしは このとおり。」
カンチルは、もりへ
にげていきました。

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童話と絵本の会 2016.06.07 ピアンと さる

2016-06-07 23:41:33 | ハ行の絵本
2016年6月 7日(火)曇り夜雨 22℃ 70%RH am8:00
童話と絵本の会の準備をしています。 お気に入りの童話や絵本があれば教えてください。

今日の絵本
_ピアンと さる 
__アジアのむかし話 文 神戸淳吉 絵 田辺佳奈 和田義三 清水耕蔵 
__1967 研秀出版株式会社 
__御器所教会蔵書

ピアンは はたらきものの おひゃくしょうでしたが、
からだが こびとのように ちいさくて、せむしでした。
ある あさの こと。
ピアンの かぼちゃばたけが、めちゃくちゃに あらされて います。

ピアンは なさけなく なりましたが、
ふと、いい ことを おもいつきました。
「そうだ。かぼちゃばたけに かかしを たてて、
いたずらした やつを、こらしめて やろう。」
ピアンは、おおきな かかしを つくりました。
そして、かかしに べとべとの なまゴムを ぬりつけて、
はたけの まんなかに たてました。
「はてな。あれは なんだろう。」
と、さるが、その ようすを そっと のぞいて いました。

「きゃっ、きゃっ、きゃっ。」
いたずらものの さるは、かかしが、じっと して いるので、ばかに しました。
「ようし。こうして やれ。」
さるは、ぴしゃんと、かかしを たたきました。
さあ、たいへん。なまゴムが、てに べったり くっついて、はなれません。
「ええい。こんちくしょう。」
こんどは、かかしを けとばしました。
すると、あしも、くっついて しまいました。
「あーん。あーん。たすけて くれえ。」

「いたずら さるめ。おまえが やったんだな。」
ピアンは、さるを つかまえました。
「おゆるし ください。ピアンさま。」
ピアンは さるが あんまり あやまるので、
かわいそうに なりました。
「もう 二どと しないなら、ゆるして やろう。」
「ありがとうございます。おれいに、おっしゃる ことなら、
なんでも いたします。」
「ほう。それなら、この わしを、
かねもちに できるかね。」
ピアンは、わざと からかいました。
「はい。おやすい ごようです。」
さるは そう いって、
もりのなかへ かえって いきました。

さるは、もりの ずっと おくにある、
おにの おしろに、はしって いきました。
「た、たいへんだあ。」
と、さるは さけびながら、おしろの まえで
あなを ほりはじめました。
「なんだ、さる どうしたんだ。」
おにどもが でて きて、ききました。
「となりの くにの へいたいが、
ひゃくとうの ぞうに のって、
せめて くるんですよ。
だから、あなを ほって、かくれるんです。」

さあ、おにの おしろは、たいへんな さわぎに なりました。
いつも、わるい ことばかり して いるので、
もう みんな おおあわてです。
「おれたちも、あなを ほって かくれよう。」
「いまから ほっても、まにあわん。
いどの なかへ かくれろ。」
どぼん どしん ずしん。
おにたちは、われがちに、いどへ とびこみました。

「ようし。みんな とびこんだな。」
さるは、いそいで いどに、おもい いしの ふたを かぶせました。
「さあ、もう、でられないぞ。」

こうして、さるは、おにどもを すっかり たいじしました。
「さあ、ピアンさまを おむかえに いこう。」
さるは、おにの おかしらが きて いた きんぴかの きものを、
かざりたてた ぞうに のせて、
ピアンを むかえに いきました。
「ピアンさま。わたくしと いっしょに、
もりの おしろへ おいで ください。」
ピアンは、どんなに おどろいた ことでしょう。

「ピアンさま、この きものを おめし ください。」
ピアンが おにの きものを きると、どうでしょう。
ピアンの せむしは なおって、 せの たかい、
りっぱな わかものに なりました。
「まるで、ゆめのようだ。」
「いいえ、ゆめでは ありません。
あなたが、やさしい かただからです。」
それから、ピアンと さるは、ぞうにのって、
うれしそうに、もりの おしろへ いきました。

