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童話と絵本の会

楽しい童話や絵本を集めています。気にいった童話や絵本があればお知らせください。

童話と絵本の会 2021.12.31 赤い鳥 二年生 おふろ

2020-11-23 15:53:21 | ア行の絵本

2021年 12月 31日(金)晴れのち曇り 4℃  60%RH am11:50

 

童話と絵本の会の準備をしています。 お気に入りの童話や絵本があれば教えてください。

 

今日の絵本

_おふろ=堤 文子 え 渡辺三郎

__赤い鳥 二年生  赤い鳥の会 代表 坪田譲治 与田準一 鈴木珊一 

___1980  株式会社小峰書店 

_____私の蔵書

 

れい子ちゃんと、きみ子ちゃんは 七つと 六つの、

きょうだいです。 ある ゆうがた、 おかあさまが、

「きょうは、 わたしは いそがしいから、 ふたりで

おふろへ いってらっしゃい。 もう 大きく なったんだから、

それくらい できるでしょう?」と おっしゃいました。

「ええ ええ。」

「ねええ。」と、 ふたりは 大よろこびで、 とびあがりました。

ふたりだけで おふろへ いくんですから、

もう 小さな 子では なく、 すっかり、 おねえさまに

なったような きがして、 うれしくて たまりません。

ふたりは おおいそぎで、 シャボンばこ、 あらいこ、 

おかさまが、 えりから あごへ おつけになる クリーム、

それから、 おしろいと、 はけと、 くしとを、 がちゃがちゃと、

メッキの さげものに いれ、 手ぬぐいかけから、 

手ぬぐいと、 ゆあげの 大タオルを ひっぱり おろしました。

 おかあさまは、 いつも おむこうの 赤ちゃんを

つれていって おあげになります。 れい子ちゃんと 

きみ子ちゃんは、 その まねをして、 キューピーちゃんを

つれていくことにしました。

 

 ふたりは、 キューピーちゃんに、 水色の、 ろの、 ちゃんちゃんこに、 

くろじゅすの えりを かけた、 よそゆきのを きせました。

 それから、 おかあさまに お金を いただくと、

「いってまいりまぁす。」

「よく 気をつけてね。」

「いってまいりまぁす。」と 大よろこびで とびだして、

おふろやの まえまで、 いきも つかずに はしりつづけました。

 ふたりとも、 きょうは、 おかあさまが なさるとおりに

じょうずに やってこなければ、 と おもいながら、

きどって、 ばんだいへ お金を おきました。

 れい子ちゃんは てばやく、 きものを いれる ざるを とって、

「どうぞ。」と、 きみ子ちゃんに あげました。

「あら、 どうも。」と、 きみ子ちゃんは、 すまして

えしゃくをしました。 ふたりとも、 きょうは 活動の ビラや、

うりだしの こうこくなぞを みあげたりなんか しません。

 ながしばへ はいると、 いつも おかあさまの なさる

とおりを おもいだして、 そのとおりに しました。 

 

 ふたりは、 いちど おゆに つかると、 ながしばの

いっとう おくへ ばしょを とって、 まず、 せなかを

ながしあいました。 それが すむと、 れい子ちゃんが

キューピーちゃんを お手ぬぐいに つつんで、 また

おゆに はいりました。

「すこし、 ぬるめて あげましょうね。 赤ちゃんには、

ちっと、 おきつうござんすね。」と、 きみ子ちゃんは、

いっぱし、 おばさまが なんかのように こう いって、

水道の せんを ひねりました。

「まあ、 おそれいりました。」と、 れい子ちゃんは

おれいを いいました。

 そして、 お手ぬぐいで キューピーちゃんの おかおを、

じゃぶじゃぶと あらって、 「ちょいと、おねえさま、 

だっこしていてよね。」と、 キューピーちゃんを きみ子ちゃんに 

わたしました。

そして、 じぶんは、おかあさまが いつも なさる とおりに、

あごが すれすれに なるまで おゆに しずんで、 お手ぬぐいで、

えりから,  かたを こすりこすり しました。

 ふと みますと、 じきまえの よこの ながしばに

おとなりの おばさまが、 うしろむきになって、 足を

こすって いらっしゃるのが めに つきました。

 

