スポーツライター・オオツカヒデキ@laugh&rough

オオツカヒデキは栃木SCを応援しています。
『VS.』寄稿。
『栃木SCマッチデイプログラム』担当。

“汚れた”華

2007-08-09 22:25:32 | 野球
バリー・ボンズが記録を塗り替えた。ホームランのメジャー新記録となる756号を打った。これまでの記録保持者はハンク・アーロン氏。

手放しでは喜べない。ボンズが限りなく黒に近い灰色だからである。薬物に関する疑惑は消えない。いくら最短距離でボールをとらえる技術が卓越していても、禁断の果実に手を出し、食してしまっていたとしたら・・・。観戦しなかったセリグ・コミッショナーが代表的なように、アメリカ国民が大記録達成を歓迎しているわけではない。

しかし、ボンズにばかり非があるわけではない。薬物に手を出すことは許されざる行為である。だが、オールスターのホームラン競争がフェスティバルでありながら、競技性が非常に高いことが証明しているように、アメリカ国民はなによりもホームランという名の”花火”を好む傾向にある。その価値観を幾分か変えたのがイチローであると言われているが・・・。

とにかく、ホームランが好物の国民の期待に応えなければ・・・。その重圧がボンズを犠牲者にしたともいえなくもない。ストライキの翌年、マグワイアとソーサの熾烈なホームラン合戦が失われた信頼を取り戻したように、やはりホームランはベースボールの華なのである。

偉業を素直に祝福できない。これほど悲しいことはない。今後、セリグ・コミッショナーはどのような見解を示すのだろうか。”汚れた”記録と成り下がるのだろうか。それとも・・・。


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