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童話と絵本の会 2016.06.03 やまの おかしら

2016-06-04 00:04:27 | ヤ行の絵本
2016年6月 3日(金)晴れ 18℃ 58%RH am7:55
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今日の絵本
_やまの おかしら 
__アジアのむかし話 文 神戸淳吉 絵 田辺佳奈 和田義三 清水耕蔵 
__1967 研秀出版株式会社 
__御器所教会蔵書

むかし、やまの ちかくに、シヌクアンと いう、
けむくじゃらの おおおとこが すんで いました。
でも、きだてが やさしくて、こどもたちと
あそんだり、しごとを てつだったり して、
みんなから よろこばれて いました。

ある ひ、シヌクアンの ところに、
やまの けものたちが、ぞろぞろと やって きました
「シヌクアンさま。おねがいが あって まいりました。
どうか、わたしたちの おかしらに なって ください。」
シヌクアンは、むねを ぼいんと たたいて、いいました。
「ようし。かしらに なって やろう。」

あくる あさ はやく、
一わの ことりが、やって きました。
「おかしら。どうか きいて ください。
ぬまに すむ かえるどもが、うるさくて こまるのです。」
「ふうん。かえるは うたが すきだからな。」
シヌクアンは、ねむそうに いいました。
「いいえ。それが、きたない こえで よどおし わめくのです。
おかげで わたしたちは ねむれなくて ふらふらです。
かえるを こらしめて ください。」
「よし。かえるを つれて こい。」

ことりは、としとった かえるを つれて きました。
かえるは ふくれっつらで、いいました。
「わたしたちは うたを うたって いるのでは ありません。
かめが、あの おおきな いえを せおったまま、
どぼん どぼんと、ぬまの なかに とびこむので、
かめの いえの したじきに ならないように、
じぶんの いる ところを しらせて いるのです。」
シヌクアンは もっともだと おもいました。
「そうか、そうか。けしからん かめを よべ。」

としとった かえるは、やはり としとった
かめを、つれて きました。
かめは、はじめから、くびを すくめて だまって います。
「こら。かえるの いうとおりなら、こんやから、いえを
せおったまま ぬまへ とびこんでは ならんぞ。」
「おかしらさま。ちがいます。ほたるたちが もえて いる
ひを もって とびまわるので、あぶなくて
しょうがないのです。」
「なるほど。ひあそびは いかん。 ほたるを よべ。」

かめは、ほたるを つれて、のろのろ やって きました。
「おかしら。これが、ひあそびを して いる ほたるです。」
「いいえ。ひあそびだなんて、とんでも ありません。」
「ほう。どうしてだね。」
「はい。わるいのは あの か(蚊)どもです。
あの するどい けんで、ちくり ちくり さしますので、
わたしたちは ひを つけて、よどおし みはりを して いるのです。」

「さて さて、むずかしい ものだ。
だが、どうやら かが わるいようだから、かを よんで、
よく いいきかして やろう。」
まもなく かは やって きました。
「こら、か。 シヌクアンさまに ごあいさつを しないか。」
ほたるが そう いっても かは ふまんそうに
ぶーん ぶーん いうばかりです。
「これ か。 おまえは やたらに ほたるを
つきさすそうだが、ほんとうか。」
シヌクアンが きいても、かは へんじを しません。
「やはり おまえの しわざだな。
よし、ろうやに いれて やる。」

「さあ、ほかの かどもを つかまえろ。」
シヌクアンの いいつけで、みんなで かを つかまえて、
ろうやに いれました。
「やれ やれ。これで、すこしは こたえただろう。」
けものたちは、ほっと しました。
まもなく、めすの かだけは、
あやまったので ゆるされました。
でも、 おすの かは、ながい あいだ
ろうやに とじこめられて いたので、
こえが でなくなって しまいました。
シヌクアンの おかげで、
やまは へいわに なりました。

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童話と絵本の会 2016.05.26 ふじぎな こきゅう

2016-05-26 23:32:49 | ハ行の絵本


2016年5月26日(木)曇りのち夜雨 22℃ 72%RH am7:30
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今日の絵本
_ふしぎな こきゅう 
__アジアのむかし話 文 神戸淳吉 絵 田辺佳奈 和田義三 清水耕蔵 
__1967 研秀出版株式会社 
__御器所教会蔵書