「きみ子ちゃん、 おとなりの おばさまが いらっしゃるわよ。 あすこ。」

「ああ、 そうね。」

 おばさまは、 からになった おけと、 おゆが 

シャボンだらけになっている おけを ならべて おいでです。

「おゆを くんで あげなくちゃ わるいでしょう?」と、

きみ子ちゃんが 小さな こえで ききます。

「むろん、 くんで さしあげるのが ほんとうですわ。」と、

れい子ちゃんが いいました。 おとなの 人たちは

しりあいの 人が いると、 おゆを くんであげっこを

するのが きまりです。 ふたりは、 キューピーちゃんを、

さげものの 中へ ねかせておいて、 ひとつずつの

おけへ おゆを くんで 「おばさま どうぞ。」と、

いって そばへ ならべました。 おばさまは、

「あらあら、 これは どうもありがとうさま。

すみませんね。」と、 おじぎを なさいました。

「どういたしまして。」と、 れい子ちゃんが いいました。

 

ふたりは、また ひとつずつ くんで、 おかおを まっかにしながら、 

えっさえっさと かかえて いきました。

おばさまは。

「あら、 もう けっこうでございます。 どうも ありがとうさま。

すみませんですね。」と おっしゃいます。

こんどは きみ子ちゃんが、「どういたしまして。」と いいました。 

ふたりは なんだか じぶんたちが、 すっかり 頭を そくはつにでも

ゆった 大きな 女の人に なっているような きがしました。 

ふたりとも、 とても、 しとやかに たちふるまって、

にこりとも しませんでした。

 ふたりは、 ながしの 上に ひざを たてて すわりました。 

れい子ちゃんは ぬかで えりを こすりだしました。 

きみ子ちゃんは、 キューピーちゃんの からだを、 あらいこで

つるつる あらいながら、 おばさまに おゆを、

くんであげようと いいだしたのは わたしだわと おもって、 

ひとりで、 とくいになって いました。

 

 しかし、れい子ちゃんは、 やっぱり ほんとうの 

おねえさまだけあって、 もっと おねえさまらしいことを

かんがえつきました。 れい子ちゃんは、 手ぬぐいと、

あかすりと、 シャボンを もって、 おばさまの ところへ

いきました。

「おばさま ちょっと おせなかを おながし いたしましょう。」と

いいますと、おばさまは びっくりして、

「いえいえ、 もう けっこうでございます。 どうぞ どうぞ。」と 

おっしゃいます。

「ごえんりょなんか、 どうぞ。」と れい子ちゃんは、あかすりを

手ぬぐいにくるんで、 おばさまの おせなかを ごしごし 

こすりました。 その おせなかの はだの いろは、 すこし、 

うすちゃいろです。 たいそう ふとって、 はばの ひろい 

おせなかです。 まん中の ところに、 大きな赤い、 

おきゅうの あとが ふたつ ならんでいます。

なんだか みても いたそうなので、 そこは よけて

こすりました。

 

 「はいはい、 もう、 ありがとうさま。 もう けっこうです。」と、 

おばさまが、 むせるような こえで  おっしゃるので よしました。

そして 手ぬぐいを ひろげて ふたつに たたんで、 おばさまの

かたへ かけて、 上から、 さあっと、 おけの ゆを かけてあげました。

 おばさまは、 うつむきこんで、 ていねいに おれいを おっしゃいます。

 れい子ちゃんは、

「どうしていたしまして。」と ごあいさつをして、 もとの ところへ かえりました。

 なんだか じぶんが すっかり  えらくなったようで、 うれしくて、 むねが

どきどきしました。

 

まもなく、ふたりとも あがりました。 ゆう日が、 おもてがわの

高まどに はまった、 くもりガラスを うすぎいろく そめています。

きみ子ちゃんは キューピーちゃんを きれいに ふいてやって

ちゃんちゃんこを きせました。 そして、あせもが でないように、

しろいこなを ふるかわりに おしろいを おでこに つけてやりましたした。

しかし、 キューピーちゃんの ひたいは、 つるつるですから、

いくらやっても つかないで、 きみ子ちゃんの お手が しろくなるばかりでした。

れい子ちゃんは、 大きなタオルを かたに ひっかけて、

かた手で うちわを つかいながら、 すましていました。 みると、 むこうの

かがみに じぶんの すがたが すっかり うつっています。

 

