ある司法書士の修行時代

司法書士の修行の日々に思う徒然事

何処かしら…

2005-10-16 18:34:42 | 映画
ふと渡辺文樹のことを思い出した。
たまに思い出す。
そろそろ新作は作ったかな、と。

『腹腹時計』という新作を作ったらしい。
前作の『罵詈雑言』は有楽町の〝映画館〟で観た。
前々作の『ザザンボ』は池袋の(改修前の)文芸座で観た。
あの頃は、それなりにちゃんとした映画館で上映されていたんだが…

今回の『腹腹時計』に間しては、
巡回上映をしているということだけしか分からない。
何時何処で上映されるのかさっぱり分からない…

まあ、商業映画の世界から爪弾きにされるのは、
自業自得の感も無きにしも非ずなのだが、
それでも近くに来たら事務所を早退しても見に行きたいなぁ、とは思う。

別にファンという訳じゃないけど、
新作が出たら観にいこっかなぁ、という気にはさせる作家ではある。
例え、観る度に言い知れぬ不快感を感じようとも…

РОМАН

2005-10-16 00:23:36 | 映画
なんだか気分は曇天だ。しかも低く垂れ込めた曇天だ。
先週横浜に行った時、ランドマークタワーの天辺にかかるほど雲は低かった。

久々にCSで映画を観た。
ラース・フォン・トリアー監督の『ドッグ・ヴィル』だ。
初っ端から「これで3時間はきついなー」と思う前衛的設定。
だけど、彼の映画はなんだかんだと『エレメント・オブ・クライム』の頃から
観てきているし、学生時代に観た『奇跡の海』には感銘したし、
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』は正直世評ほど評価する気にはならないが、
我慢していれば満足するだろうと、楽観的に我慢して観続けだ。

そうすると、あら、不思議、前衛的な設定がそれ程気にならず、
レイプシーンなどは、巧いことやるなぁ、ラースよ、喝采したくなる始末。
しかし最後のクライマックスシーンは賛否両論あると思うが、
僕は断然…〝賛〟…だ。

前に観た中国の『鬼が来た』という映画のラスト近いシーンは、
残虐な日本陸軍による善良な中国村民のジェノサイドだったが、
あの時は、賛とか否とかより嫌な気分、というより不安な気分だったが、
今回は「世の中から消えてしまった方がいい」と思っていても、
現実的には消滅させることができない事物を、
映画の中では全能の神である監督が審判したことに対して共感を覚えてしまう。

消滅させるべきものが些細なものであり、
その些細なものに対する嫌悪の代償がジェノサイドやエクスキューションだと、
その不均衡に善良な観客は些細なものに対する嫌悪以上の嫌悪を感じて、
映画そのものを否定してしまうかもしれないけど、
所詮フィクションなんだから監督や作家が、
思いっきり表現は過激だが、
行ってることは至極全うな主張をしても全然いいのではないか、と思ってしまう。

それはオゾン監督の『クリミナル・ラヴァーズ』を観た時にも感じた。
ラスト、美しいが腹黒い女子高生のヒロインが警察にマシンガンで、
徹底的に虐殺されるシーンほどすっきりしたシーン少ないのではないか。

処罰されるべきもののモラルのありように対する監督の審判の仕方が、
過激なだけなのは、目に見えているから…
実際のところオゾン監督は、
フランスを代表する映画監督になってしまっているのも、
単に彼の映画が〝お洒落〟であることだけが原因ではないと思うのだが。

さて読書の秋ということで、久々に読書でもしようかな。
それも「登記カウンター相談」とか「担保物件法」とかではなく、
ちょっと気になる作家であるヴラジミール・ソローキンの『ロマン』を…

宇宙戦争

2005-07-24 23:28:38 | 映画
先週の3連休のうち日月と東京に行ってきた。

僕の学生時代は品川なんてのは、
行く用事がなければ行かないところだったし、
そもそも行く用事すらなかったところなのだが、
この度の上京でその様変わりに度肝を抜かしたわけだ。
というのは、嘘で、度肝は抜かれてない。

独り揚げ足取りはどうでもいいのだが、
そこで行列にひっついて映画館の座席を予約した。
そう、悪評嘖嘖の「宇宙戦争」をだ。

結論から言おう、気に入った。
おっと、以下はネタバレの領域に踏み入ることを覚悟してもらいたい。
そもそも人間の血が燃料というのが気に入った。
まあ、内容そのものは無理があるから、問わない。
無理というのは、リメイクの必要性と現代との適合性とでも言おうか。

リメイクなんてのは、したけりゃ勝手にすればいいのだが、
評論家という暇人たちは「何ゆえこの時期にリメイクを?」とかなんとか
しょうもないことを詮索して何書いているのかわかんないような難解な評論を
発表するし、それは当然現代的な意義も問われるというわけだ。