むかし、なかの よい、りょうしの きょうだいが いました。
ある ひ、やまで、一わの おおわしが
にんげんを さらって いくのを みつけて、
あとを おって いきました。

わしは、ほらあなの なかに えものを かくすと、
また とんで いきました。
ほらあなは、ふかくて まっくらです。
「にいさん、ぼくが なかに はいって
たすけて こよう。
この なわで あいずを したら、
ひっぱってね。」
いさましい おとうとは、あなを おりて いきました。
やっと あなの そこに ついて、
かすかな あかりで みると、
おや、うつくしい おひめさまが
たおれて いるでは ありませんか。
「しっかり なさい。」
おとうとは、おひめさまを だきおこしました。

いっぽう にいさんは、ほらあなの そとで、
あいずを まって いました。
すると、ちかくで、ひとの はなしごえが きこえてきました。
「さらわれた ひめを たすけた ものに、
ひめを くださるそうだ。」
にいさんは よろこびました。
「さっきの ひとは、ひめに ちがいない。」
その とき、ほらあなの あいずが ありました。
にいさんは つなを ひきあげて、
おひめさまを たすけました。
「しめた。ほうびと いっしょに、
おひめさまも もらえるぞ。」
わるい こころを おこした にいさんは、
おとうとが でられぬように、
あなを ふさいで しまいました。

「おうさま。わたしが、おひめさまを おたすけしました。」
「おお、そうで あったか。」
おうさまは よろこんで、にいさんに、
たくさんの ごほうびを あげました。
そして、だいじんの くらいに つけ、
おひめさまを およめに あげようと、
いいました。
「いいえ、おとうさま。
わたくしを たすけて くれたのは、
この ひとでは ありません。」
おひめさまは、ほんとうの ことを はなしましたが、
だれも ほんきに しませんでした。

さて、ほらあなの なかに とじこめられた おとうとは、
むちゅうに なって でぐちを さがして いました。
すると、くらやみの なかで なにかに つまずきました。
それは、くるしんで いる わかものでした。
おとうとが いっしょうけんめい かいほうすると、
わかものは やっと げんきに なりました。
「わたしは、みずの くにの おうじです。
ごおんがえしに、あなたを ほらあなの そとへ
ごあんないしましょう。」
と、わかものは いいました。

「さ、こちらですよ。」
みずの おうじの あんないで、
たにがわや かわを とって、
ひろい うみに でました。
みずの くにの おうさまは、
おうじが ぶじに かえって きたので、
なみだを ながして、よろこびました。
「おうじを たすけて くださって ありがとう。
おれいに、うみの たからものの
こきゅうを あげましょう。」
おうさまは、そう いって、バイオリンに にた
がっきを くれました。

おとうとは、その こきゅうを もって、
むらから まちへ、ひいて まわりました。
その こきゅうの ふしぎな しらべは、
ひとびとの こころを うちました。
やがて、ある ひ、おとうとは
みやこの おうさまの まえで
ひく ことに なりました。
こきゅを かかえてすすみでた おとうとを みて、
にいさんは おどろきました。
「おうさま。この こきゅうひきは、
てきの まわしものです。
ころして しまいましょう。」
おとうとは わけを はなしましたが、ききいれて もらえません。

おとうとは、しけいを いいわたされました。
「おうさま。さいごの おねがいです。こきゅうを ひかせて ください。」
おとうとは、こころを こめて、
こきゅうを ひきました。
その かなしい しらべは、
おしろの すみずみまで ながれて いきました。

「おひめさまを たすけたのは だれでしょう。」
こきゅうは、そう うたって いるように きこえました。
おひめさまは、はっとして おくから はしりでました。
「おひめさま。」
「ああ、あなたは。」
ふたりは かたく てを にぎりあいました。

おうさまは、やっと
ほんとうの ことを しりました。
そして、おとうとに おうさまの くらいを ゆずって、
ふたりを けっこんさせました。
それからも、ふしぎな こきゅうの しらべは、
ひとびとの こころに あたたかく ひびき ました。
 