と、 そこへ、 おふろやの 女中さんが おくから でてきました。

いつも、 ももわれに ゆっている、 いろのしろい、 えくぼのある、

おとなしい 人です。 きょうは、 しろっぽい ゆかたに、 あかい おびを

しめて、 レースの ついた エプロンを かけています。 女中さんは、

「まあ、 おじょうさんがた、 おふたりだけで いらっしゃいましたの?  

おえろうございますこと。 さあ、冬やが おべべを おきせして あげましょう。」と、

にこにこしながら、 ざるを ひきよせます。 ふたりは びっくりして、

「いいえ、 いいのよ。」

「あら、 いいのよ。」と いっしょに こえを たてました。 女中さんは

そんなことは、 耳へも いれないように、 きみ子ちゃんの きものを

とりあげて きせにかかりました。

 

★★★★★★★★★★★つづきはここから★★★★★★★★★★★

 

きみ子ちゃんは、

「あらぁ、 いいのよう。 きょうは ふたりだけで きたんだから、 いいのよ。」と、

くるくる まわって にげかけました。 女中さんは かまわず、

つかまえて、 どんどん きせてしまいました。 れい子ちゃんも

つかまって、むりやりに きせられました。 女中さんは、 そのうえに、じぶんの くしを ぬいて、 ふたりの かみまで なでつけて くれるのです。 そして、

「まあ、 おかわいいこと。」 と ふたりの おかおを みくらべました。 ふたりとも もう なきだしそうになっていました。 あんなに おとならしく、 えらくなっていたのに、こんなことを されたので、 まるで、 小さな 女の子に なってしまいました。 おふろやの 女中さんに おべべを きせてもらったりする 大人がどこに あるでしょう。 ほんとに くやしいわと、 ふたりとも、 そう おもって、 ふくれかえって たっていました。 なんて おせっかいな 女中でしょう。 いつもは、 すきな、 人だと おもっていたのですが、 あんなこと されたので、 その かおも、 ひきがえるみたいに いやらしく みえました。 

「さ、 ころばないで おかえりなさいまし。」と、 とを あけてくれます。 これでは、 まるで、 赤ちゃんに なってしまいます。

 ふたりは そとへ でると、 おもわず かおを みあわせました。 きみ子ちゃんは、 なみだぐんで、 いまにも、ああんと、 いいそうな かおを しています。 れい子ちゃんも、 ぷりぷりして、 のろり のろり あるきだしました。 

(おわり)

                                                                                      

   

御来訪ありがとうございます。


童話と絵本の会 2018.09.17 しろくまの おうじさま(ノルエー)(1~11)

2018-09-17 15:38:48 | ア行の絵本
2018年 9月 17日(月)曇り 25℃ 78%RH am7:50
童話と絵本の会の準備をしています。 お気に入りの童話や絵本がれば教えてください。

今日の絵本
_しろくまの おうじさま(ノルエー)(1~11)
 
__北欧のむかし話 文 谷川慧子 絵 山中冬児 清水美智子 油野誠一 池田浩彰 
___1967 研秀出版株式会社 
___御器所教会蔵書 

ある、さむい ばんの ことです。
まずしい きこりの かぞくが、ストーブを
かこんで いますと、トン トン トン、
一とうの しろくまが、まどを たたきました。
「こんばんは、きこりさん。すえの むすめさんを
わたしに くださいませんか。そうすれば、
あなたがたを おかねもちに して あげますよ。」

こころの やさしい むすめは、
かぞくの みんなの ために、
しろくまの ところへ いく
けっしんを しました。
しろくまの せなかに のって、
ながい ながい ゆきみちを
あるいて やっと やまの
おしろに つきました。