唐突な終わり方は、この映画の定めだ。
スピルバーグがウェルズや過去の作品に敬意を表したからこそ、
自己の身内に生じたであろう〝想像力〟を封じてまで、
敬意に殉じたのであろう。

まあ、この作品が駄作に成り果ててしまったのは、
過去に徹するか、現代に突き抜けるか、一方を選択せずに、
中途半端に過去を踏襲して現代性を盛り込んだからなのだろう。

現在性を盛り込んだといっても、家族愛はとってつけたようだし、
当然のことながらトム・クルーズが主人公なのだから、
父性の復権、に焦点があるのだろうけど、
父性が復権して、さあ、これから宇宙人をバンバン倒して面白くなるぞ、
という時に編集でぶった切ったような週末じゃあね。
まあ、過去の作品も原作も知らないのでなんともいえないが、
スピルバークが迷走しているなぁ、というのはよく分かる。

でも個人的には気に入ったんだからね。

CUBE2

2005-01-17 16:29:59 | 映画
監督:アンドレイ・セクラ
出演:ジェラント・ウィン・デイヴィス
   ケリー・マチェット

そういえば「SAW」という映画が最近上映されて、
その映画が「CUBE」を超えたとかなんとか宣伝文句を謳い上げてましたが、
この場ではっきり断言します。

「SAW」は「CUBE」を全く超えてないです、届きもしない

さて件の「CUBE2」の方だが、
二匹目の泥鰌狙いが、往々にして罠に陥った挙句、
駄作に終わることが多いようにこの映画もその方程式を見事に踏襲してますな。

前作が三次元だったから今作は四次元?
前作は単なる殺人鬼だったから今作は食人鬼?
前作が訳の分からない公的機関だったから今作は訳の分かった武器製造会社?
製作者は上のような認識、設定、仕掛けが
前作の魅力をパワーアップするものと本気で考えたのだろうか。

ビンチェンゾ・ナタリの前作を見ていて、
謎が謎として残されているがゆえに感じたカフカ的な迷宮、悪夢、眩暈、
などはこの映画には寸毫も見出すことができない。

ありえそうな科学を駆使してありえない設定を縦横無尽に築き上げた
前作に比して、ありえない科学を縦横無尽に駆使してありえない設定を築いた
この映画の…
なんと貧相なことか!

キル・ビルvol.1

2005-01-17 01:21:07 | 映画
何をいまさら…という冷え切った声が聞こえてきそうだが…今観た(^^ゞ

どうなんでしょう、この映画の評価は。面白いのは面白い、と思います。
でも個人的には殺陣のシーンが長すぎて終わりのほうは少々食傷気味でした。

比較の仕方を間違ってるかもしれないけど、ゴダールの後期作品について
映画評論家の故田山力哉氏が「最近の彼の映画はトリビアルな部分では面白いと
思うが全体としては精神分裂症としか思えないような内容だ」と評価していたのと
同様にトリビアルな部分ではセンスを感じるような面白さがあると思うが、
あんなに長々と垂れ流すように殺陣を流し続ける必要があるのかと思ってしまう。

「レザボア・ドッグス」をシネマライズ渋谷で二回続けた観たとき、
確かに勢いだけでなく確固たる才能がある監督が現れたなぁ、
と思ったけど、なんかその後の彼の映画を観ていて
あの時のような感銘を受けたことはないような気がします。

「バーチュオシティ」

2005-01-13 03:12:02 | 映画
どえらいマイナーな映画ですね(^^)

実際、D.ワシントンとR.クロウが出てなきゃ観なかったろう。
クロウがブレイクする前の昔の映画だけど、
ワシントンは、まあ、今も変わらぬ誠実な男。
彼は永久にこの路線を歩み続けて朽ち果てる俳優なんでしょうな。
「トレーニング・デイ」で珍しくヒールを演じて
それはそれで成功してたと思うけど、
一つはE.ホークの初々しい誠実さ、
もう一つはワシントンの俳優の履歴として演じ続けてきた誠実さを裏切った役柄が
ただ単に新鮮だっただけで、この手の手法はしばらく使えないだろう。
結果、ワシントンのヒールより彼に纏わりつく『誠実』が際立ってしまって、
彼がその呪縛から解き放たれることはないだろう、
とその彼の意に反して限界を予感するしかないのだな。
今更殻を打ち破る必要はないのかもしれないけど、M.ギブソンもそうだが、
同じような役を演じ続けてきて食傷気味なのは僕だけじゃないのでは。

一方、クロウはワシントンを遥かに超えるスケールをすでに醸し出している。
この時点で超えてると思ったよ。
極悪のヒールでありながら、その笑顔のなんと素敵なことか!
「将軍たちの夜」のP.オトゥールの変態ナチス将軍も絶品だけど、
この残虐アンドロイドのクロウも相当魅力的だ。