米国音楽界最高の栄誉とされる第56回グラミー賞の授賞式が1月26日(現地時間)、ロサンゼルスで行われた。
主要4部門などの各賞の行方や、スターたちによる華麗なステージが注目を集める。また、現在の米国の音楽業界や社会の潮流がよく分かるイベントでもある。現地の模様を報告する。
授賞式会場のステープルズ・センターには、ミュージシャンだけではなく有名俳優も着飾って集まり、華やいだ雰囲気。客席にも盛装の人々が並び、祭りの高揚感が漂っていた。
主要4部門(年間最優秀レコード、年間最優秀アルバム、年間最優秀楽曲、最優秀新人)のうち、個別の曲が対象となる最優秀レコードと最優秀アルバムの2部門を制したのは、フランス出身の2人組、ダフト・パンクだった。コンピューターを駆使したエレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)は、米国で近年人気を集めており、それが追い風になったようだ。今回のグラミーでは、テクノ、電子音楽を世界に広めたドイツのグループ、クラフトワークもその功績が認められ、ビートルズらとともに「生涯業績賞」を受賞している。
授賞式でのダフト・パンクは、ロボットのようなマスクを装着し、ずっと無言だった=写真右側の2人、(c)WireImage=。代わりに作品に参加したほかのミュージシャンがあいさつを行うなど、自身のスタイルを貫いた。最優秀アルバム賞の「ランダム・アクセス・メモリーズ」には、1970年代のディスコブームの立役者であるプロデューサーのジョルジオ・モロダーやナイル・ロジャースといったベテランも参加。ダフトの作品を通して、彼らも再評価された格好だ。
グラミー賞は、ミュージシャンやプロデューサーらで組織される全米レコーディング芸術科学アカデミーの会員たちの投票で決まる。プロがプロの作品を選び、人気や売上枚数ばかりが重視される賞ではない。メッセージ性の強い作品が評価される傾向がある。
最優秀新人賞に輝いたマックルモア&ライアン・ルイスの作品「セイム・ラヴ」は、同性愛への理解を求める内容だ。授賞式のパフォーマンスでは、教会風のセットをバックに、同性のカップルを含む30組以上が結婚式を挙げる、という演出で聴衆をわかせた。途中、スター歌手のマドンナがステージに現れ、「心を開いて」と歌い出したシーンは、感動的だった。
ソングライターに贈られる最優秀楽曲賞を勝ち取ったニュージーランド出身の女性歌手、ロードの「ロイヤルズ」も、ぜいたくで派手な暮らしには興味がない、といった内容の歌。まだ17歳ながら、堂々たるパフォーマンスで実力を見せつけた。ダフト・パンクも含め、米国出身者以外のアーティストの活躍が目立ったのも今回の特徴といえそうだ。
今年はビートルズの米国進出50年にあたることから、メンバーだったポール・マッカートニーとリンゴ・スターのステージもあった。ポールが新作アルバムから「クイーニー・アイ」を披露した際には、リンゴがドラムスをたたき、会場を盛り上げた。主要4部門ではないが、ポールは最優秀ロック・ソング賞も受賞し、ベテラン健在を示した。
授賞式の模様は3月16日午後3時から、WOWOWライブで再放送される。(文化部 桜井学)
(2014年2月14日
読売新聞)
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