しょくどうには ごちそうが
ならんで います。
「たくさん おあがりなさい。
ほしい ものが あったら、
この すずを ふれば、
すぐに でて きますよ。」
しろくまは、むすめに
すずを わたすと、
どこかへ いって しまいました。
むすめは ねむたく なったので、
すずを ふりました。
すると、ふかふかの ベッドに、
もう ねて いました。

むすめは、へやの あかりを けしました。
すると、だれかが、すっと はいって きて、
となりの ベッドで ねむりました。
そして、あさ、くらい うちに、へやを でて いきました。
つぎの ばんも、その つぎの ばんも、そうでした。
けれども、むすめは しあわせでした。
すずを ならせば、ほしい ものは なんでも、
すぐに でて くるのですから。

その うち、むすめは、おとうさんや おかあさんに
あいたく なりました。
「それでは、うちへ つれて いって あげましょう。
ただ、ひとつだけ、やくそくして ください。
まいばん、だれかが、となりで ねむる ことだけは、
だれにも はなさないで ください。
さもないと、かなしい ことが、おこりますからね。」


しろくまは、むすめを せなかに のせて、
おとうさん おかあさんの いえに いきました。
「さ、みんなに あって いらっしゃい。
でも、やくそくを わすれないで くださいね。」
と いうと、しるくまは、かえって いきました。

げんきな むすめを みて、おとうさん おかあさんは、
なみだを ながして よろこびました。
「ほんとうに、よく かえって きて くれたね。
かわいい おまえを、しろくまに やったりして、
わるかった。ゆるして おくれ。」
むすめの おかげで、いまでは、うちじゅう みんなが、
ゆたかに、しあわせに、くらして いました。 

むすめは、しろくまの りっぱな おしろや、
まほうの すずの ことを、みんなに はなしました。
ただ、しろくまとの やくそくを まもって、
よるの ふしぎな できごとは、だまって いました。
けれども、むすめは、とても きがかりだったので、
おかあさんと ふたりきりに なった とき、
とうとう、はなして しまいました。
「なんて おそろしい ことだろう。
それは きっと、わるい まものかも しれないよ。
そうだ。よる、その ひとが ねむって しまったら、
この ろうそくの ひで、かおを みて ごらん。」
おかあさんは、むすめに ろうそくを わたしました。
ゆうがた、しろくまが、また むかえに きました。

かえる とちゅう、しろくまが きました。
「やくそくは、まもって くれましたか。」
むすめは、こたえられません。
しろくまは、かなしそうに ためいきを つきました。
「では、おかあさんが すすめた ことだけは、しないで くださいね。
なにも かも だめに なって しまいますから。」

その ばんも、あかりを けすと、だれかが はいって きて、
となりの ベッドに ねむりました。
むすめは、どうしても、その ひとの かおが みたく なって、
ろうそくに ひを つけました。
まあ、なんと うつくしい おうじさまが、ねむって、いるでは ありませんか。

むすめは、おうじに、うっとり みとれました。
その とき、ろうそくの あつい しずくが、
おうじの シャツに おちました。
おうじは、はっと、めを さましました。
「ああ、あなたは、とんでもない ことを
して しまいましたね。
わたしには、まほうつかいの ままははが います。
わたしは、その むすめの はなながひめと
けっこんするのを ことわったので、
しろくまに かえられて しまいました。
よるしか、にんげんの すがたに もどれません。
でも やさしい むすめさんが、
わたしの ほんとうの すがたを みないで、
Ⅰねんかん、いっしょに くらして くれれば、
まほうが とける はずだったのです。
でも、もう だめであす。
あしたの あさ わたしは、
たいようの ひがし、つきの にしに ある
おしろに、つれもどされて いるでしょう。」
むすめは、ないて あやまりました。
でも、もう、どうしょうも ありません。

つぎの あさ、むすめが めを さますと、
おうじも おしろも、きえて いて、
むすめは、もとの ぼろぼろの ふくのまま、
くさの うえに ねて いました。
むすめは、おうじを さがしに、
たいようの ひがし、つきの にしに ある、
おしろに いこうと けっしんしました。
さびしい もりの なかを、むすめは、
なんにちも なんにちも あるきました。

