ある司法書士の修行時代

司法書士の修行の日々に思う徒然事

ヒューマン・コメディ

2005-05-03 13:34:51 | 司法書士
これは随分前の話、改正法施行後間もなく…

「申請書の写し」のところで書いたが、
規則附則第15条第2項書面の書き方がよく分からなかったころだ。
今でも分かったわけじゃないが、安定はしている。

法務省では「申請書の写し」は書けと書いておきながら
他の書面を添付した場合のパターンを書いてなかった。
だから僕も「申請書の写し」だけは書いて、
他の場合は書かなかったら上司の逆鱗に触れて、
「書かなくていいと思ってるのは、自分の勝手やろうが!」と
言われてしまい、その時は僕も腹が立ったが、
何とか手を打たねばなるまい、と心に誓ったのだ。
だからある登記所に行った時、またぞろ登記相談員に相談した。

相談員「何か?」
僕「登記原因証明情報のことでちょっとお聞きしたいことが…」
相「申請書は?」
僕「いや、一般的なことで」
相「ほう、一般的、登記原因証明情報ってのは…(略)…です」
僕「はぁ、それじゃあ、登記済証を作ってもらいたいときに、
 昔の申請書副本を添付した時は、『申請書の写し』と書くんですね」
相「そうです」
僕「昔の原因証書とコピーを添付して、原因証書を登記済とする場合は、
 登記原因証明情報の後ろに括弧書きで、原本還付とでも書くのですか」
相「うーむ、そうだなぁ、あってもなくてもいいんゃないかな」
僕「それでは報告式の登記原因証明情報を添付して、
 昔の原因証書を添付した時はどう書くんですか」
相「うむ、その場合は、『原因証書』でいいのでは?」
僕「えっ!? そうですか…では、報告式の原因情報とそのコピーを添付して、
 コピーを登記済証として還付する場合は?」
相「えっ、登記原因証明情報は、登記のための書面だから還付できませんよ」
僕「いや、本体じゃなくってコピーの方を還付するのですか」
相「えっ、コピーでもできないのです。登記原因証明情報は、
 登記のためだけの書面だからここに留め置かれるのです」
僕「いや、日司連によるとできるそうですが…」
相「(驚く)…本当ですか?」
僕「ええ、普通とコピーと原本のパターンが逆なんで、
 混乱しやすいところですが」
相「あなたは司法書士さんですか」
僕「いいえ、まだ登録してないです」
相「そうかぁ…ちょっと待ってくださいね(登記官のところへ行く)」
しばらく話し込んで、戻ってきて
相「うーむ、そうかぁ、(いまだ納得いかず半信半疑の様子で)
 やっぱりあなたの言うとおりでしたよ」
僕「そうでしたか、では、その場合、添付書面としては
 『登記原因証明情報の写し』と書くのですか」
相「そうですなー『申請書の写し』と書くからには理論的には、
 そう書かないとおかしいでしょうな、でもちょっと待ってくださいね
 (再び登記官のところに行く)」しばらく話し込んで、戻ってきて
相「登記官はどっちでもいいといってましたよ」
僕「そうですか」
相「いやぁ、登記原因証明情報のコピーを還付できるなんて知りませんでしたよ
 あなたのおかげで勉強になりました。」
僕「とんでもないです」
相「そもそも昔の原因証書のままでいいんですよね。何もわざわざ…(略)…
 しかし悪法も法といいますからね」
僕「そうですね」
相「では、そろそろ、あなたも開業目指してしっかり勉強するように」

その時僕は思った。
今のは、ボケなのか?ノリ突込みを誘発しているのか?
ここは関西だぞ!
でも関西人じゃない僕は、颯爽と身を翻し、その場を後にしたのだ。