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童話と絵本の会 2016.05.18 まんぞくものの シャツ

2016-05-18 10:09:05 | マ行の絵本
2016年5月18日(水)晴れ 16.5℃ 56%RH am7:30
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今日の絵本
_まんぞくもののシャツ 
__イタリアのむかし話 文 岩崎純孝 絵 池田仙三郎 多田ヒロシ 小坂茂 
__1967 研秀出版株式会社 
__御器所教会蔵書

ある ところに、おうさまと おうじが いました。
おうじは、 いつも げんきが なく、
つまらなそうな かおを して います。
おうさまは、とても しんぱいでした。

おうさまは、おうじを なぐさめるために、
おんがくかいや、パーティーを ひらきました。
けれども、おうじの かおいろは、
ますます あおざめて いくばかりでした。
おうさまは、おふれを だして、
せかいじゅうの えらい がくしゃや いしゃを あつめました。
えらい ひとたちは、おうさまに もうしあげました。
「ふへいや ふまんが なく、
まんぞくして くらして いる ひとを さがして、
その ひとの シャツを もらって、
おうじさまに おきせなさい。」

おうさまは、その ひの うちに、
せかいじゅうに けらいを つかわして、
ふへい ふまん ひとつ なく、
なにごとにも まんぞくして くらして いる
ものを、さがさせました。
ひとりの ぼうさんが、つれて こられました。
おうさまは いいました。
「あなたは、なにごとにも まんぞくして いる
そうじゃが、くにで いちばん えらい
ぼうさんに なりたいと、おおもいかな。」
「ああ。ねがっても ない ことです。」
「でて いけ。 いまの くらしに
まんぞくして いない ものに、
ようは ないわい。」

ある とき、ちかくの くにに、
たいへん しあわせな おうさまが いる という
うわさが、みみに はいりました。
おうさまは、さっそく、その くにの おうさまの
シャツを もらいに、つかいを だしました。
すると、その おうさまは いいました。
「さよう。わしは、ほんとうの しあわせものじゃ。
くにも へいわ。かていも へいわ。かねも ある。
だが、わしが しぬ ときに、そういうものを
ぜんぶ のこして いくのが ざんねんじゃ。」

つかいの ものは、この おうさまの
シャツでは、やくに たたないと おもって、
かえって きて しまいました。
つかいの ものの はなしを きいて、
おうさまは、がっかりしました。
あるひ、おうさまは、のはらへ、かりに でかけました。
うさぎを おいかけて、はたけの なかごろまで
きた ときです。
どこからか、のどかな うたごえが きこえて きました。

おうさまは、うたごえに みみを かたむけました。
「こんなに のんきそうに、うたを うたって いる
おとこは、きっと、まんぞくな くらしを
して いる ものに ちがいない。」
おうさまが、うたごえの きこえる
ぶどうばたけに はいって いくと、
ひとりの わかい ひゃくしょうが、
たのしそうに うたを うたいながら、
はたらいて いるのでした。

おうさまは、きげん よく わかものに はなしかけました。
「どうだ。みやこに でて、わしの おうじの
ともだちに なって くれないかね。」
すると、わかものは てを ふって、
「いいえ、とんでも ありません。
わたしは、ここで こうして、
ひゃくしょうを しているだけで、
まんぞくして いるので ございます。」
と、ていねいに こたえました。

「まあ、 きくが よい。 おまえに たのみが ある。」
「わたしに できる ことでしたら。」
おうさまは よろこんで、けらいたちを よびました。
「みなのもの きて くれ。 おうじは すくわれるぞ。」
そして おうさまは、
「おうじが びょうきなのじゃ。
それを すくえるのは、おまえだけなのじゃ。」
と いって、わかものの うわぎを ぬがせようと しました。
けれど、きゅうに てを とめました。
その わかものは、
シャツを きて いなかったのです。

御器所教会 のホームペ-ジはhttp://www.gokiso-church.or.jp です。ステキなパイプオルガンの音とキレイな画面が出てきます。

今朝、教会の姉妹の訃報に接しました。
安らかな召天とご家族が慰められますよう、お祈りします。

   
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