ある ひ、むすめは、
いわやまの まえで、
きんの りんごを もった
おばあさんに あいました。
「たいようの ひがし、
つきの にしに ある、
おしろに いく みちを、
おしえて ください。」
「わしは しらんが、ねえさんが
しって いるかも しれない。」
おばあさんは むすめに、
きんの りんごと、うまを
くれました。

むすめは、うまに のって、たびを つづけました。
すると、いわやまの まえで、二ばんめの おばあさんが、
きんの くしで、かみを とかして います。
その おばあさんも、おしろへ いく みちを しりません。
「いちばん うえの ねえさんに ききなさい。」
と いって、おばあさんは きんの くしを くれました。」
三ばんめの おばあさんは、きんの
いとぐるまを まわして いました。
でも やっぱり おしろへの
みちを しりませんでした。
「どうしても いきたいのなら、
ひがしのかぜの ところへ いって、
きいて ごらん。
この いとぐるまを あげよう。
きっと やくに たつだろう。」
むすめは おれいを いうと、
また、 たびを つづけました。

むすめは、ながい くるしい たびを して、
やっと ひがしかぜの いえに つきました。
むすめは、おしろの ことを たずねました。
「その おしろなら きいた ことは ある。
でも ぼくは そよかぜだから、そこまで、
ふいて いった ことは、ないんだよ。
にしかぜにいさんに きいて みよう。」
ひがしかぜは、むすめを せなかに のせると、
ひゅーっと ひとふきで、
にしかぜの いえに つきました。
にしかぜも、おしろの ある ところを
しりませんでしたが、みなみかぜの いえに、
つれて いって くれました。
でも、みなみかぜも、やっぱり しりません。
「きたかぜにいさんなら、いちばん つよいから、
もしか したら、その おしろまで、
ふいて いった ことが あるかも しれない。
さあ、せなかに おのり。
つれて いって あげよう。」

きたかぜの いえの まわりには、
こおりのように つめたい かぜが、
ふきまくって います。
「なに しに きた。 ふきとばすぞ。」
なかから、おそろし こえが しました。
「おとうとの みなみかぜだよ。」
すると、かぜが やみました。
みなみかぜは、むすめが、おうじに あいに
おしろへ いきたがって いる ことを、
きたかぜに はなしました。
「ああ、あの おしろか。
いちど いった ことが ある。
あの ときは、わしでさえ くたびれたよ。
それほど とおいが、いくゆうきは あるかね。」
きたかぜは、しって いたのです。
むすめは、うれしく なりました。
「どうか、つれて いって ください。
どんなに つらくても、がまんします。」
「よし。こんやは、ここに とまりなさい。」

つぎの あさ、 きたかぜは、
いきを いっぱい すいこむと、
むすめを せなかに のせて、 とびあがりました。
したを のぞくと、 ひどい あらしです。
いえや きは、 ふきたおされ、
うみでは、 ふねが たくさん しずみました。
きたかぜは、 どこまでも どこまでも、
ふきすすみました。
いくら つよい きたかぜでも、
一にちじゅう ふきまくったので、
ゆうがたは、 もう へとへとです。
「こわいかね。」
「いいえ、 ちっとも。」
そのとき、 うみの むこうに
りくが みえました。
「あれが、 たいようの ひがし、
つきの にしの おしろだよ。」
むすめは、 とうとう
おしろに ついたのです。(つづく)

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御来訪ありがとうございます。

童話と絵本の会 2017.09.04 あざらしの おかあさん(1~3完)

2017-09-04 20:31:37 | ア行の絵本
2017年 9月 4日(月)晴れ 21.5℃ 71%RH am7:35
童話と絵本の会の準備をしています。 お気に入りの童話や絵本がれば教えてください。

今日の絵本
_あざらしの おかあさん(デンマーク)(1~3完) 
__北欧のむかし話 文 谷川慧子 絵 山中冬児 清水美智子 油野誠一 池田浩彰 
__1967 研秀出版株式会社 
__御器所教会蔵書 

ある あさの ことです。
わかい りょうしが つりに でると、
いわの うえに、あざらしの けがわが
たくさん ならんで いました。
りょうしは まずしかったので、
その けがわを、うろうと おもって
一まい もって かえりました。

ゆうがた、りょうしは、また
いわのちかくを とおりかかりました。
すると、うつくしい おんなのひとが、ないて います。
「もしもし、むすめさん。どう したのですか。」
と、りょうしは たずねました。
「わたしは あざらしなのです。
けさ、ここで、けがわを ぬいで あそんで いると、
だれかに、けがわを とられて しまいました。
けがわが なくては、もう、うみへ かえれません。」
そういって、また、なみだを こぼしました。

りょうしは、かんがえました。
(かわいそうに。あの けがわは、この むすめの ものだったのだ。
かえして やろうか。いやいや。けがわが なければ、この むすめは
うみへ かえれない。だから、もしか すると、
わたしの およめさんに なって くれるかも しれない……。)
りょうしは、やさしく いいました。
「こんやは、わたしの うちに、おとまりなさい。」
「それでは、おせわに なります。
そう いって、むすめは、
りょうしについて いきました。

りょうしの いえに きた あざらしの むすめは、
りょうしの ために、ごはんを たいたり、
せんたくを したり、おそうじを して くれました。
ある ひ、りょうしは いました。
「あなたの けがわは、どこに あるのか わからない。
もう、うみへ かえるのは あきらめて、
わたしの およめさんに なって ください。」
むすめも、りょうしが やさしい ひとなので、
りょうしを すきに なって いました。
「はい。」
と こたえて、むすめは、
りょうしの およめさんに なりました。

ふたりの あいだには、
こどもが 七にん うまれて、
しあわせに くらして いました。
けれども おかあさんは、
ときどき、うみべに たって
じっと おきの ほうを
みて いる ことが
ありました。
りょうしは、とても
しんぱいでした。
(あれが けがわを みつけたら、
うみへ かえって
しまうかも しれない。わたしが、うそを ついたのも、
ゆるしては くれないだろう。)
それで りょうしは、
けがわを かくして ある
はこの かぎだけは、
いつも からだから
はなしませんでした。

なんねんも たった ある ひ、りょうしは、
はこの かぎを おきわすれて、うみに でました。
「あら、なんの かぎでしょう。」
おかあさんは、かぎを みつけました。
りょうしが いちども あけて みせて くれない
あの はこの かぎに、ちがい ありません。
いそいで、はこを あけて みました。
「まあ、わたしの けがわ。」
おかあさんは、あざらしだった ころの
なつかしい、うみの くらしを おもいだしました。
そして、むちゅうで けがわを きると、
うみの なかに すがたを けしました。

つりを して いた りょうしは、
かぎを わすれた ことに、きがつきました。
いそいで いえに かえると、
おかあさんの すがたが ありません。
だいじな はこの ふたが あいて いて、
あざらしの けがわが なくなって いました。

おとうさんは、おもい こころで、うみへ でました。
すると、かなしい うたごえが きこえて きます。
 わたしは あざらし、うみの むすめ。
 うみに かえれて うれしいけれど
 それでも やっぱり かなしいの。
 かわいい こどもは、どう して いるの。
 わたしの かわいい こどもたち。
1とうの あざらしが、ふねの まわりを およぎました。
その めからは、なみだが こぼれて いるようでした。

こどもたちが、うみべで あそんで いると、
やさしい かおを した あざらしが、
いわかげから、うつくしい さかなや かいを
なげあげて くれるのでした。
そして、りょうしは、これまでよりも
五ばいの 十ばいも、たくさんの さかなが
つれるように なったと いう ことです。(おわり)

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御来訪ありがとうございます。

童話と絵本の会 2017.08.28 あざらしの おかあさん(1~2)

2017-08-28 16:54:02 | ア行の絵本
2017年 8月 28日(月)曇り 26℃ 75%RH am8:00
童話と絵本の会の準備をしています。 お気に入りの童話や絵本がれば教えてください。

今日の絵本
_あざらしの おかあさん(デンマーク) (1~2)
__北欧のむかし話 文 谷川慧子 絵 山中冬児 清水美智子 油野誠一 池田浩彰 
__1967 研秀出版株式会社 
__御器所教会蔵書 

ある あさの ことです。
わかい りょうしが つりに でると、
いわの うえに、あざらしの けがわが
たくさん ならんで いました。
りょうしは まずしかったので、
その けがわを、うろうと おもって
一まい もって かえりました。

ゆうがた、りょうしは、また
いわのちかくを とおりかかりました。
すると、うつくしい おんなのひとが、ないて います。
「もしもし、むすめさん。どう したのですか。」
と、りょうしは たずねました。
「わたしは あざらしなのです。
けさ、ここで、けがわを ぬいで あそんで いると、
だれかに、けがわを とられて しまいました。
けがわが なくては、もう、うみへ かえれません。」
そういって、また、なみだを こぼしました。

りょうしは、かんがえました。
(かわいそうに。あの けがわは、この むすめの ものだったのだ。
かえして やろうか。いやいや。けがわが なければ、この むすめは
うみへ かえれない。だから、もしか すると、
わたしの およめさんに なって くれるかも しれない……。)
りょうしは、やさしく いいました。
「こんやは、わたしの うちに、おとまりなさい。」
「それでは、おせわに なります。
そう いって、むすめは、
りょうしについて いきました。

りょうしの いえに きた あざらしの むすめは、
りょうしの ために、ごはんを たいたり、
せんたくを したり、おそうじを して くれました。
ある ひ、りょうしは いました。
「あなたの けがわは、どこに あるのか わからない。
もう、うみへ かえるのは あきらめて、
わたしの およめさんに なって ください。」
むすめも、りょうしが やさしい ひとなので、
りょうしを すきに なって いました。
「はい。」
と こたえて、むすめは、
りょうしの およめさんに なりました。

ふたりの あいだには、
こどもが 七にん うまれて、
しあわせに くらして いました。
けれども おかあさんは、
ときどき、うみべに たって
じっと おきの ほうを
みて いる ことが
ありました。
りょうしは、とても
しんぱいでした。
(あれが けがわを みつけたら、
うみへ かえって
しまうかも しれない。わたしが、うそを ついたのも、
ゆるしては くれないだろう。)
それで りょうしは、
けがわを かくして ある
はこの かぎだけは、
いつも からだから
はなしませんでした。(つづく)

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童話と絵本の会 2017.08.21 あざらしの おかあさん(1)

2017-08-21 23:13:50 | ア行の絵本
2017年 8月 21日(月)曇り一時晴れ 28℃ 74%RH am8:25
童話と絵本の会の準備をしています。 お気に入りの童話や絵本がれば教えてください。

今日の絵本
_あざらしの おかあさん(デンマーク)(1) 
__北欧のむかし話 文 谷川慧子 絵 山中冬児 清水美智子 油野誠一 池田浩彰 
__1967 研秀出版株式会社 
__御器所教会蔵書 

ある あさの ことです。
わかい りょうしが つりに でると、
いわの うえに、あざらしの けがわが
たくさん ならんで いました。
りょうしは まずしかったので、
その けがわを、うろうと おもって
一まい もって かえりました。

ゆうがた、りょうしは、また
いわのちかくを とおりかかりました。
すると、うつくしい おんなのひとが、ないて います。
「もしもし、むすめさん。どう したのですか。」
と、りょうしは たずねました。
「わたしは あざらしなのです。
けさ、ここで、けがわを ぬいで あそんで いると、
だれかに、けがわを とられて しまいました。
けがわが なくては、もう、うみへ かえれません。」
そういって、また、なみだを こぼしました。

りょうしは、かんがえました。
(かわいそうに。あの けがわは、この むすめの ものだったのだ。
かえして やろうか。いやいや。けがわが なければ、この むすめは
うみへ かえれない。だから、もしか すると、
わたしの およめさんに なって くれるかも しれない……。)
りょうしは、やさしく いいました。
「こんやは、わたしの うちに、おとまりなさい。」
「それでは、おせわに なります。
そう いって、むすめは、
りょうしについて いきました。(つづく)

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